「やりたいことで稼ぐ」には懐疑的、それでも新しい働き方を始めるコツ
2022年7月30日(土)
2022年7月1日〜7月29日までの間に、JobPicksで閲覧数の多かった記事トップ5はこちら。
7月は、上半期・下半期の変わり目で人事評価や振り返りの機会が多い時期だからか、仕事力向上、働き方に関する記事が上位にランクインした。
1位:「時間基準で働かない」副業で4000万稼いだ新卒社員の実録180日(2022/7/15)
2位:仕事の生産性どう高めてる?今すぐマネできる「業務ハック」12選(2022/7/6)
3位:「頑張ったのに評価されない」の不満をなくす、働き方が変わる言葉(2022/7/13)
4位:【プログラミング】独学で挫折しない方法とおすすめの入門書5選(2022/7/25)
5位:【必読】「人生の経営者」になれば、誰もが自分らしく生きられる(2022/7/11)
そんな中で、1位になった“Z世代の企画屋”今瀧健登さんのインタビュー記事では、ゼロの状態から自分なりの強みを磨き、「好きなことでお金を稼ぐ」までのプロセスに多くの反響があった。
NewsPicksのPickコメントでも、若い世代の新しい働き方に驚く声が寄せられたが、今瀧さん本人は「週7日で働き、悩み失敗を続けたから今のワークスタイルがある」と吐露。
それができたのは「人生を楽しくする方法として仕事を楽しんでいるから」と述べている。
そこで本稿では、副業(複業)や起業で自分らしい働き方を見つけたロールモデルの記事を紹介しながら、その裏側にある努力、工夫をのぞいてみよう。
これから「何か新しい副業を始めたい」と考えている人にとって、最初の壁となるのは、どんな強みを駆使して、同時間をやりくりして始めるか?という点だろう。
下の記事では、出版社で働きながらパラレルキャリア研究所の代表を務める慶野英里名さんの副業ストーリーを紹介している。
副業で失敗しない「始め方と続けるコツ」コミュニティ主催者に聞く
今ではパラレルワーカーとして副業関連の執筆やイベントで引っ張りだこの慶野さんも、最初は「書く仕事で副業したいが、コネも実力もない」ことに思い悩んだそうだ。
そんな壁を破るきっかけになったのは、「今自分が持っている『ドメイン(ビジネス領域)』の知識か『スキル』のどちらかを横展開する」という考え方だったという。
(複数のパラレルワーカーの事例を紹介した後)共通しているのは、小さく始めて、徐々に「ドメイン」か「スキル」をピボット(方向転換)していることです。
軸となる「ドメイン」も「スキル」も浮かばないという方は、プランド・ハップンスタンス(キャリアは偶発的に描かれるという理論)を意識して、まずはいろんな人と会って、いろんな世界を見てみるのがいいのではないでしょうか。
人生のテーマは、なかなか決まらないものです。30歳を超えても、60歳を超えても、将来の夢があっていいと思っています。
もう一つの悩みになる「本業と両立するための時間術」については、慶野さん自身の1週間スケジュールを紹介しながら両立のコツを披露している。ぜひ記事をのぞいて見てほしい。
この両立のポイントを別の視点で語ってくれたのは、『普通の会社員のための超副業力』(CCCメディアハウス)という書籍を出版している森新(もり・あらた)さんだ。
大手飲料メーカーで営業や人事をやりながら、仕事の効率化に関するノウハウを発信して関連セミナーの講師を務めるようになった森さんは、記事タイトルにもある3つのポイントを紹介している。
【保存版】普通の会社員が、副業で「本業の2倍稼ぐ」3つの掟
中でも、新しい働き方を見つける上で参考になるのは、「本業と副業は『振り子理論』で考える」というアドバイスだ。
一般的には「本業で身に付けたスキル・知識を、同業他社でも生かす」というのが副業の常識に思えるが、森さんは「本業と副業の仕事内容は、なるべく遠いほうが、振り子の幅のように得られる果実が大きい」と語る。
たとえば、不動産業界の営業パーソンが、毎週休みの日に知り合いの不動産屋さんの仲介を手伝うとします。
もちろん、短期的な目で見れば、お金ももらえるし、知り合いにも喜んでもらえるでしょう。
ですが、本業の延長なので自己成長はあまり見込めないし、長い目で見れば明らかに利益相反で、本業から逆風にさらされるリスクも高い。あまり、サステナブルな副業とは言えません。
それよりも、仲介のノウハウを生かして、別業界でセールスをしたり、トークスキルを売りに「説明のめちゃくちゃ上手いテニスコーチ」として活動したり。
副業と本業の距離を離したほうが、結果的に得られるスキルや、本業にも生かせる発見の総量が多いと言えます。
最初に紹介した慶野さんのアドバイスを発展的に生かすやり方としても、森さんの副業術を参考にしてみよう。
次は、本業を持ちながら「やりたい仕事」を継続的に続けるべく、副業ではなく起業する道を選んだR11R(アールイレブンアール)片口陸さんのやり方を紹介したい。
下のインタビュー記事のタイトルにもあるように、片口さんはもともと地方銀行の銀行員だった。だが、当時からファンだったあるアイドルグループの「追っかけ」をするうち、ファングッズの企画・販売を仕事にできないか?と考え上京〜起業している。
【CEO】起業は「好きを仕事にする手段」元銀行員の新しい副業スタイル
片口さんがユニークなのは、それでも本業としての仕事は継続したこと。その理由を、次のように語っている。
会社を立ち上げたのは、お金が欲しいからではなく、人生を楽しみ尽くすためです。
もし会社経営を本業に据えたら、収入が途絶えるリスクと付き合うことになりますよね。それが現実になったら、人生を楽しむための選択で苦しむことになってしまい本末転倒です。
そこで、会社員として働きながら副業で会社を経営するスタイルを選択しました。
取材当時は、平日9時出社〜17時30分退社のサラリーマンとして働き、退勤後と週末の時間を活用して社長業をこなしていた。
当然、会社経営に当てられる時間は限られるが、それでも売上は年々上がり、年商5000万円を超えたという。
このような働き方を実践する上で大切だったのは、「本業第一主義を捨てる」ことだとアドバイスする。
「本業で成果を出さなければ、副業をする資格はない」というのも、理解はできるんです。とはいえそれは雇用主の考えであり、ビジネス強者の理論だとも感じます。
そうした声を鵜呑みにしていたら、本来あったはずのチャンスを逃してしまうかもしれません。
給与をもらうに値する働きをするのは当たり前ですが、それ以上に背伸びをしなければならない理由はありません。全ての時間を本業に充てなければいけないと言うのは、ある種の幻想だと思います。
理想の全てを本業で叶える必要はないと思うんですね。好きなことでお金を稼ぐのは、少なからず時間がかかるものです。だからこそ、本業をセーフティネットにするキャリアがあってもいいと思います。
新しい働き方に憧れるなら、まず自分自身の「思考のストッパー」を外すことから始めよう、ということか。
最後に、ヤフーが募集する「ギグパートナー(募集業務に応じたスキルを持つ人と業務委託でコラボレーションしていく副業施策)」に応募したひろゆきさんが、実際に働いてみて感じたことを紹介しよう。
【ひろゆき】ヤフーで、副業してみて分かったことひろゆきさんの経験談で最も印象的だったのが、「優秀でない人ほど、(副業の)枠が埋まる前に行動に出るべき」という話だ。
会社員の場合って、会社に入っちゃうと後は上司から言われた事をやってさえいれば給料もらえて安泰です。
一方、副業は挑戦すべき仕事を見つけて自分のリスクで取り組むのをやり続けなきゃいけないし、それをうまくやってる人がうまく立ち回れるんじゃないでしょうか。
(中略)実は、今でも差が付いているんです。 大企業の社員だけれど、アプリを作っていてすごく成功しましたみたいな人って、結構周りにいます。
ただ、そういう働き方している会社員は、表立って「こういうことやってます」と言わないので、気づかれてないだけだと思います。
社会全体がそっち側(副業を含めて自律して働く人が高い報酬を得る世界)に行くと、本当に優秀な人しか採用されなくなります。優秀じゃない人こそ、早く動いた方が得なんじゃないかなと思います。
この話は、冒頭で紹介した今瀧さんのキャリアヒストリーにつながる部分も多い。
最初は四の五の言わず「まずやってみる」。このフットワークの軽さと、そこでPDCAを回す経験をどれだけ積み重ねられるかが、働き方のアップデートを促すのだろう。
合わせて読む:【完全解説】副業、フリーランス。新しい働き方へ踏み出す方法
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