【国家公務員】公務員とスタートアップの顔を持つ、異色キャリア

【国家公務員】公務員とスタートアップの顔を持つ、異色キャリア


この記事に登場するロールモデル

国家公務員とスタートアップ勤務——。世間的に言えば、働く人や働き方のタイプが両極にあると感じられる職業だ。


経済産業省に勤務する田口周平さんは、この2つの職業を経験したビジネスパーソンだ。


田口さんが言うには、「役割の違いはあれど、公共の課題解決に向かうという点において、目的は同じ」。違いは存在するものの、同じ目的意識を持った共同体なのだそう。


経産省からスタートアップに“レンタル移籍”した経験を持つ彼のストーリーから、目的思考で自身の役割を柔軟に変える、新時代のキャリアを考えた。

田口周平さん 経歴

目次

生きる意味を考えた高校時代


東京大学を卒業し、経済産業省へ。現在は、コロナ・ウイルスの煽りを受けた中小企業に向け、資金繰り対策の支援を行っている。


田口さんが現在のキャリアを歩むまでには、高校時代に「生きる意味を問い直した」経験がある。


「もともと、東大に進学するつもりはありませんでしたし、これといって目指している職業もなく、キャリアについては『大好きな弓道をずっと続けられればいい』くらいにしか考えていませんでした」


高校生当時は、一橋大学に進学して公認会計士になるキャリアパスを描いていた。本人いわく「飛び抜けた学力があったわけではなく、語学が堪能だったわけではない」そうで、「分かりやすく安定した職業を目指していた」のだという。


そんな田口さんに転機が訪れたのは、受験勉強の一環で倫理を学んでいた時のこと。


ユダヤ人心理学者のヴィクトール・フランクルがアウシュビッツ収容所に囚われ奇跡的に生還した経験を書いた『夜と霧』を読み、生きる意味を問い直したことが、キャリアのルーツになっている。

「私もフランクルと同様に、生きることの意味を問うても仕方がなくて、むしろ人生が自分自身に何を期待しているかを考えるべきだという結論に行き着きました。生きることの意味に答えはないかもしれないけど、別に死にたいわけでもない、と気が付いたのです。


では、どのように生きるのか。そこで私は、“飽きない人生”を送る決意をしました。私が考える“飽きない人生”とは、自分の強みやバックグラウンドを活かし続けられる人生です。


私が持っている経験の中で、強く人生観を揺さぶられたのが、父が経営する会社の倒産でした。住んでいたマンションは売却しましたし、車もなくなるなど、生活環境が一変しました。そのタイミングで初めて、自分には関係のないことだと思っていた『政府の経済政策』が、実は生活に身近なものであることを知ったのです」


生きる意味を問い直し、当事者意識を持ち続けられる仕事を思案した結果が、父親が経営していたような中小企業を支援する役目も持つ経産省に入省することだ。


生きる意味など元から問うても意味はないのだから、生かされている自分を活かそう——。


そんな思いで、1年間の浪人を経て東京大学に進学した。


原発、災害、スタートアップ

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