採用面接スタート「1月以前」が3割、大手では4割 25年卒

採用面接スタート「1月以前」が3割、大手では4割 25年卒

    2025年春に卒業を控える大学3年生らを対象にした企業の採用説明会が3月1日に始まりました。3月に「採用広報解禁」、6月に「選考解禁」という採用のルールが始まって今年で9年目になりますが、コロナ禍からの経済回復と深刻な人手不足によって学生優位な売り手市場が続き、選考の早期化がいっそう進んでいます。

    そんななか、企業の面接開始時期は「12月以前」が17.4%で前年(9.5%)を大きく上回っていることが、就職情報サービスを提供する「ディスコ」の調査で分かりました。「1月以前」も12.1%に上りました。本来の「選考解禁」時期である6月以降としたのは5.3%でした。

    また、内定を出す時期は4月下旬が最多で、全体の7割以上が大型連休前までに内定を出し始める見込みです。

    目次

    “ルール順守”の企業はわずか5.3%…大手の4割は1月以前から

    就活では、会社説明会の開始時期は大学3年生の3月以降、採用面接などの選考は4年生の6月以降がそれぞれ解禁日となっています。ただ、解禁日には強制力はなく、実際は2023年のうちに内定を得ている学生も少なくありません。2月上旬のマイナビ調査によると、企業から内定を得ていると答えた学生の割合は24.9%と前年の14.5%から大幅に増えています。

    ディスコは今年1〜2月、全国の民間企業(約1万6400社)を対象にインターネット調査を実施し、1128社から回答を得ました。それによると、25年卒の採用予定について「今春より増やす」と答えた企業が29.7%に上り、従業員1000人以上の大手企業では35.3%が採用増を見込んでいます。業界別ではITの採用意欲が高く、37.5%でした。

    面接開始時期は、24年卒では3月上旬が最も多く10.6%だったのに対し、25卒では12月以前が最も多く17.4%と前年度の9.5%を大きく上回る結果に。1月開始の企業も12.1%と、調査時点ですでに3割の企業が面接を開始していたことが分かりました。

    企業の面接開始時期(ディスコ)
    企業の面接開始時期(ディスコ)

    一方で、実際の就活ルールに則って6月以降に面接を行っているのはわずか5.3%。企業規模が大きいほど早い傾向が見られ、大手企業の4割が「1月以前に開始している」と回答しています。

    採用面接スタート「1月以前」が3割、大手では4割 25年卒
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    企業の7割がGW前に「内定」スタート

    選考フローの早期化によって内定を出す時期も早まっています。内定を出すタイミングは前年と変わらず「4月下旬」が最多で10.8%でした。24年卒と比べると、2月中旬以前の内定が軒並み上回っており、「12月以前」では24年卒の5.6%に対し、25年卒では10.0%となりました。

    企業が内定を出す時期についての調査(ディスコ)
    企業が内定を出す時期についての調査(ディスコ)

    4月下旬までに内定を出す見込みの企業は、約4社に3社にあたる73.3%。大手企業に絞ると約83.5%と高い割合となっています。

    採用面接スタート「1月以前」が3割、大手では4割 25年卒
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    企業が重視する採用テーマは?

    早期化が進み、売り手市場が続く環境下で、採用の難しさを感じている企業も少なくありません。ディスコは25年卒の「採用の一番のテーマ」についても調査結果を公表しており、最も多くの企業が選んだのは、自社の求人に興味関心を示す応募者の集団である「母集団の拡大」で34.7%。前年から3.1ポイント増加しています。他に「プレ期のアプローチ・つなぎとめ」「辞退防止」「採用重点層への訴求」「学校との関係強化」などがありました。

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    担当者からは採用テーマに関して次のような声が上がっています。

    「24卒では辞退車が多く出たことにより、採用予定人数に満たなかったため、25卒では学生の辞退防止瀬作を重点的に行う」(中小の専門商社)

    「学生の就職活動の幅が狭まっている中で、説明会に来てくれた額しえに自社の魅力や良さを伝え興味を持ってもらう」(中小の情報処理・ソフトウェア)

    「先行して採用活動を始める企業が多く、優秀層学生に対して、どうやって巻き返していくかが課題」(大手の素材・化学)

    「24卒では早めに動き出しても面接練習や保険のための内定という扱いをされる傾向にあったため、よく見極め承諾確度の高い学生と密接に関わっていきたい」(中小の電子・電機)

    (文:中井舞乃、編集:竹本拓也、タイトルバナー:SetsukoN / GettyImages