法務経験者が語る仕事内容・年収・将来性

5人のロールモデル
23件の経験談

質問法務の仕事を一言で表すと

法務とは?

法務の仕事内容

会社や事業の法的な課題を抽出し、問題解決に導いたり問題を未然に防ぐ仕事。



一番多いタスクは、契約や取引に対するリーガルチェックだ。受発注時の売買契約や、業務委託契約などの文書に法的なリスクがないかを確認、対応する。自社が別の企業とM&Aをするときなどは、その交渉時から秘密保持契約を結び、買収のスキームも構築する。



2つ目は、コンプライアンス(法令遵守)対応とそれに伴う社内規定を整備すること。近年、コーポレートガバナンスと呼ばれる企業経営を監視する仕組みの強化が課題となっており、企業は社外取締役の設置、社内規定の明確化などが求められている。法務はその推進役としての役割を果たす。



3つ目は、株主総会や取締役会を運営する上で機関法務を担うこと。株主総会運営では、例えば招集を通知し、決議するための手配、当日の質問やシナリオ、Q&Aの準備などを行う。



4つ目は紛争への対応。納期の遅れや不良品など顧客からのクレームや訴訟への対応を、顧問弁護士などと協議しながら進め、ダメージを最小限に抑える。



また、法務が大活躍するのが、自社がM&Aをするときだ。弁護士事務所や投資銀行とタッグを組みながら相手企業のデューデリジェンス(価値精査)をしたり、秘密保持契約を結んだり、さらには買収スキームを考えたりなどする。

法務の役割・必要なスキル

  • 受発注時の契約書や取引文書のリーガルチェック
  • ユーザー向け利用規約づくり
  • 取締役会や株主総会の運営、想定質問の準備
  • セクハラ、パワハラ、コンプライアンスの社員研修
  • 納期の遅れや労働争議など紛争、裁判への対応
  • M&Aや企業提携のスキームづくり
  • M&A時、相手側企業との秘密保持契約や仲介金融機関との契約締結
  • 政府に向けた規制緩和や法的整備の交渉など

法務の将来性

フューチャーワーク指数すべての職業の平均
4.34.3
5人が回答
未来実感
4.24.3
貢献実感
4.64.4
自立実感
4.24.1

法務の平均年収

20代
- 万円
30代
- 万円
40代
- 万円
JobPicks回答者調べ

法務になるには

法務はどこにいる

日本企業における法務の人数は、全体平均で9人程度。資産規模1000億円を超える会社でも平均30名強だ。一方、米国企業の場合、売上が1000億円程度であれば、19名〜60名程度の人数になる。



法務に占める弁護士の割合も、米国の場合70%弱程度であるのに対し、日本では9%程度であり、社内弁護士の増加が求められる(経産省:企業法務先進国における法務部門実態調査より)。

法務で身につくスキル

  • プロジェクトマネジメント力
  • 周囲を動かす力
  • 企業価値を上げる力

法曹のオールラウンダーとしての能力だけではなく、プロジェクトを推進するマネジメント力が身につく。顧問弁護士はもとより、定型案件はシェアードサービス化(業務をアウトソースして効率化すること) も増えており、定常的に労務、経理、ファイナンス、総務、IRなど他のコーポレート部門と連携し、M&A時には会計士と組むこともある。それゆえ、周囲を動かす力、企業価値を上げるノウハウが身につく。

法務のキャリアパス(前職・転職先)

  1. 1.
    弁護士
    3人(42%)
  2. 2.
    法務
    2人(28%)
  3. 1人(14%)
  4. 1人(14%)
  5. -

法務の経験談を読む

法務の経験談の中から、一部を抜粋して紹介しています。

  • 仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

    • 森田 岳史
      現職者森田 岳史
      経験: 9年
      株式会社ユーザベース

      意思決定をして、結果に責任を持つ。

      法令の理解を前提に、自社とステークホルダーの利害を考慮の上意思決定をして、その結果について責任を負うこと。外部弁護士が「グレーである」との法解釈を示した案件について、ワーストケースやリターンを考えて、やるかやらないかを決めるのが企業内の法務の難しさであり、面白さです。安全な法解釈に従うことが必ずしも自社の意思決定の正しさにつながるわけではない中で、法令・文献・ロジックはもちろん、自分の経験と、時に直観を信じて選択を行い、それに至る道筋を...

      作って賛同者を集めていくことが必要になります。 また、プロジェクトでは、様々なバックグラウンド(ビジネス、会計、税務、ファイナンス等)を持つ仲間と知恵を出し合い、チームとして目標達成を目指します。その際の知的な刺激や連帯感も、社内の法務だからこその魅力です。


    やりがいをもっと読む (5)

  • この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

    • 武田 彩香
      現職者武田 彩香
      経験: 4年
      株式会社ユーザベース

      ビジネスにおける法務としての正しさ

      法務としてビジネスに関わっていると、法的に「絶対ダメ」でも「完全クリア」でもない、どちらとも解釈しうる論点に出会います。

      そのような場合、「今、この論点を解決するに当たり、この会社の法務として正しい解は何か」について自問自答を繰り返すことになります。

      「法務はブレーキ」とよく言われますが、上記のような問題に対して常にブレーキを踏んでいてはビジネスが前に進まなくなります。一方で、ブレーキが適切に機能しなければ、全力でアクセルを踏み込むこと...

      もできないわけで、その線引きが極めて重要です。 この点の見極めが、法務として最も苦労する点であると思います。


    苦労をもっと読む (4)

  • 同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

    • 森田 岳史
      現職者森田 岳史
      経験: 9年
      株式会社ユーザベース

      「現場に近いヤツの言葉を信じる。」

      ビジネスでは、現場に近い人が一番情報を持っていますが、法務を含むコーポレート部門に伝わってくる過程で言語化できない感覚、定性情報や人に関する情報は削ぎ落されます。その結果、魅力的な案件にもかかわらずリスク面だけが目立ち、逆にどうしようもない案件がローリスクハイリターンの優良案件に見えたりするものです(出張等で現場に行くと、そのような構造を体感することができます)。

      法務として仕事をしていると、「安全に見える案件」は進め、「リスクがあるよ...

      うに見える案件」は止めるという誘惑に駆られますが、そのような衝動と会社の利益は必ずしも一致しないことがあることを理解する必要があります。現場の言葉は、ひっかかるところがあってもまずは呑み込む自制心が、良い法務パーソンに必要な要素の一つではないかと思います。 なお、頭書は、一緒に仕事をしていた(法務ではなく)リスク管理チームの先輩に授かった言葉です。


    この職業のプロになるにはをもっと読む (5)

  • 転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。

    • Mori Yuichiro
      現職者Mori Yuichiro
      経験: 5年
      株式会社ユーザベース

      『企業法務入門テキスト』経営法友会

      企業の法務部門が日々行っている業務の一部を切り取った、「ありのままの法務」が記された一冊です。企業の法務部門が担う機能は会社により異なりますが、法務部門の仕事の全体像をイメージするのに役立ちます。各トピックや論点の体系的な理解には向かないので、それらについては別途知識を補充する必要があります。なお、内容とは関係ありませんが、登場するキャラクターは俳優がモデルになっています。


    未経験者へのおすすめ本をもっと読む (4)

  • この職業について未経験の人に説明するとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?

    この職業を一言で表すと?をもっと読む (5)

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