純ジャパが「海外で働く」って実際どうなの?“本気のアメリカ就職”奮闘記
日本生まれ日本育ち、留学経験なし。それでも米Amazonを始めとした現地企業に転職したゆうさんによる、“アメリカ就職”にまつわるエッセーをお届け!
純ジャパが「海外で働く」って実際どうなの?“本気のアメリカ就職”奮闘記
日本生まれ日本育ち、留学経験なし。それでも米Amazonを始めとした現地企業に転職したゆうさんによる、“アメリカ就職”にまつわるエッセーをお届け!
JobPicksをご覧のみなさん、はじめまして!ゆうと申します。
アメリカに住んではや10年、テック企業でデータ分析やプロダクトマネジメントのお仕事をするかたわら、X(旧ツイッター)やブログ等でアメリカ就職についての情報発信をしています。
この連載では、「いつかアメリカ就職をしてみたい!」と思っているみなさんに、僕がアメリカ就職で経験したあんなことやこんなことをお伝えしていければと思っています。
今回のテーマはズバリ、純ジャパの僕がアメリカで現地就職するまで!
僕が日系企業のアメリカ子会社で駐在中にレイオフされ、半年間の就職活動の末にAmazonシアトル本社に就職するまでに経験したことをご紹介します。
初めに、日本生まれ日本育ち、留学経験もない僕がなぜアメリカで就職活動をするハメになったのかを説明しておきますね。
僕は日本の大学および大学院の修士課程を修了し、新卒で外資系のコンサルティング会社に就職しました。そこで数年の経験を積んだ後に、日系のITメガベンチャーにデータアナリストとして転職します。
そこでの貢献が評価され、1年半後にサンフランシスコオフィスに駐在員として赴任しました。
日米のさまざまなギャップに苦しみながらもサンフランシスコで3年半ほど頑張っていたのですが、なかなか業績が上がらないUS事業にしびれを切らし、日本の本社ではUSオフィスの閉鎖が決まってしまいます。
本社に戻ろうと思えば戻ることもできたのですが、その数週間前にグリーンカード(※アメリカ永住権)が取れていた僕は、現地メンバーとともにレイオフとなり、そのままアメリカに残ることを決意します。
その後の就職活動でめちゃくちゃ苦労するとも知らずに…。
というわけで、ほぼ強制的に始まってしまったアメリカでの就職活動。僕が現地で就職するためにしたことを、かいつまんでご紹介します。
1. まずはとにかく応募する
アメリカで就活なんてしたこともなかった僕ですが、とにかく応募しないと何も始まらないことは分かります。
まずはビジネス特化型のSNSであるLinkedIn(これはさすがに以前から登録してありました)のプロフィールを更新。
うんうん、なかなか良い出来です。
次に同じような感じでレジュメを作成。
英文レジュメなんて書いたことありませんでしたが、要は履歴書ですよね。
履歴書との違いといえば、経歴を古い順ではなく新しい順に書くことぐらいですか。
はい、楽勝(注:その後、大間違いだったことが分かります)。
あとは、近隣の同業他社のWebサイトの採用ページを見て、気になったポジションに片っ端から応募していきます。
さーて、面接ラッシュで忙しくなりそうですよ〜!
2. レジュメコンサルを受ける
ところがです。
落とされます。とにかく落とされまくるんです。
僕、日本ではそこそこ良い大学を出ているし、新卒で入ったコンサルもアメリカでもまあまあ知られているはずだし、アメリカでマネージャーとして3年半の経験があったし、けっこう良い線行くのでは?と思っていたのですが…(泣)
やはり僕の経歴なんてアメリカでは何の意味もなかったのでしょうか…?
そんなとき、レイオフのパッケージ(レイオフの際に受け取れる、退職金を含んだ各種福利厚生のこと)の中に「就職支援サービス」なるものが入っていたことを思い出しました。
その中には、レジュメのコンサルティングサービスもあったような…!
ワラにもすがる思いで依頼してみると、僕のレジュメはその内容(僕の経歴)ではなく、その表現方法にこそ問題があったことが分かりました。
日本人的メンタリティで書いたレジュメでは、アメリカ人のレジュメと比べると圧倒的に見劣りしてしまうんですね。
履歴書の経歴を新しい順に書いただけでは自分を表現できておらず、全くもってダメダメだったんです。
3. 面接を受けまくる
レジュメを書き直し、書類選考で落とされることはほぼなくなりました。
今度は面接ですね。
アメリカの就職では、書類選考を通過すると、まず初めに「フォンスクリーニング」という電話での面接が行われます。
ここでは採用候補者の簡単な経歴をチェックして、募集しているポジションとの大きなズレがないことを確認します。
よほど大きな齟齬がなければ、ここで落とされることはあまりないです。
その後、マネージャーや採用先のチームメンバーと数回程度の面接が行われ、最終的な合否が決められます。
僕は当時、面接である程度良いところまでは行くものの、最終面接あたりで大抵落とされてしまうという状況が続いていました。
あまりに落とされた結果、サンフランシスコ周辺の同じ業界の会社(数十はあったと思います)からは軒並み落とされてしまい、もう受けられる会社がないというところまで来ていました。
就職活動を開始して(≒無職になって)3〜4カ月が過ぎていました。
レイオフのときにもらった退職金も底をつきかけており、このままでは日本に帰らざるを得ない状況にまで来ていました。
4. 人脈を活用する
そんなときにLinkedInを眺めていると、前職の同僚がAmazonで働いているのを見つけました(彼はレイオフのかなり前に退職して、Googleへの転職を経て、Amazonに在籍していました)。
ワラにもすがる思いで彼にメールします。
「久しぶり。突然だけど会社がつぶれちゃってさ。Amazonで何かポジションないかな?」
すると、すぐに彼から返事が来ました。
「久しぶり!ちょうどうちのチームで、君みたいな人材の採用をかけようと思ってたんだよ。まだ未公開の求人なんだけど、ぜひ応募してくれ!」
何ということでしょう。まさに、これ以上ないタイミングでした。
応募するとすぐに彼から電話が。
それは一応フォンスクリーニングだったのですが、フォンスクリーニングとは名ばかりで、
「Amazonの面接ではこのような形式でこんな質問がされるから、こうこうこういう準備をしておいたほうが良い」と、面接対策をことこまかに教えてくれたのです。
5. 面接対策をしまくる
僕は彼からのアドバイスに基づいて、めちゃくちゃ入念な準備をしました。
なんせ、これがダメだったら本当に後がないと思っていたので、これ以上は準備できないと思えるほどしっかりと準備して面接に臨みました。
具体的には、AmazonのLeadership Principlesに基づいて42個の想定質問を作成し、各想定質問に対して具体的なエピソードを交えながらA4用紙1〜2枚程度の回答を作成して、それを全て丸暗記していきました。
アメリカの面接ではよく具体的なエピソードを求められるのですが、何も準備をしていない状態で都合よくエピソードを思い出すなんて器用なことできないですし、それをその場で的確な英語に訳して分かりやすく伝えるなんて、純ジャパの僕には土台無理な話だったのです。
この超入念な準備の結果、見事Amazonから無事にオファー(内定)をもらうことができ、僕は今でもなんとか(Amazonからはもう転職してしまいましたが)アメリカで暮らすことができています。
以上、僕がアメリカで現地就職するまでを、かなり早足でご紹介してきました。
僕が(かなり苦労しながらも)なんとかアメリカで就職できた理由は、大きく以下の3つに集約されると思います。
率直に言って、アメリカでの就職は難しいです。
うん、難しい。
難しいのですが、帰国子女でもなく海外留学経験もない純ジャパの僕でもできたんですから、けっして不可能というわけではありません。
計画性と熱意があれば、その成功確率はかなり上げられるのではないかと思います。
僕の経験がその一助となれば幸いです。
(文:ゆう、編集:井上倫子、デザイン:高木菜々子)
JobPicksでは、ゆうさん流のアメリカ現地就職でチャンスをつかむ思考法についてのインタビューも掲載しています。