忙しい毎日で、会社と家の往復ばかり。もう少しインプットしたいけど、スマホを見るとついSNSやゲームでダラダラ時間を溶かしてしまう……。
ビジネスパーソンのみなさんが「定時までに帰れること」をサポートすべく、業務効率化やキャリアアップに役立つ新刊ビジネス書の著者をお招きして、今日からお仕事にちょっと役立つノウハウやTipsをインタビュー。ポッドキャスト番組「定時までに帰れるラジオ」の一部をダイジェスト版でお送りします。
忙しい毎日で、会社と家の往復ばかり。もう少しインプットしたいけど、スマホを見るとついSNSやゲームでダラダラ時間を溶かしてしまう……。
ビジネスパーソンのみなさんが「定時までに帰れること」をサポートすべく、業務効率化やキャリアアップに役立つ新刊ビジネス書の著者をお招きして、今日からお仕事にちょっと役立つノウハウやTipsをインタビュー。ポッドキャスト番組「定時までに帰れるラジオ」の一部をダイジェスト版でお送りします。
野上:今回は、「細分化して片付ける30分仕事術 ──あえての時間しばりが最高の結果をもたらす」の著者、滝川徹さんをゲストにお迎えしました。
滝川さんは時短コンサルタントとして執筆や講演活動をされているんですが、実は大手金融機関の現役会社員でもあります。「定時までに帰れるラジオ」が始まって以来かもしれませんけれども、本当に「定時に帰っている張本人」ということです(笑)。
今回取り上げる本はタスク管理に関する1冊。滝川さん、この本を通して伝えたかったことを一言でお伝えいただけますでしょうか。
滝川:「1日に1つの仕事にあえて30分しかやらない」。これが伝えたい1つのメッセージですね。
例えば3時間かかるような仕事があったとしますね。そういった仕事は、一般的に「3時間の仕事を(一気に)片付けちゃおう!」って取り組んでる人が多いんじゃないかと私は思ってるんですけども、そこをあえて1日30分ずつ、毎日ちょこちょこやるっていう。
野上:小分けにしてやっていくということなんですね。
滝川:1つのメリットは、取り組みやすくなること。僕自身、新人の時にそうでしたけど、3時間の仕事に「今からやるぞ!」って思うと、なかなか取り組めないんですよ。「明日でいいや」みたいな。あるいは、先に別の仕事に手を付けてしまう。
野上:やりやすい仕事に手をつけて、なんとなく仕事した感は出るけども、もともとの3時間のビッグタスクには腰が重くて取り込めないと。
滝川:そうです。「先送り」って言い方を私はしてるんですけども、結局それやらなきゃって今日決めてるはずなのに、別の仕事をやっちゃう。そうすると取り組めなくて、結局残業して終わらせなきゃってなるわけですよね。この仕事術の1番好きなところは、まず着手ができることです。
もう1つは「ただ時間をかければいい」というコンセプト。「30分でここまでやるぞ」って思うと力入っちゃいますけども、30分、ただ時間をかければいいんです。そう思えば誰でも着手できますよね?変な話、仕事の書類を30分机の前に広げて、30分ボーっとしててもいい。
でも、目の前にやることがあるのにぼんやりしてるだけって人間難しいんですよ(笑)。で、やり始めたらなんだかんだ作業は進む、という。
野上:なるほど。逆に手をつけてしまうと、30分で仕事を切るというのができなくなりそうです。
滝川:それでもあえて30分で区切ることで、仕事の生産性が上がりますっていうのがこの本のコンセプトになります。
野上:よほどのアスリートだったら30分のルーティンワークみたいなことをやってる人いるかもしれないですけど……。職場ではやっている人を見たことないというか、ある意味常識破りというか。同じことをしてる方っていらっしゃいます?
滝川:いないですね、やっぱり。
野上:このやり方にたどり着いたのは、どういう背景があるんでしょうか。
滝川:残業ゼロにしようと思っても、それはこれまでしていた仕事を丸投げして帰っていいというわけでは当然ないですよね。つまり、定時までに確実に帰るためには、今日やるべき仕事の計画を立てておく必要があります。
3時間のこのタスクを今日やらなきゃいけない。でも、会社員に限らずビジネスをやってると、突発的な仕事が入ってきたりします。クライアントから急な依頼が入って「これ、今日中によろしく!」と言われたり。そうなると、3時間、5時間単位のタスクを手元に残しておくと、終わらせられなくなっちゃったりするわけですよね。
だけど、先ほど話したように30分ずつ毎日ちょこちょこやっていれば、今やらなきゃいけない部分は5時間のタスクのうち30分だけだから、最悪定時から30分だけ――5時半ぐらいまで残業すれば終わりです。こういうリスク回避的な考え方から始まったんですよね。
野上:リスクヘッジとして、あまりでかい石を持っておかない。30分刻みにして身軽にしておくということで小分けにしておけば、多少延びたとしてもプラス30分、5時半には帰れるんじゃないかというところが発想の源泉だったという。
滝川:残業ゼロっていう働き方をやろうと思ってなかったら、たぶんこの発想にはなってないんですけど。結果的にそれが生産性を高める、効率よい働き方にもつながったということです。
野上:そもそも残業ゼロにしようと思ったというのはどういうことなんでしょうか。
滝川:私は2005年に入社したんですけど、2008年ごろにたまたま出逢った本がありまして。吉越浩一郎さん、元トリンプの社長で全社残業ゼロにした方なんですけども。吉越さんの本を読んでその生き方に憧れたんですよね。
簡単に言うと、残業ゼロで、仕事はきっちり時間内でやりつつ成果も出して、家庭の時間もちゃんと確保する。この働き方に憧れるようになったのが2008年ぐらいでした。実際にできるようになったのは2016年でしたけども、それまで8年の時間をかけて残業ゼロを実行しました。
野上:具体的に1番役立ったノウハウが、この30分仕事術だったということなんですね。先送りせずに着手ができることが最大のメリットという話だったんですけど、具体的な手法として、どういう形でこの30分をスケジュールしていけばいいんでしょうか。
滝川:私の場合は、朝仕事を始める前に1日の計画を立てます。それで順番に上から取り組んでいくイメージでやっています。
野上:一方で、打ち合わせなど、どうしても組織でグループやチーム単位でやってる以上は、ある程度拘束時間みたいになると思うんですけども、その場合は、それはそのままスケジュールに入れ込むということでしょうか。
滝川:もちろん、それは。
野上:30分で退席したりしないですよね?
滝川:まさか!そこまではしません!(笑)
野上:全体で合わせないといけないところは合わせるんだけども、全部同じようにやっていくと、おそらく塊が大きすぎるんじゃないかという問題点かと思います。
今、8年がかりで残業ゼロを達成されたということなんですけど、仕事って進むんですか?
滝川:もちろんです。なぜかと言うと、実は着手することが仕事で1番難しいんですよね。着手さえしてしまえば、仕事は進む。30分の単位が、科学的にも人が集中できるし、飽きがこない最適な時間単位という考え方もあります。
その30分を5日間続ければ150分なんですけど、まとめてやるよりもずっと濃い時間なんですよね。生産性が上がるので、当然早く仕事も終わります。
野上:私は編集者の仕事をやっているので、企画を考えたりアイデアを練ったりとかっていうのにそれなりに時間がかかります。例えば30分くらい経った時に、いい感じに(仕事の成果が)上がってきた時にそこでパタっと切るっていうのが、まだしっくりこないというか……まとまった時間欲しいなという気持ちがあるんですけど、どうすればいいですか。
滝川:それはですね、まずやってみていただきたいですね。
野上:「まず、やれ」と(笑)。ガチャガチャ言わんと!
滝川:というのは、本当に30分で切ったらアイデアを失ってしまうのか?をまず考えなきゃいけないですよね。30分で切って翌日やったら、意外と冷静になってもっといいアイデアが出たりするかもしれない。やってみないと、どちらが自分に合ってるかはわからないですよね。
セミナーでもよく質問を受けるんですけど、逆に言うとあえて30分で切っていることで、翌日早くやりたい意欲が高まって、より着手しやすくなる可能性もあるわけですよ。
野上:人間の心理に逆らっているというか。やっぱり小さくすることによって着手しやすくするっていうのもそうですし、「もうちょっとやりたいんだ」っていうことで、翌日さらにまたスタートダッシュが切れるんだというアプローチでしたよね。
滝川:あくまで30分は1つの目安で、別に1時間でも15分でもいいんですよ。例えば私、毎日小説書いているんですけど。
野上:小説を書いている?ビジネス書じゃなくて?
滝川:小説です。やってみたいから(笑)。で、取り組む時間は実は毎日15分なんですね。30分だと、小説の場合は取り組めないからなんですよ。心理的ハードルが僕にとっては高いんで。
野上:未開の領域は30分だと重すぎる。
滝川:まだやったことがない、かつ優先順位が自分の中で低いですからね。30分毎日小説を書こう!は今の私にとっては結構ハードルが高いので、15分ずつ続けています。
目的はさっき言ったように着手することなので、着手するにはどうしたらいいか。30分じゃ気が重い。だったら15分やってみようっていう風にしたわけです。
野上:英語学習、プログラミング、ダイエットといった、やりたい気持ちはあるけど優先順位は高くない、ちょっと着手しづらいみたいなものにも応用できそうですね。1時間とか30分でも重いってのは確かに分かるので。
私も「今、30分走れ」って言われてもちょっとしんどいので。 10分、15分ぐらいならっていう感じはしますよね。
滝川:そういうことです。やっちゃったら意外と20分、30分できることもありますしね。どうしてもやっちゃいけないわけじゃないので、やってもいいですよ、もちろん。
野上:そこは結構弾力的なんですね。
滝川:30分は1つの原理原則なので。僕の場合、ビジネス書を書いたりするのは全然苦じゃないので、昔は30分でしたけど今はもう慣れてきたので、1時間にしています。
(続く)
フルバージョンは音声版で!
このあとは、こんな話をしています。
自分が制御不能な「割り込みタスク」は1日当たり2時間!?
そのメール、本当にすぐ返す必要ありますか?
「30分仕事術」でデッドラインの見え方も変わる
(文:竹本拓也、デザイン:高木菜々子、編集:山崎春奈)