内定や新卒で「ここは自分の居場所じゃない」どうすればたどり着けるか

2024年1月22日(月)

「本来いるべき場所」に迷うとき

就活生や第二新卒の中で「自分の本来いるべき場所はここじゃない」という感情を抱いている方に出会うことがときどきあります。

「本当にやりたい仕事は他にあるけれど、受からなかった」

「入りたい業界や会社が新卒を募集していなかった」

「自分がもっと輝ける場所があるはずだ」

こういった声は悪いものではないと思います。不満ともいえるこういう感情が生まれているということは、自分のやりたい仕事が明確になったからかもしれません。就職活動をしてみて、もしくは新卒で会社勤めをしてみて、新たに自分に合った仕事について考え直すのもキャリアプランを考える上では重要なことだと思います。

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考えるだけで終わるか、きちんと行動するか

「本来いるべき場所はここじゃない」という考えに至った人の中でも、その後のキャリアが二極化するケースも多く見てきました。周りからのお膳立てを待って、不満について考え続けてしまう人。もしくは、自分から状況を変えようと動く人。後者の方が圧倒的に、自分らしいキャリアを切り拓いていく確率が高いと思います。

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では、どうやって状況を変えていけば良いのでしょうか?私自身のこれまでの働き方や、採用支援などを行ってきた中で見えてきた打開策として、たとえば以下の3つが挙げられます。

  1. 今の環境の中で自分自身のアクションを変える

  2. 環境を変えようと働きかける

  3. 別の環境に移る

自分自身のアクションを変える

たとえば今、大学生でこれから就職活動を控えていたり、まだ就活を始めるには早いけれど将来のことを考えているなら、研究をしっかり深めたり、インターンやアルバイトなどで興味のある世界に足を踏み込んでみることをおすすめします。

新卒ではハードルの高い業界でも、たとえば一日だけのイベントなどのバイトの募集が出る機会もあるかもしれません。興味のあることを周りの友人たちに話していたら、先輩のつながりで憧れの会社のアルバイトをできることになった、というケースもありました。

些細なきっかけかもしれませんが、そうした場面でできた繋がりや体験が、自分の自信につながることも少なくありません。場合によっては、小さくともそこで実績を作れる可能性もあります。

最近、ライターの仕事をしていきたいという相談を何人かの若者から受けました。仕事としての実績がない場合、採用をする目線からしたら何を基準に判断するべきかがわかりません。日記でも、何かのイベントに行ってみたレポートでも、自分自身の言葉をまずは紡いでいるところから始めてみたら?とこえをかけてみましたが、そこで実際に書き始めるのか、「何もしなくても仕事が向こうからやってくる」と待つ姿勢を貫くのか。得られるチャンスの多さは一目瞭然かと思います。

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環境を変えようと働きかける

これは新卒や第二新卒に限らず「仕事」に関わる全ての世代に言えることだと思うのですが、「環境が悪い」とため息をつく人は、残念ながらどの職場にも存在します。ちょっとしたガス抜きはもちろん必要。「本当にこういうところ、どうにか改善してほしいよね」とわかりあえる仲間同士で語るのも、ある意味、仕事終わりのビールをおいしくするスパイスでもありますよね。

ただ、ずっとその不満だけを抱え続けるのであれば、環境自体をどう変えられるか働きかけてみるのも良いのではないでしょうか?若手であれば、自分から制度を大きく変えるのは難しいかもしれません。経験が浅いまま、気になるプロジェクトにアサインされないこともあるでしょう。

でも、できることはきっとあるはず。「こういうことで困っている」という声を、まずは相談しやすい人に話していくことも大切です。「こういうチャレンジをしたい」といろんな人に伝え続けたら、ポテンシャルを見込んで携わる機会をもらえるかもしれません。

就活生にとっても、内定が出てからのコミュニケーションの中で、自分の希望を諦めることなくしっかり発信して、働きかけることもできるチャンスはあるでしょう。

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別の環境に移る

自分自身の動き方も変えて、環境が変わるように働きかけもして、それでも「自分の居場所は絶対にここじゃない!」と感じているのなら、別の場所を探してみるのもひとつの手段です。

これは、内定を辞退したり転職をしたり、というだけではありません。たとえば仕事をしながら、ボランティアやプロボノとして自分のやりたい方向の経験を積むこともできると思います。

私自身、新卒の頃は副業禁止の通信会社に勤めていましたが、未経験ながらも文章を書くという仕事への憧れは諦めきれずにいました。そのとき、ちょうど知人のプロジェクトで文字起こしやライターをボランティアで探していると聞き、挑戦してみた時期がありました。「会社」という場所から「ボランティア」という場所に活動範囲を広げることで、数は少ないけれど実績を作ることに繋がったのです。その経験から、前職では営業だけでなく編集という仕事にも関わることができました。

「自分がいるべき場所はここじゃない」と感じたのなら、同時に「行きたい場所にはどうしたら行けるか」を考えてみることをおすすめします。そうすることで、おそらくただじっと待っているだけ、という選択肢は消えていくのではないでしょうか。

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せっかく自分の居場所について強い気持ちを抱くことができたなら、後悔がないくらい、自分にできることをやりきってみたくありませんか?思い通りのキャリアを築いている人たちは、大なり小なり、こうしたアクションを重ねている気がします。

(文: 山本梨央、デザイン:高木菜々子、編集:筒井智子)