国家公務員経験者が語る仕事内容・年収・将来性

5人のロールモデル
23件の経験談

質問国家公務員の仕事を一言で表すと

国家公務員とは?

国家公務員の仕事内容

政策の立案と執行が、国家公務員の仕事。市場原理に駆動される民間企業だけでは、解決できない課題に向き合う。



市場と異なり、ユーザーに選択の自由がないからこそ、合意形成が大切になる。



国民の安心安全の確保や生活の発展を実現するため、予算・法律の策定や税制の改正、ガイドライン策定や広報・表彰といった各種“政策実施ツール”を適切に組み合わせる。



「先取りしすぎると合意が取れず、現状維持だと時代遅れに。ちょっと先取りした未来で解決することが肝要」(人事院・橋本賢二さん)だという。

国家公務員の役割・必要なスキル

  • 国民の安心安全の確保や生活の発展を目的とした、政策の立案と執行
  • 法律の策定
  • 税制の改正
  • ガイドライン策定
  • 政策やキャンペーンの広報
  • ガイドラインを満たした企業などを表彰
  • その他、各種“政策実施ツール”の活用

国家公務員の将来性

フューチャーワーク指数すべての職業の平均
3.64.3
5人が回答
未来実感
3.64.3
貢献実感
4.64.4
自立実感
2.64.1

国家公務員の平均年収

20代
- 万円
30代
691万円
40代
- 万円
JobPicks回答者調べ

国家公務員になるには

国家公務員はどこにいる

国家公務員は一般職と特別職に分かれており、さらに一般職は「キャリア」と呼ばれる総合職(全職員の約7%)と一般職に分けて採用される。



両者は採用される官職が違うだけで、採用後の人事は能力・実績に基づいて行われる。結果的に、政策の企画立案にかかわる職種や管理職は、総合職採用者の割合が多いが、能力・実績や本人の希望によっては一般職採用者にも道は拓かれている。



政策の企画立案を担う総合職は、自分が向き合いたい社会課題や社会で実現したい価値が明確で、公務に対する強い動機がある人に親和性が高い。



定型的な業務を行う職務からスタートする一般職は、向き合いたい課題が決まっていない人向き。「安定志向の人に総合職はおすすめしない。信念なき受け身志向だと、管理職として判断を求められた際、前例踏襲的な小役人に陥りかねない」(人事院・橋本さん)。

国家公務員の就職・転職事情

新卒採用

新卒で国家公務員になるためのルートは主に3つ。総合職と一般職向けの「総合職試験」「一般職試験」、さらに特定の行政分野に係る専門的な知識または技能に基づく業務に従事する係員を採用する ための試験である「専門職試験」だ。



事務処理能力や公務遂行に必要な基礎能力を判定する一般教養・一般論文、行政上の判断を行う基礎知識を判定する専門科目・専門論文、全人格的な要素を判定する個別面接・集団討論などを実施。



近年は「面接などによる人物試験を重視するようになっている」(人事院・橋本さん)という。



中途採用

新卒採用のイメージが強い国家公務員だが、中途採用も珍しくない。総合職・一般職・専門職に関しては、30歳まで受験資格があるため、第二新卒での受験も可能。



係長級以上で採用される「経験者採用試験」についても、2019年度は313名が合格している。弁護士や会計士など、高度に専門的な知識や能力を持った人の「任期付採用」 もある。



「募集分野がさまざまなので、前職も多種多様です」(人事院・橋本さん)。

国家公務員で身につくスキル

  • 質の高い情報力
  • 交渉力、課題解決力
  • 広い視野

あらゆる業界のトップランナーに直接話が聞けるので、触れる情報の量と質が違う。「他省庁の領域であっても、『どこに』『どんな情報があるのか』といった土地勘が身につく」(人事院・橋本さん)。


また、担当領域については「日本で一番当事者として考えている人」として政策づくりに携わることになるので、並の仕事では身につかないレベルの交渉力や課題解決力、そして日本全体のステークホルダーを見渡す広い視野が自然と得られる。

国家公務員のキャリアパス(前職・転職先)

  1. 1.
    国家公務員
    3人(42%)
  2. 1人(14%)
  3. 4.
    弁護士
    1人(14%)
  4. 5.
    プラント開発
    1人(14%)

国家公務員の経験談を読む

国家公務員の経験談の中から、一部を抜粋して紹介しています。

  • 仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

    • 橋本 賢二
      現職者橋本 賢二
      経験: 17年
      人事院

      視座×情報×信頼=圧倒的成長

      楽しみを感じるポイントがいくつかあるので、“最も”楽しいと感じる瞬間を切り出すことは難しいですが、以下の4点は自己効力感が高まるタイミングだと感じています。


      【圧倒的な成長】

      公務員の仕事からは視座、情報、信頼が得られます。これらが掛け合わさると圧倒的な成長が得られます。全てが思い描く理想通りにいくわけではないので、苦労も絶えませんが、それにも勝る成長機会が公務にはあります。


      【幅広い視座の習得】

      憲法で公務員は「全体の奉仕者」だと...

      定められており、奉仕する対象は様々な価値観を持つ国民であり、社会であり、将来のこの国でもありと、非常に抽象的です。政策の企画立案には、政策が影響する様々な当事者の意見や想いを汲まなければなりません。そのためにも、日頃から可能な限り様々なことにアンテナを張り巡らせるだけでなく、自分の興味関心のある分野の現場に通じて世間のリアルを知り、複雑な世の中を読み解く努力が欠かせません。この習慣から得られる視座は、どこにでも通用しうる即戦力につながります。 【高度な情報との接触】 政策の企画立案の最前線では、関係する分野の最新動向をフォローするための勉強は欠かせませんが、様々な最新情報に触れられる機会が多々あります。中には担当者でなければ触れることが困難な情報もあります。関係する分野の一流の有識者などと意見交換をする機会にも、課題の最前線である現場から学ぶ機会もあります。様々な分野で質の高いインプットとアウトプットをする機会が充実しているので、自分の意志と行動次第で、力を発揮するフィールドと方向性を決められます。 【強力な信頼の獲得】 政策の企画立案は、担当する業務について多様な視点から集約した情報を統合して方向性を見出し、実現に向けてステップを踏むことが基本です。その過程では、様々な当事者や有識者と意見を交わしながら向き合う課題について自らの考えを深め、あるべき方向性を見出して納得を得られれば、様々な人から協力を得て実現に向けて努力します。真剣に取り組むほどに課題に対して「こうするべき」との“信念”が生まれ、信念を持って取り組むと組織内外から強力な信頼を得られて、次の仕事につながったり、別の機会の仕事や縁が広がったりします。


    やりがいをもっと読む (4)

  • この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

    • 芳賀 達也
      現職者芳賀 達也
      経験: 11年
      農林水産省

      新しい制度を作る際に、あらゆるケースを想定して、ミスや見落としがないかを精査しないといけないとき

      新しく制度を作ったり、既存の制度を大きく変更したりするときほど、仕事としては面白い一方で、同時に眠れないほど不安になります。国の制度は全国に適用されることがほとんどですし、新しく規制を作る場合は、事業者が拒否しても国の強制力をもって無理やり適用されます。また、法律などはそう頻繁に改正することもできません。それゆえ、何かしら制度に問題があると、それによって多数の人々が不利益を被ることになります。また、見落としがあって、制度に抜け道のような...

      ものができてしまった場合、そこから制度全体が崩れてしまうことも考えられます。その場合、直接に被害を被るのは自分ではなく国民だというのが行政の仕事の特徴だと感じています。 このため、新しく制度を作る場合、ミスや見落としがないかを徹底して洗い出してチェックします。「こういうケースが出てきたらどう処理するか」「こういう悪いことをする事業者が出てきたらどう対応できるか」といった点を、想像力を働かせて考え、およそ想定できる全てのケースに対応できるよう細部を詰めていくのですが、そのときには、「本当にこれで十分か。気付いていない抜け穴があったらどうしよう」という不安な気持ちで、帰りの電車でも、また夜寝るときも考え込んでしまうことが多々あります。 例えば、数年前、水産の養殖業の資源管理のルール作りに携わったときは、全ての養殖業者がルールをしっかりと遵守して、国全体として資源を適切に管理できるようにすることが何より重要でした。なので、「抜け道や悪用が一切できないルールになっているか」ということを、あらゆるケースを想定してチェックする必要がありました。自分としてはチームのメンバーとよく議論をしてしっかりとした制度にしたつもりでしたが、新しい制度が始まる前の夜には、「本当にあれで十分だっただろうか。抜け道を使われて、資源管理が守られなくなるおそれはないか。」と不安な気持ちで眠れませんでした。 国の制度を担うという責任の大きさと裏返しで、良い意味で非常に緊張感のある仕事だと思います。


    苦労をもっと読む (5)

  • 同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

    • 橋本 賢二
      現職者橋本 賢二
      経験: 17年
      人事院

      担当業務は、日本で一番詳しい担当であれ

      国家公務員であれば、おそらく誰でも言われたことのあるアドバイスだと思いますが、この意味を自覚すると、とても重いアドバイスです。国家公務員の人事ローテーションは1~3年で、人事異動の度に担当業務が変わりますが、着任したその日から担当者としての判断が必要になります。もちろん、前任者からの引継ぎや周りのサポートも得られますが、進行中の政策なども担当者として推進していく必要があるので、人一倍の勉強が必要になります。


      異動先によっては、かなりの...

      量の勉強を必要とする場合もありますが、日頃からアンテナを高く広く張り巡らせていれば、行政官としての経験知と組み合わせて、重点的に勉強するべきポイントを見出して一定のレベルに到達できます。さらに、担当業務を進めるなかでも、関係者との検討や意見交換の機会があるので、その都度、インプットとアウトプットを高速で回転させていきます。政策を担っている自覚があるからこそ、勉強や業務にも身が入り、担当業務に詳しくなっていくのだと感じています。 頻繁な人事異動で、短期の人事異動で専門性が育てられないとの声も聴かれますが、複数領域に触れることで物事を横断的・統合的に見られるメリットがあります。また、国家公務員の場合は省庁別採用なので、大まかな活躍分野は定めやすいというメリットもあります。その道を深く極める専門家になることは難しいかもしれませんが(中にはそのようなキャリアパスを目指す方もいます)、様々な分野を経験するからこそ掛け算で得られるレアなキャリアパスを築くことも可能になります。 キャリア形成に必要だと考えるのであれば、組織にとっての必要性と妥当性を添えて異動希望で訴えていくこともできますし、本業に影響にない範囲であればプライベートで行動することもできます(もちろん公私の使い分けは必要です)。自分の意志と行動次第でどのような可能性も考えられます。


    この職業のプロになるにはをもっと読む (5)

  • 転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。

    • 田口 周平
      現職者田口 周平
      経験: 8年
      経済産業省

      『職業としての政治』マックス・ウェーバー

      20世紀前半の社会学者のマックス・ウェーバーによる著作です。


      題名の通り、近代国家の背景や、職業政治家に求められる倫理や条件ん、政治家と官僚との関係性などが書かれています。


      個人的に一番印象に残っているのは、最後に記載されている以下の部分です。


      「自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が——自分の立場からみて——どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」...

      と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への『天職』をもつ。」 政治への『天職』の有無に関する記述ですが、この、「それにもかかわらず!」といえる強い信念があるかどうかは、いまの時代の官僚にも求められる気質だと、個人的には思っています。 職業としての政治は薄い本ですが、学生の間は極力、付け焼刃のビジネス本を読むより、歴史の評価に耐えた、人文・社会科学の古典を読んだほうが良いと個人的には思っています。 ビジネスの知識をつけるより、自分がどう生きるか、社会の構造はどうなっているのか、といった根源的な問を、偉人たちとの対話を通じて探ったほうがいいと思います。 参考までに、人事院がかつて若手行政官向けにまとめた参考図書です。とてもバランスよくまとまっていて参考になります。 人事院 若手行政官への推薦図書 (平成23年4月) https://www.jinji.go.jp/kensyuu/110801suisentosyo.pdf


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  • この職業について未経験の人に説明するとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?

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