経営コンサルも実践「短期間で顧客の心をつかむ」ワザ9選
2022年9月14日(水)
経営コンサルタントは就活生からの人気の高い職種だ。
23卒東大・京大就活人気ランキングでも戦略コンサルティングファームは上位に位置する。外資系の有名なコンサルティングファームはブランド力があり、給料も高い。
しかし華やかな側面もある一方、成果主義に基づく厳しいカルチャーも特徴的だ。その背景には、高い報酬を得て行うクライアントワークだからという理由がある。
以下の記事で、経営共創基盤の塩野誠さんはクライアントワークの厳しさを次のように説明している。

【経営コンサル】採用担当が絶対に明かさない「5つの仕事のリアル」
新卒でコンサルタントになるのと、事業会社に就職するのは、全く違うものと思ってください。
一番の違いは、Day1(業務を始める初日)です。コンサルタントの仕事は、どれもクライアントからお金をもらってやるものになります。だから、本当にDay1から、報酬に見合った何かしらの価値が求められます。
かかわるプロジェクトにもよりますが、新人で1時間あたり2〜3万円くらいの単価だとすると、その価値をどう出すか。何も教わっていない状態でも、すぐに価値を出せないと「あなたは役に立っていないよ」となります。
期待に応えられなければ、若手の場合はプロジェクトから容赦なく外され、マネジャー以上なら案件そのものの失注も起こり得る。
そのため、たとえ2〜3カ月程度の短期プロジェクトでも、その間にクライアントから信頼を得る仕事ぶりを見せる必要があるのだ。
そこで今回は、JobPicksに経験談を投稿する経営コンサルタントのロールモデルが、クライアントの信頼を獲得するためにやっていることや、先輩コンサルから教わったアドバイスをピックアップ(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。
コンサルのみならず、クライアントワークに携わる人はぜひ参考にしてみてほしい。
期待を上回る意識と並んで重要なのが、プロジェクトへの当事者意識だ。オーナーシップがないと仕事の質は下がり、信頼が損なわれてしまう。
ローランド・ベルガーの鈴木慎吾さんは、自身のオーナーシップの有無をユニークな方法で確認するという。
クライアントへ何か提案する際に、「自分の親が経営している会社にも同じ提案をするか」を自らに問うようにしているそうだ。
この仕事に転職して1年弱ほど経ち、昇進も経験し、社内では誰からも「す
クライアントの顔色を伺っているだけでは本当に良い提案はできない。本当の意味で役に立つ提案をすることを意識しよう。
ボストン コンサルティング グループのUchikoshi Takeshiさんは、ときにはクライアントに厳しいことも伝えるという。
「プロフェッショナルである以上、クライアントから期待されている以上の価値を出すことにフォーカスするのがBCGでの仕事の基本」だということ。 クライアントから頼まれたこと、作業を請け負うことを徹底するのはクライアントワークの最低限の仕事であり、「BCGでの価値の出し方」はときに「クライアントにとって耳触りが良いことだけでなく、目をそらしていた課題やストレスのかかることも価値として示す必要がある」という言葉が働く上での金言となっている。
コンサルタントは案件ごとにさまざまな業界に携わる。全く知識のない業界の案件を任されることもある。
しかし、コンサルタントとしてかかわる以上、業界構造やビジネスモデルは「知っていて当然」だ。そのため、短時間で業界知識をインプットし、クライアントと同等に話せるようになることが求められる。
元マッキンゼーの倉橋隆文さんは、コンサルで身に付くポータブルスキルとして「素早く学ぶ力」を挙げている。
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マッキンゼー出身COOに聞く「とりあえずコンサル」アリかナシか
では、素早く学ぶためにどのようなアクションを取っているのだろうか。
元A.T. カーニーの北野雅史さんは、資料を読み込むことはもちろんのこと、インタビューを短期間で何本もこなしていたそうだ。日本オフィスのみならず、海外のオフィスにいる専門家にも話を聞きにいっていた。
クライアントに感謝されることや、自分が関わった案件がニュースになるこ
また、同じ業界であったとしてもクライアントによって状況は千差万別。解決すべき課題は異なる。既存のテンプレートやフレームワークを使いまわすのはNGだ。
オウルズコンサルティンググループの矢守亜夕美さんは、過去に似たようなプロジェクトを経験していたとしても、常に一から考え抜くつもりで取り組むことを意識しているという。
「いつものやり方でやれば良い」という妥協は、ときにクライアントからの信頼を損なってしまう。
眠れないほど仕事が沢山ある時……というのは一旦置いておくことにして(
テンプレを使わずに考え抜くことは非常に労力のかかる仕事だ。アウトプットのクオリティに妥協して作業に逃げたくなる人も多いのではないだろうか。
しかし、元A.T. カーニーの竹本祐也さんは「手を動かす前に考え抜くことが大切」と語る。
作業に逃げることはクオリティに妥協することであり、「考え抜く」というコンサルタントの役割を果たせていないのだという。
クライアントワークにおいて、自身の役割を理解して専念することは極めて重要なことのようだ。
マネージャーに言われて心に刺さって抜けない言葉は「作業に逃げず、考え
とはいえ1人で考え抜いても解決しない場合、積極的に周りに頼ることも必要かもしれない。
それが、課題解決をするスピードを高めるからだ。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの垣内啓子さんは、自分とは異なる専門性を持つ仲間に相談するのを意識しているという。
眠れないのはあまり経験がありません。大失恋してもすぐ寝ましたし、今では毎日子供に絵本を読み聞かせている間に先に私が寝落ちします。 ただ苦しい局面は、クライアントの思考を超えていないと感じるときです。こういった時は頼れる専門家の仲間たちに助けてもらいます。その仲間に出会うための努力は惜しみません。 また伝えたいメッセージを的確に表現する文章がみつからない時も葛藤します。スライドのリード文を完成させるのに何時間もかかることもあります。誰かの書いたかっこいい文章のコピペには納得できず、クライアントとの共感を表現することにこだわることもよくあります。
クライアントと共有する資料づくりにおいても、意識すべき点がある。
コンサル企業には外資系が多いからか、クライアントと距離を縮めたいからか、若手〜中堅コンサルはよく「英語」や「カタカナ用語」を多用しがちだ。
しかし、本来は自分の言葉で短く、分かりやすく表現することが大切なのだという。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの白石隼人さんは、上司から使いやすい表現に逃げていることを指摘された経験を持つ。
その理由はこうだ。
「今、言った事を書けばいいじゃん」 これは、私が経営コンサルタントと
資料づくりにおいてもう1点意識すべきなのは、資料はあくまでもプレゼンを引き立たせるための補助的なものだということだ。
約15年のコンサル経験を持ち、現在はA.T. カーニーのCMTアドバイザーを務める杉野幹人さんによると、「資料を読まなくても伝わるプレゼンほど良いプレゼンはない」そうだ。
これは、わたしが経営コンサルタントの先輩から教えてもらったプレゼンの
若手コンサルタントの場合、はるか年上の経営陣に対してプレゼンをする場面も多い。「プレゼンはあまりやったことがない」と不安に思っても不思議ではない。
そんな状態でも、経営陣からの信頼を得るために、川島匠さんは上司から「まずは100時間練習してから苦手と言おう」との助言を受けたそうだ。
最初からプレゼンの上手い人はいない。泥臭いことかもしれないが、徹底的に準備することこそが信頼を獲得する上で重要なのかもしれない。
この言葉は、入社後初プロジェクトの役員報告会で、私がプレゼンのパート
以上が信頼を獲得するための仕事術であるが、ほとんどが地道な努力を要するものだ。「当たり前のことをどれだけ突き詰められるか」が重要だといえる。
メーカーの工場勤務から外資コンサルへ転職するなど、学歴や肩書ではない強みを武器にキャリアを築いてきた山下良輔さんも、下の記事で「他の人がやらない地味な仕事にこそ価値がある」と語る。
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