感情はあくまで物質。脳から「ネガティブ思考」をハックしよう

感情はあくまで物質。脳から「ネガティブ思考」をハックしよう

    忙しい毎日で、会社と家の往復ばかり。もう少しインプットしたいけど、スマホを見るとついSNSやゲームでダラダラ時間を溶かしてしまう……。

    ビジネスパーソンのみなさんが「定時までに帰れること」をサポートすべく、業務効率化やキャリアアップに役立つ新刊ビジネス書の著者をお招きして、今日からお仕事にちょっと役立つノウハウやTipsをインタビュー。ポッドキャスト番組「定時までに帰れるラジオ」の一部をダイジェスト版でお送りします。

    ゲストは『人生うまくいく人の感情リセット術』(三笠書房)の著者・樺沢紫苑さんです。

    目次

    樺沢紫苑さんプロフィール

    感情とは、物質である

    野上:今回のテーマは「脳の仕組みを知れば、感情はいつでもリセット」ということでお届けしたいと思います。

    今回はご専門である脳の仕組みについてなんですが、「苦しい、楽しいというのは、脳内物質ホルモンの変化によるものなんだ」と説明されています。これについて具体的に解説いただけますでしょうか?

    樺沢:皆さんは苦しい、楽しい、つらいといったいろいろな感情をお持ちだと思います。最近の研究では、その感情は「物質」に還元されるということが分かってきているんですね。

    例えば、不安な時はノルアドレナリンが出て、友達としゃべって楽しいときはオキシトシンが出てるし、仕事で成功したときはドーパミンが出る。ストレスが何カ月も続いている状態だと、コールストレスホルモンのコルチゾールが分泌されているんですね。

    そういう物質が出ている状態が楽しい、つらいだとすると、それらの物質を増やしたり減らしたりすると、楽しくもつらくもなりますよね。できるだけコントロールできるようになろうというのが私の考え方なんです。

    寝る前の5分でハッピーに! 精神科医が教える「3行ポジティブ日記」
    VioletaStoimenova / Getty Images

    皆さん、心の話となると、分からないじゃないですか。「心がつらい」って言うとフワッとしちゃって捉えどころがないし、対処法もどうしたらいいか分からないと思います。

    ですが、例えばセロトニンが下がるとイライラしやすくなってくる。だったら、感情をコントロールする物質であるセロトニンを増やしましょう。セロトニンを増やすにはしっかりと睡眠をとって、朝太陽の光を浴びて、ちょっと運動して、あと朝食を食べるとかなり整うわけですね。そういうコントロール可能なものと考えた方が心を調整しやすいと思います。

    「心を癒しましょう」って言っても、すごく分かりづらいですから。私は脳内物質ホルモンに置き換えて話しますね。

    まずは1回チャレンジ!朝夜におすすめの習慣

    野上:脳内物質の話をいくつか挙げていただき、朝の習慣とセロトニンのお話がありました。最近「1日のうちにこれやれば整う」みたいなことがブームなんですけど、どちらかというと継続することに意味があるんでしょうか?それとも、短期でもやったとしても効果がありますか?

    樺沢:1回でも効果はあります。しかし、例えばセロトニンの場合は朝太陽の光を浴びて散歩をすれば分泌しますが、セロトニンを分泌する神経自体が弱っていると分泌できる量も少ししかないんですね。

    セロトニン神経が元気な状態で、同じ時間光を浴びて散歩すると、100%の状態で1日をスタートできます。でも、何かストレスを抱えている人は、朝起きても何か力が湧いてこない。そういう人は元々のセロトニン神経が弱っている可能性があるんですね。

    ところが、毎朝太陽の光を浴びて散歩するのを継続していくと、弱ったセロトニン神経が徐々に元気になってきます。1カ月程度続けていくと、かなり効果が出てきます。ですが、たった1回でもやらないよりはセロトニンが出ているのは間違いないと思いますよね。

    野上:そうすると、やっぱり今日から1回でもやることがすごくプラスだし、3日坊主になってもまたやって、できれば継続すればそれはよりよいよ、ということですね。

    樺沢:1週間、朝散歩するだけでもすごく元気になる人もいます。

    寝る前の5分でハッピーに! 精神科医が教える「3行ポジティブ日記」
    Leonardo Patrizi / Getty Images

    野上:寝る前についてはいかがでしょうか?

    樺沢:寝る前はリラックスして過ごしてほしいです。何もしないのが一番よくて、お風呂に入ってる時にボーっとしている時なんかが眠りにいい状態なんですね。しかしながら皆さん何をしているでしょうか?

    大体、スマホでドラマやアニメを見たり、ゲームをしたりしていますよね。これだと脳を興奮させてしまう。さっき言ったように、朝太陽の光を浴びるのはいいんですけど、夜に明るいものを見るのはよくありません。

    ブルーライトという言葉を聞いたことある人も多いと思うんですが、これは午前中の青空の光の波長です。寝る前にスマホを見ると、その瞬間に青空の波長がバーンって入ってきてしまうんです。だからせっかく眠たくなっていたのが、青空の光が入ってきて、脳が朝だと勘違いして眠気を吹き飛ばしてしまうんですよ。そうすると、睡眠どころじゃありません。

    人によって光の感受性って相当違うらしく、大丈夫な人もいるんですけど、それが原因で不眠症になって睡眠薬を飲んでる人もいます。なので、寝る前の少なくとも30分ぐらいはスマホを見るのは避けた方がいいですね。

    寝る前の「3行ポジティブ日記」のすすめ

    野上:ちなみに樺沢さんは寝る前どういうふうに過ごされていますか?

    樺沢:できるだけボーっとしています。私は家に帰ってきたらできるだけパソコンもスマホも開かないで、身支度して、歯ブラシして洗顔して、すぐ寝てしまった方が一番いい感じですね。寝る前にスマホとかパソコンをやらない方が眠りがいいですね。

    野上:最近私もそうなんですけれども、リモートワークがかなり普及してまして、そうするとなかなか家の中でそういう切り替えみたいのが難しい。つまり、常に私もパソコンを開いちゃってる、スマホを見ちゃってる、画面もついちゃってるみたいな状況なんですね。これはやっぱり切り替える、オンオフすることが注意点ですか?

    寝る前の5分でハッピーに! 精神科医が教える「3行ポジティブ日記」
    luza studios / Getty Images

    樺沢:私は3行ポジティブ日記をおすすめしています。寝る前の5分でいいので、その日一日を振り返る時間です。

    その時はパソコンもスマホも閉じて、ノートに今日あった楽しかったことを3つ、1行ずつ書いていくワークです。そうすると、スマホを見ないですよね。今日1日を頭の中で思い出す。楽しいことだけ思い出して、ネガティブな失敗は思い出さないでください。もう忘れちゃって構いません(笑)。

    歯を磨いて、パジャマに着替えた後にやるといいですよ。そのまま布団に入ると、1日楽しかったね!ってことを思い出しながら、すごくぐっすり眠れるんです。

    たった3行箇条書きするだけなので、5分もかからないと思います。皆さん、寝る前にスマホを30分触らないのはたぶん無理だと思うんですよね。だから初めは5分でもいいので、とりあえずその自分と向き合ったり落ち着いたり、リラックスする時間を作ってください。そのための時間の使い方として、この3行ポジティブ日記をおすすめしています。

    (続く)

    フルバージョンは音声版で!

    この後はこんな話をしています。

    • テレワークだと分泌されづらいオキシトシン

    • 悩んでいる時は「鳥の目」でみる

    • 樺沢さんのChatGPTの使い方





    (文:鍬崎拓海、デザイン:高木菜々子、編集:山崎春奈)