内定蹴っても平気? 増える辞退、就活生の“2人に1人”

内定蹴っても平気? 増える辞退、就活生の“2人に1人”

    売り手市場と呼ばれた2024年度新卒者の就職活動。企業の採用予定者数に対する内定者の割合は平均67.9%という調査結果が明らかになりました。

    約7割の就活生が2社以上の内定を獲得するなかで、「内定辞退」に対する就活生たちの抵抗感も薄らぐ傾向にあります。

    一因として、面接の練習や滑り止めの意識で採用試験を受け、結果的に「志望度がそれほど高くない企業から内定をもらった」とケースが少なくないことがあります。

    目次

    大手も内定者不足…最も獲得できた業界はIT

    就活情報サイトを運営するディスコは12月5日、2024年卒の大学生の就活動向などを発表しました。学生モニター1,174人、主要企業1万6,318社を対象に実施、1,238社から回答を得ました。

    企業の募集数に対する実際の内定者の割合(内定充足率)は、今年10月の正式内定解禁時で平均67.9%。前年(71.3%)を3.4ポイント下回りました。この充足率は、企業の採用計画をどれほど満たしているか。7割を切ったのは、2016年の調査開始後初めてのことです。

    従業員数が多い大企業ほど充足率は上がりましたが、1000人以上の企業でも8割には届きませんでした。同調査は「採用数の増加で思うように内定者を確保できない企業が増えた」としています。

    練習用」でしたので御社は辞退します

    そんな中、業界別でトップに立ったのはIT。充足率は82.2%で、前年と比べ3ポイント上回りました。前年比で上回った業界はITのみで、金融、製造、流通・商社、サービス業ではいずれも前年を下回りました。

    練習用」でしたので御社は辞退します
    gorodenkoff / iStock

    就活初期の選考試験は練習か

    企業が採用の難しさを感じている背景には、内定を辞退する就活生の増加があります。

    調査では、内定を獲得した学生の約7割が複数企業から内定を得ていて、そのうち4割超の学生が「3社以上の内定」を得たことがわかりました。

    内定辞退の経験についても内定の承諾前後に分けて聞きました。

    結果は「内定承諾前に辞退したことがある」が55.5%でした。前年(55.0%)とほぼ変わらないですが、就活生の約2人に1人は辞退している実態です。

    練習用」でしたので御社は辞退します
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    また、「内定を承諾した後に辞退したことがある」は24.7%で、前年度(21.4%)を3.3ポイント上回りました。

    さらに内定辞退に「とても抵抗があった」という学生が15.9%(承諾前)。前年度に比べて4.5ポイント減少しました。また、承諾後も前年比で3.7ポイント下回っていて、辞退への抵抗感が薄くなっていることが見て取れます。

    辞退で上位に入った理由は次の通りです。

    • やりたい仕事ではなかった(36.2%)

    • 給与や福利厚生面に満足できない(34.7%)

    • もともと志望度が高くなかった(32.5%)

    練習用」でしたので御社は辞退します

    面接の練習や滑り止めとして早期に選考を受け、そのまま内定を得たものの、後になって「ごめんなさい」と伝える学生が少なくないことが浮かびます。

    調査では、採用活動を行う企業に対して「内定後のフォローだけでは辞退を防ぐことが難しい」と分析。その上で、学生を惹きつける面接官の育成やインターンシップの充実など、内定前までに少しでも自社への関心を高めておく努力が必要と総括しています。

    (文:鍬崎拓海、編集:竹本拓也、バナータイトル:Murat Deniz / iStock)