入社後、まずやる仕事は何か——。
これは志望企業を選ぶ際、就活生が気になることの一つだろう。仕事内容が期待したものとあまりに違うと、失望してしまうからだ。
だが、企業説明会で先輩社員の働き方を聞く機会はあっても、その内実を確かめるのは難しい。
そこで、今年4月23日に出版された書籍『JobPicks 未来が描ける仕事図鑑』では、22職種のビジネスパーソン約300名に仕事のリアルを取材。
ここでは、本の中でまとめた各職業の「最初にやる仕事」を抜粋して、就職活動で併願されやすい職業を比較してみた。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、新人時代に何ができるのか、前もってチェックしておこう。

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商社パーソンと経営コンサルタントは、案件次第でさまざまなビジネスに携われる点で、常に人気職種の上位に上がる。
両方とも経営の上流(戦略立案〜実行プラン)から携わる仕事なので、ビジネスを動かすイロハを学べそうというのも魅力だ。
こうした共通項はあるものの、就職後「最初にやる仕事」は全く異なる。
■ 商社パーソン:新入社員が最初にやる仕事
かつてはトレーディング、今は事業投資が収益の柱となっている商社。多くの事業領域があるからこそ、新卒社員がやる仕事に「典型的なパターンはない」(三井物産・田渕順司さん)。
例えばトレーディング事業で金属資源を扱う部署に配属されれば、最初はマーケットを知るところから仕事が始まる。
扱う資源の値動きを観察しながら、米中貿易戦争の中、米大統領の発言でどのように値段が動くのかなど、関係するニュースを徹底的に収集する。「そうする中で、商品に対する肌感覚が身に付きます」(田渕さん)。
これが事業投資になると、例えば不動産領域なら、どうすればマンションが売れるのか、間取りの検討や契約書づくりのノウハウなどを実践で学びながら考えていく。
自分がモデルルームに立つこともあり、「普通のディベロッパーと同じことができるようになりつつも、自分たちがやるべきことを企画していくイメージです」(三井物産・和田佑介さん)。
■ 経営コンサルタント:新入社員が最初にやる仕事
経営コンサルタントは、クライアントの経営課題を発見し、その解決策を実行する仕事だ。
近年では、課題の7割近くがデジタルに関連することから、問題解決能力に加えてデジタルへの知見も求められる。
修業時代の役割は主に3つ。1つ目は、議事録を取ること。社内会議はもとより、クライアントの課題解決のインサイト(洞察)を引き出すための現場インタビューに同行し、その議事録をまとめる。
2つ目は、データ分析だ。クライアント企業に適切な課題を提示するためにはまず相手に必要なデータをもらい、それを分析することから始まる。
新人はそのデータが期限までにそろっているか、進捗管理を行いながら、出てきたデータからインサイトを得るため、エクセルなどで管理・分析する。
3つ目はプレゼン資料づくりの一端を担うことだ。経営コンサルは1回目の定例会議でのプレゼンが勝負。新人はマネージャーに振られた絵コンテを基に、課題とその対策を裏付けるデータを集め、図表に加工するなどして貢献する。
両方とも、新人でも自分で解決するべき課題を探すことが求められ、これが仕事の面白さになっている。
ただ、実際に行う業務は、商社パーソンがより実務寄りで、経営コンサルタントは定量・定性データを集めて分析する仕事が続く。
入社後に身に付くスキルも、下図のように少し違っている。ビジネスを動かす基礎力の付け方が異なるので、どちらが自分に合うか、考えてから応募しよう。