「いつかは地元に帰りたい」就活生が考えるべきキャリアプラン

「いつかは地元に帰りたい」就活生が考えるべきキャリアプラン


    この記事に登場するロールモデル

    就活を考えたときに、主戦場は東京と考える人が少なくありません。でも、いつかは地元で働きたいと考える人も多いもの。

    この連載では、学生向けのキャリア支援講師をする山本梨央さんが、就活生に宛ててアドバイスをつづります。第14回は「いつか地元で働くためのキャリアプラン」。大学生同士で話していてもなかなか具体的な実現方法が見えづらいという方も、イメージが見えてくるのでは?

    山本梨央さんプロフィール

    目次

    上京もしたい。だけどいつかは地元に戻りたい。

    就活生や新卒社会人の方が「いつかは地元に帰りたいんです」と悩む姿を見かけることがよくあります。私は、これまでに採用のコンサルや就職支援以外にも、移住促進のお仕事を受けてきました。たとえば30代以降になって、親の介護などを理由に戻らなければならない、と具体的に考えて動く人たちもたくさんいます。もしくは、地元が好きだからこそ都会で力をつけた上で故郷へ戻って活躍する人も。30代以降となると、ある程度自分たちの手に職があるので、現実的に自分にできる仕事を移住先で探すパターンがほとんどです。

    しかし、新卒の場合はどうでしょう?そもそも就職できるのだろうか、という不安を抱えている人が多い中で、働く場所を選べるようになる実感が沸かないという声も聞いたことがあります。結果的に、選考が始まると自分が思い描く未来のことは忘れて、内定をもらうことだけに精一杯になってしまうことも。

    せっかく自分の人生なのだから、いつか叶えたい生活を諦めずに心の中に抱き続けてみたくありませんか?

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    東京で働く、だけが正解じゃない

    様々なエリアの大学生と話してきて「東京かそれ以外か」と考えている人が多いように感じます。

    「一度は東京に住んでみたい」

    「大きい企業で働くには、なんとなく東京に行かないといけない気がする」

    そんな声をこれまでに聞いてきました。そういった考えはもちろん否定しませんし、一人ひとりが何に重きを置くのかはそれぞれ。ただ、自分の中の希望に優先順位をつけず、「東京」「大企業」「業種」などの希望がバラバラになってしまい、どこを受けたらいいのか迷子になってしまうケースも非常に多いです。自分にとって譲れないポイントはどこなのか、一度じっくり考えてみるのも良いかもしれません。

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    それに、意外な会社が、本社は東京以外にあるということに学生さんほど気づいていなかったりします。自分の地元に実はこんな会社があった!と調べてみるのもおすすめ。目の前の新卒採用だけでなく、長い目で見たときの就職先として選択肢に入ってくるかもしれません。

    ケース①まずは東京で働いて、Uターン・Jターン

    「いつか地元に戻りたい」という気持ちを抱いていても、その具体的な方法をイメージできない人も多いでしょう。ここでいくつか、こんなケースがあるという事例をご紹介します。

    よくあるパターンとしては、まずは新卒で上京して働いてから戻ること。東京は人口も多い分、就職先の幅が広いのは確かです。修行期間と思って東京で働き、スキルが身についてから故郷へ戻ることで、自信を持ってUターンできます。

    職種によっては、東京の方がお仕事の単価やお給料が高いことも。地域ではなかなか根付いていない新しい職種でも、東京で実績を作ってから戻ることで「手に職」をよりパワーアップさせることもできます。

    もうひとつ「Jターン」という言葉があります。移住のことを調べているとよく出てくるキーワードなのですが、地元の近くの大都市圏まで戻って働く、というイメージです。たとえば、鹿児島出身で福岡で働くとか、帯広出身で札幌で働くなど。

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    「地元で働く」となると実家に帰ることだけが選択肢のように考えてしまう学生さんも多くいますが、人によって「自分にとっての地元」の範囲は違います。移住の仕事を始めてから気づいたのは、高校生活や大学生活を過ごした街に戻る人が多いということ。少しでも住んだ経験のある街には愛着があったり、安心感があったりするのでしょう。

    ケース②地元の会社をしっかり調べてみる

    必ずしも一度東京に出なければならないわけではありません。最近お仕事でご一緒している企業さんは、日本全国どこでも商品を見かける、誰もが知っている大企業ですが、実は東京に支社すらない、ということに驚きました。東京に会社があるから影響力が大きいとは限らないのです。

    九州のある大手企業は、社員のほとんどが地元出身の社員だと言っていました。地元愛の強い人が多いというだけでなく、たとえば入社してから大学院で学び直したい、という人がいれば学費の面で補助をしたり、その後も戻ってくる仕事の枠を用意していたり。

    地元に縛り付けるというニュアンスではなく、いろいろと選んだ上で地元で働きたいという人たちにとって働きやすい環境なのだろうと感じます。とても歴史ある企業ながら、創業者の代からホワイトな働き方を徹底してきたという考えにも感銘を受けました。「働く時間を増やせば儲かる理屈はわかっているけれど、働く社員が資本なのだから体を壊さない方にすることが大切」という考えが、70年前から根付いていたのです。

    東京こそが働き方の最先端、と考える人がなぜか多いですが、そうではないパターンもあることをぜひ知っていただきたいです。「灯台下暗し」になりがちですが、生まれ育ったエリアに素敵な会社があるかもしれない。そう考えて企業探しをしてみるのもおすすめです。

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    今すぐに選考を受けなくても、地元の会社を知っておく

    「いつか地元で働きたい」という人は、ぜひその選択肢を忘れずに持っていて欲しいです。今すぐには選考を受けないにしても、就職活動という「仕事探し」に時間をたっぷり使えるタイミングだからこそ、地元の会社を調べておくのも良いでしょう。

    様々な自治体や各地域のNPOなどが、東京で若者向けのイベントを開催することも多々あります。そういったイベントに顔を出すことで、こんな会社があるんだ、こんなキャリアを実現した先輩がいるんだ、という気付きを得られることも。

    新卒で入る会社だけが、その後の人生を過ごす場所とは限りません。自分がどこで暮らしたいのかということも含めたキャリアプランを、ぜひ考えてみてください。

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    (文: 山本梨央、デザイン:高木菜々子、編集:竹本拓也)