目的から目を離さず、実現のためには領域を超えて何でもする仕事
大企業では珍しい?責任と権限の完全一致
最前線でしくじりながら七転八倒する人たち
事業企画・事業開発とは、事業の成長戦略を立案し、利益を生むために必要なプランを遂行する役割。ビズデブ(BizDev=Business Development)とも呼ばれる。既存事業の改善を主導する仕事もあれば、ゼロから新規事業を企画・実行する仕事もあり、置かれた状況によって様々な役割を担う。
仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
苦労していた/悩んでいた顧客が自身が生んだ事業により笑顔になってくれた時。
昨年のプログラムの際に、ある自治体から、
”ふるさと納税の活性を検討するも、現存のふるさと納税サイトでは人気の自治体が強く、ふるさと納税が活性しない”
と意見をもらいました。
オンラインでまともに仕掛けては、強豪自治体と戦えないと考え、
その市の魅力である特産品(ワイン)に注目。
ワインを試飲してもらい、その場で納税することでお得に持ち帰れる、オフライン型の...
モデルを提案。 これまでに無い新たなビジネスモデル、かつ、自治体・小売業・お客さん三者にメリットが多かったことから、自治体も快諾され、東京で行われた同市のワインイベントにて施策を実施。 取り組みにて、納税額増だけでなく、次年度以降もその市へ納税をするといった回答を多く得ることが出来、自治体の方が笑顔になってくれた時は、非常にうれしかったです。 初回打ち合わせから1か月のスピード感で実証を行ったため、社内外調整含めハードな期間でしたが、自治体の方や利用者の方が笑顔になってくれたので、疲れも吹っ飛ぶくらい達成感がありました。
この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?
自分の言葉の主語が、顧客やユーザーでも、パートナーの誰でもなく、社内の誰かになってしまうことが続く時。
新規事業の場合、自社の過去の成功を起因とする各種の慣性力に抗いながら、時にはそれをうまく利用しながらそれを振りほどいて、想定顧客やユーザー、社会やパートナーとの接点を持てるようにしなければならない。
また、事業開発が進む段階になると、社内の“自称仲間”が増殖し始めて、投資家でもコミットのあるメンバーでも、メンターでもアドバイザーで...
もない、何でもないその様な人々とのコミュニケーションが増えてしまうことが多い。 活動の全てを顧客やユーザーのために捧げたいと思う一方で、この様に、ある時期では、全くそれが出来ない時があり、「折角、築いた関係性が壊れてしまうのでは」「二度と関係性を持てなくなってしまうのでは」という想いが湧きたち、非常に辛い思いをする時がある。
転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。
事業企画を考える上で、必要な要素を体系立ててまとめてあることがおすすめの理由です。
事業企画や事業開発を目指す入門書という観点では、20代の社会人経験が浅い時に読んで、いろいろな経験が土台となっている30代になって、改めて読み直すことに大きな意味が生まれる特別な一冊だと思います。
経験がないと本に書かれている内容は頭に入るだけで定着しないから実務で使えない。そんな経験がある人と、その予備軍の方にはおすすめです。
(20代の経験+本...
著) × (30代の役割+本著) = 事例のない新規事業のサバイブ
同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?
スタートアップなので、会社にこの職業の先輩や同僚はいないのですが、
もともと新規事業をたくさん手掛けられた、あるVCの方から教わった
“新規事業に想定外はつきもの。成功か学びしかないと思え”
という言葉は仕事上の教訓になっていると感じます。
新規事業はとにかく凹むことが多いです。
企画は社内で没になるし、営業に行っても売れないことも多いです。
いざ事業が始まっても、最初の想定の甘さから思わぬ不手際でお客様に迷惑をかけてしまうことや...
、仲間にハードワークを強いらざるを得ないことも少なくありません。 昨年初めて、新規事業におけるサービスオペレーションの構築を行った際に お客様の要望の細部までの理解が十分でなかったためにサービスを世に出す前日に深夜までお叱りを頂いたこともありました。 この時は社長に連絡してお客様に謝ってもらい、何とか場を納めてもらったのですが、お客様にも、一緒に謝ったチームメンバーにもふがいない気持ちになりました。 ただ、そこで“失敗”ととらえて落ち込んだところで事態は好転しないので、 それ以降毎週、“今後起こるかもしれないこと会議”という ただただ今後起こりそうな“しくじり”をブレストしてそれが起こらないような対応策を考えるようにしました。 それ以降は、お客様からお叱りを頂く機会は減り、連続して複数社に対して提供させて頂く形のサービスだったのですが2社目以降のお客様からはお叱りを頂くことなく進行することができました。 業界の大先輩が“新規事業に想定外はつきもの。成功か学びしかないと思え” とおっしゃってくれていたおかげで、 僕も“あんなスゴイ事業を起こした人でも失敗するとか言っていたな、まあ凹んでいてもしょうがないし頑張ろう”と気持ちを立て直すことができたのは良かったと思います。
この仕事に向いている人、向いていない人の資質とは何だと思いますか?
事業開発は、社内でまだ誰もやったことがないことや、答えがわからないことに対して向き合う場面が多くあります。
そんな状況でも、変化を楽しみながら前を見ることができるか、リーダーシップを発揮して周囲を巻き込みながら仕事を進めることができるかが、とても大切な資質だと思います。
反対に、業務内容や進む道筋がきちんと決まっていることを着実に進めることが得意なタイプの方にとっては、ストレスのある仕事かもしれません。
この職業について未経験の人に説明するとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?
企業のリソースを使い倒す狂人
世の中があっと驚くようなアイデアで、イノベーティブなビジネスを生み出したい。そんな思いで事業企画・事業開発をやっている人たちが多いようです。
反面、仕事の過程では自分自身も想定外の出来事が起きることも多く、ロールモデルの投稿を読んでも、計画通りに物事が進むことはほとんどありません。日々、不確実性と付き合いながら、目指すゴールに向かってチームを推進していくマネジメント力と胆力が求められます。
面白さと苦労は表裏一体だと割り切って、清濁合わせ飲みながら新規事業を形にしていく。今まで経験したことのない局面でも、必要な知識や解決策を走りながら学んでいく。
こういったプロセスそのものを楽しむことができる人に、向いている仕事です。