【経営コンサル】採用担当が絶対に明かさない「5つの仕事のリアル」

【経営コンサル】採用担当が絶対に明かさない「5つの仕事のリアル」


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目次

近年はトップ大学の学生たちの「就職したい企業ランキング」の上位に名を連ねるほど、就職先としての人気が高まっているコンサルティング業界。


その理由は、「ビジネスパーソンとしていち早く成長できそう」「ロジカルに物事を進める知的ワークでカッコ良さそう」など、硬軟入り交じったものになっているが、仕事の実態が赤裸々に語られる機会はさほど多くはない。


コンサルタントの仕事は、クライアントと守秘義務を結んで行われるのがほとんどだからだ。


「就職前に、コンサルのリアルが知りたい」


そこでJobPicksは、全国47都道府県、113の大学で活動する日本最大のキャリア支援NPO法人「en-courage(エンカレッジ)」とのコラボで、経営コンサルタント志望の就活生が直接トップコンサルタントに質問するQA企画を実施。


回答者は、経営共創基盤の共同経営者、塩野誠さんだ。複数のコンサルファームを経験しており、起業家、VC(ベンチャーキャピタリスト)としての顔も持つ塩野さんが本音で語る、経営コンサルタントの実像を紹介しよう。

経営共創基盤(IGPI)共同経営者・マネージングディレクター 塩野 誠:1975年生まれ。慶應義塾大学法学部卒、ワシントン大学ロースクール法学修士。シティバンク銀行、ゴールドマン・サックス証券、起業、べイン&カンパニー、ライブドアを経て現職。 国内外の企業に対し戦略立案・実行のコンサルティング、M&Aアドバイザリー業務を行い、企業投資に関しても15年以上の経験を持つ。近年は欧州・ロシアでPE/VC投資を行う。近著に『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』などがある。内閣府デジタル市場競争会議WG委員。フィンランド在住。


Q1. よく言う「成長」は幻想!?

塩野誠さん QA-1

塩野:最近の就職市場では、コンサルティングファームと商社を併願するような学生も多いと聞いています。


でも、新卒でコンサルタントになるのと、事業会社に就職するのは、全く違うものと思ってください。一番の違いは、Day1(業務を始める初日)です。


コンサルタントの仕事は、どれもクライアントからお金をもらってやるものになります。だから、本当にDay1から、報酬に見合った何かしらの価値が求められます。


かかわるプロジェクトにもよりますが、新人で1時間あたり2〜3万円くらいの単価だとすると、その価値をどう出すか。何も教わっていない状態でも、すぐに価値を出せないと「あなたは役に立っていないよ」となります。


もちろんDay1から価値を出すのは非常に難しいでしょう。しかし、365日「もっと深く思考せよ」「価値を出せ」と言われることが、プロとしてのマインドセットをつくるのです。


日本の大企業に入社したら、最初の3カ月くらいは研修があって、会社や業務のことを学びますよね? 少なくともプロフェッショナルファームと呼ばれるコンサルティング会社では、初歩的なルーティン業務の研修はなく、最初にミニMBAのような研修をした後はすぐに実戦投入されます。


正直、どうすれば成長するかということも、考えている暇がないです。クライアントにとって、若手コンサルの成長なんて、1ミリも関係ないですから。学校じゃないので。


「毎日が嵐の中」というような状況が何年か続くと、過去を振り返った時に「あの時が一番成長したな」と思えるようになる。そんな感覚です。

塩野誠さんZoom
フィンランドと日本を行き来している塩野さん。就活生とのQAはZoomで行われた

—— 「初日から価値を出す」とは、例えばどんな風に業務にあたるものなのか、事例を教えてください。


塩野:ある大企業のある部署で、業務改革の一環で生産性を上げるプロジェクトに入ったとしましょう。


まずは数字で事実を確かめなければならないので、例えば組織図をもらって、それぞれの部門に正社員が何人、派遣社員が何人いるのかを把握する必要があります。


次に、一人一人の業務内容や、労働時間分配などのログを取って調べて......とブレイクダウンしていき、日々の作業のどこに改善する余地があるかを事実をベースに分析する。しかもその際、常に仮説を持って分析し、改善点を考えなければなりません。


コンサルタントは、ロジカルに戦略を立てて提案書を作り、実行を支援するというイメージがあるかもしれませんが、ほとんどの場合、最初の2〜3年間は泥臭く、現場でファクト(事実)と数字を拾う作業の繰り返しです。


その結果をプロジェクトマネージャーが見て、「この分析、本当に合ってる?」「この数字を改めて調べ直して」と突っ込まれながら、引き続き仮説構築と調査・分析を続ける。


頭の良い人なら、すぐにコツをつかみ、効率的にやれるでしょうし、そうでない人は成果を出せない。シンプルにそういうことです。


だから、コンサルタントとして、問題解決のフレームワークのようなものや、MBAのテキストに載っているようなことは、知ってて当たり前。スタート地点です。


そこで成果を出せれば、徐々に手足を動かすより、思考する部分が増えていきます。365日、24時間思考するのが仕事になるのです。


その点では、気持ち的にワークライフミックスが普通じゃないと、商売としてはきついと思います。

塩野誠さん QA図版1
コンサルのキャリアでは、新人・若手時代とその後で、役割が大きく変わる

厳しい世界だと思う人もいるでしょうが、何度も言うように、クライアントはお金を払っています。それに、相手は自分より数十倍、事業経験を積んでいるベテランです。プロジェクトに入った初日から、これくらいできないと、価値を生めません。


ただし、良い面を見ると、コンサルタントの仕事は「毎日が自由研究」です。究極的には、問題を解決できさえすれば、やり方は自由でいいわけですから。


それに、頭が良ければ、他人が5時間かかっている仕事を、30分で終わらせることもできます。最近は機械学習を使った分析ツールなども、一般的に使われるようになっています。


そういう環境で、ゼロからやり方を考えて、問題解決をすることに向いている人は、楽しいと思えるでしょう。


一方で、自由度が高過ぎて合わないという人もいます。そういう人は、事業会社のように、部署ごとに目標があり、業務もある程度ルーティンワークになっている環境のほうが向いていると言えます。


プロフェッショナルファームでコンサルタントになれば、誰もが成長するというわけではなく、とにかく向き・不向きが強く出るということです。


Q2. 結局、得られる経験は?

塩野誠さん QA-2

塩野:まず、コンサルタントがロジックだけの仕事というのは間違いです。


クライアントや上司など、関係する人を動かす力がないと、何も変革できないですから。


確かに、事業会社と比べたら、コンサルファームにはロジックという“宗教”の信者が集まりやすい。だから、理屈さえ通れば、ファーム内は皆が動いてくれるという側面があります。


しかし、クライアントワークの中では、例えば新人コンサルが作ったレポートがどれだけ素晴らしい内容でも、相手の社長の心に響かず、全く動いてくれないということもあるわけです。


そこで、上司であるファームのパートナーが一本電話したら、社長が納得して動き出したとしましょう。この場合、どちらが価値のある仕事かというと、パートナーが数分でかけた一本の電話になる。


コンサルタントとはこういう世界で、立場が上がれば上がるほど、人を動かす力が必要になります。プロジェクトを受注する時も、必ずコンペがあるので、競合他社に勝つにはロジックだけでは通用しなくなる場面が多くなります。


若いうちは、ひたすらファクト(事実)と数字に向き合いながら、ロジカルに分析作業を行う日々が続きます。しかし、コンサルタントは「芸人」と呼ばれることもあるように、クライアントに呼ばれるために何でもやる、という一面もあるのです。

塩野誠さん QAイメージ1
(Photo:iStock / recep-bg)

その上で、質問への答えに戻ると、若いうちにコンサルタントを経験することで身に付くのは「経営者としての視点」でしょう。


キャリアの最初から、「自分が経営トップだったらどう考えるのか」という視点で働くことが求められるからです。ビジネスというゲームのやり方を、トップの視点で効率的に学べます。


大企業に入って現場で経験を積み、20〜30年経ったある時期からいきなり全社の経営を任される......という遠回りをせずに、最初から経営者の視点を知ることができる。これが一番のメリットだと思います。


ただし、コンサルタントはどこまで行っても客商売なので、自分で起業する時は違った能力が求められるということも念頭に置いておいてください。


私自身も起業したことがありますが、仕事の8〜9割は雑用です。ロジカルに綺麗な戦略を立てる余裕なんて、ほとんどありません。


だからと言って、成長した元ベンチャー企業に入社して、事業経験を積むというのも考えものです。ある程度大きくなったベンチャーは、社内の縄張り争いも終わり、ルーティンワークも多くなるので、大企業とそんなに変わりありません。


将来起業したいなら、メガベンチャーと呼ばれるようなところに行っても、ゼロからイチを生む経験はあまり積めません。その点で、起業にはさほど役に立たないでしょう。


Q3. 仕事はロジカルに進む?

塩野誠さん QA-3

塩野:実際にそういう案件はよくあります。


大企業で、コンサルにお金を払えるくらい余裕があるということは、各部門ごとに違うコンサルを雇い、自分たちが正当であると主張し合うようなケースもあるからです。各部署の「保険」として、コンサルを使うケースもあるでしょう。


コンサルティングビジネスとしては、それで受注が続くなら、ファームの稼ぎが増える。ならばファームのために全力でやるべきという考え方です。


—— 無駄なことに付き合っている、というようなジレンマはないのですか?


塩野:人によるでしょうが、ここには2つの側面があると思っています。


一つは、コンサルタントは「事業がクライアント」であるという側面です。


社内政治が良いかどうかや、携わる案件が意義深いかどうかに関係なく、お金をもらってプロとして仕事をする以上、クライアントの事業を成功させることがゴールになるという意味です。それに、クライアントの社内政治用資料も、知的でなければ作れません。

塩野誠さん QA図版-2
コンサルのゴールは「事業の成功」。日々のやりとりは経営陣と行っていても、ゴールを見間違えてはいけない

その過程では、白黒はっきりしないシチュエーションで動かなければならないこともあります。例えば国際協力の世界を見ても、諸外国には不利益なことも日本の国益になるならやる、という話は少なくありません。ビジネスも似たようなものです。


だから、社内政治のように一見無駄と思えるような仕事でも、ゴールに向かうのに必要なら、厭わずやるのがプロの仕事です。


もちろん、コンプライアンス(法令遵守)に背くような事や、人としてビジネスの倫理に反するようなことは絶対にやりませんが、大事なのは目指すゴールに向けて、誠実に必要なサポートをすることなのです。


それが嫌なら、別の職業に転職したり、自ら起業して信じることをやればいい。そういうドライな面があります。


「事業がクライアント」というのを別の視点で話すと、企業再生の案件などでは、案件を発注した張本人である役員に、退任を迫るようなケースもあります。その後の継続受注が消滅しても、役員交代が立て直しに不可欠と結論付けたなら、進言しなければなりません。


これができるファームかどうかは、ファームの個性として分かれるでしょう。


他にも、事業を再生させるには、3年後に1000人の人員削減を行うのがいいのか、今100人を人員削減するのがいいのか? というシビアな局面もたくさんあります。


人として心苦しく感じるような仕事も、事業のために割り切ってやらなければなりません。決して、ロジカルに問題解決に取り組むだけではありません。


とはいえ、先に触れたように、若いうちはひたすら数字を集めて分析作業をやることが多いです。ここで話したような仕事は、パートナーやプリンシパルという上位職種になってから増えていくものだと捉えてください。


—— コンサルタントの仕事に影響する、もう一つの側面とは?


塩野:他のビジネスと同じく、案件の種類や携わり方は、各社それぞれに変わるという側面です。


例えば、私が共同経営者をしている経営共創基盤では、プロジェクトで自分たちの役割が終わり、これ以上は価値が出せないと判断したら、継続受注しない時もあります。


自分たちのことを棚に上げて話しているのではありません。経営共創基盤は株式を共同経営者が保有する独立系のコンサルファームで、海外にある本社に歩調を合わせるような必要もなく、自分たちが正しいと思えることだけをやれる環境にあります。


一方、グローバルファームで、世界中に拠点を持つ多国籍企業をクライアントにしている場合、日本チームの一存では決められないことも出てきます。


もし、「今このクライアントを失うのはマイナスだ」となったら、関係を維持するためにあらゆる支援を行う。これも、コンサルタントとしては「プロの仕事」です。


ここでお伝えしたいのは、外資か国内ファームかの違いで、コンサルの働き方が変わるという表面的な話ではありません。どのファームでも、クライアントへのアプローチの仕方は様々だということです。


もっと言うと、大規模なファームになればなるほど、新人は「案件ガチャ」と呼ばれる配属プロジェクトの違いで、求められる動きが変わってきます。


経営を学びたくて幅広い案件に携わるのを期待していたのに、長年同じ業界、似たような案件を担当することもあります。


それはそれで、専門家として重宝されるようになりますが、いつものクライアント向けに「高級派遣」と呼ばれる特定の作業を請け負うだけのコンサルになってしまう。


個人のキャリアとしてはリスクもある一方、ファームとしては安定して儲かります。


どのコンサルファームが、どんな案件を得意にしているか。どんなアプローチでクライアントと接しているか。これらの情報は、外からではほとんど分からないし、業界トレンドに応じて手掛ける案件内容が様変わりしているケースもあります。


就職する際は、ファームの人間やOB・OGにたくさん質問してみる。当然と言えば当然ですが、各ファームの特徴を把握してから応募してみてください。


Q4. 激務に給与は見合う?

塩野誠さん QA-4

塩野:最近は、かつてほどUP or OUTではなくなっています。


なかなか価値を出せない若手コンサルタントには、どのファームでも「別の道も考えてみたら?」と促すことがあります。とはいえ、そこまでドライに退職を迫ることは減っていると思います。


給与面でも、確かに経営コンサルタントはパートナーやプリンシパルになれば年収で数千万円以上、人によっては億単位でもらえます。ただ、そこまで行く人は少数です。


よく「出世するためにはどうしたらいいんですか?」と聞かれるのですが、もう健康である以外ないんですね。どんなに頭が良く、エース級だったとしても、キャリアの挫折はほとんどが「心と身体の健康問題」です


だから、新卒でコンサルタントになったとしても、「仕事人生という長いゲームをやっている」という感覚は絶対に持っていたほうがいい。どの仕事も同じですが、必ず紆余曲折があるからです。


この前提に立って考えると、一時的に良い給料をもらっていたとしても、どこかで収入が減ることもあるでしょう。


私自身、若い時にゴールドマン・サックス証券から起業へ、ベイン・アンド・カンパニーからライブドアへと移りましたが、どちらも報酬は一旦、減っています。

塩野誠さん 給料
(Photo:iStock / manfeiyang)

それでも、当時は経験を取りに行ったから後悔はなかったですし、実際、その後により多くの報酬を得ることができています。


結局、一番大切なのは「どんなプロフェッショナルになるか」という問いです。


先ほど話した健康問題はもちろん、出産や介護など、長い人生では仕事を一時的に中断しなければならないライフイベントも起こり得ます。それに、人間である以上、モチベーションが維持できなくなる時もあるでしょう。


そんな中で仕事を続けていくには、何らかのプロフェッショナルになるしかない。


私の場合は、コンサルや外資系金融、VCなども経験しながら、事業家としての仕事もしてきました。つまり「経営のプロフェッショナル」になるために仕事をしてきたのです。


コンサルタントを経験したからといって、起業や事業会社での仕事にすぐ役立つことはありません。実際、コンサルタント経験が数年の場合、スタートアップに転職しても、自分で契約書を作ったこともないはずで「何でも屋」として働くことになります。


周囲の人たちからコンサル出身というレッテルを貼られて、お手並み拝見感もあるので、これはこれで精神的に厳しいですよ(笑)。


それでも事業や経営のプロフェッショナルになりたければ、若いうちに収入を減らしてでも経験を取りに行くほうがいいでしょうし、スタートアップのような不安定な働き方はしたくないという人は、別の安定を探せばいい。


人生の全体像が分からないのに、若い時に「コスパ」を追うのは無駄です。

塩野誠さん イメージ
(Photo:iStock / studiostockart)

例えば、経営コンサルの仕事を数年やると、ある種の保険が生まれます。クライアントとなる大企業の経営企画部や、社長室の仕事を直接見ることができるので、「これくらいの仕事ができれば生きていけるんだ」というレベル感が分かってきます。


こういう肌感覚があると、転職もしやすくなります。加えて、英語がネイティブ並みにできれば、外資系の日本支社で幹部候補として採用されることもあるでしょう。


コンサル時代に得ていた年収額よりも減ったとしても、30〜40代になって成果を出していれば、どこかで働くことができて、少なくとも年収1200〜1500万円にはなるでしょう。


コンサルタントや起業家に比べると、事業会社は圧倒的にルーティンワークの比率が増えますが、長い仕事人生でそういう選択をするのも決して悪くはありません。


仕事の向き・不向きは本当に人それぞれなので、「どこに勤めるか」より「どんなプロを目指すのか」を重視して、キャリアを選んでほしいと思います。


ちなみに、一度コンサルタントを経験した人は、事業会社での仕事を経て、再びコンサル業界に戻ってくるというケースが多々あります。


私自身もそうですが、一定の期間、特定の事業に集中してかかわっていると、再び“自由研究”をやりたくなるのです(笑)。


それが可能なのも、好奇心を持って経営のプロフェッショナルとしての知識や経験を増やし続けているから。どんな環境でも価値を出すことができるようになれば、キャリアの自由度が一気に上がります。


Q5. 今、学生ならコンサルになる?

塩野さん QA-5

塩野:コンサル志望の皆さんには期待外れな答えかもしれませんが、今、私が学生だったら間違いなく起業します。100%起業します。


近年はベンチャー投資のお金がすごく余っていて、面白い事業プランを作れば、一瞬にして何億円か集まります。


私自身がVCをやっているから、というバイアスがあるかもしれませんが、賢そうな人の集まるチームがあれば、投資が集中します。その度合いが異常なくらい増しているので、私も起業すると思います。


でも、現実的には、人のキャリアって偶然の産物だと思うんですね。私が今のような経歴になったのも、就職活動で日本のメーカーに入れなかったからです。


私が就職活動をしたのは1990年代で、子供の頃に海外で過ごした期間も長かったので、日本の電化製品が一流ブランドとして語られることが多かったのです。


それでメーカーを志望したものの、どこにも受からず、シティバンクに就職しました。当時は、新卒で外銀は珍しかったです。


今振り返れば、ここまでは「流れ」としか言いようがありません。


しかし、その後は何かしらのプロフェッショナルになるため、あることをずっと心掛けてきました。常に「盛り上がりそうな場所」に身を置いてきたということです。


例えば、私は2000年にゴールドマンで働いていた頃、米国株式市場のインターネットバブルを経験しています。そういう盛り上がるところにいると、シンプルに仕事が楽しい。


逆に、皆が注目し出した時はもう遅くて。先行者利益のようなものがなくなるので、一気に面白みが減ります。


だから、いつも他の人が注目する前に、次に盛り上がりそうな場所を探してきました。どんな世界でも、“カオスの時期”が一番儲かるし、面白い経験が積めるのです。


その後、2000年代初めに外資系コンサルであるベイン・アンド・カンパニーに入ったのも珍しいキャリアでしたし、ベインを辞めてVC(後のライブドアの投資部門)に行く時には、周囲の知人に「え、なんで?」「名前も知らない会社に行くなんて、お前も終わったな」みたいなことをたくさん言われました(笑)。


でも、今はコンサルタントやVCになりたいという人がたくさんいますよね?


こういう、後々人気になるような「物事が始まりそうな場所」を探しながら、他人よりちょっと先に飛び込んで、キャリアを広げてきたのです。


—— 「物事が始まりそうな場所」は、どう選んできたのですか?


塩野:本当に申し訳ないのですが、これは感覚としか言いようがありません。


たくさん情報収集をして、当たりを付けることが大切なのですが、私の場合は偶然、人より早く目を付けたところが外れなかったというか(笑)。確実に狙ってできるものではないと思っています。


2011年にAIのプロジェクトを始めた時も、今、手掛けているエストニアやフィンランドでのスタートアップ投資も、最初は周りの人みんな、顔がはてなマークでした。


しかし、そういう仕事をいち早く見つけることができれば、その世界で第一人者になれますし、他に第一人者となる人たちとも友だちになれます。


平たく言うと、後々その道で偉くなる人はみんな友だち、という状態になれる。これは、どんな仕事をしていても、得難い財産になります。


だから、私からすると、一定以上の成長をしているメガベンチャーに新卒で入社する意味が分からない。組織の歯車の一つにしかなれないので。


そういう意味では、様々な業界のクライアントを担当できるコンサルファーム(全てのファームがそうだとは言いません)に入社するのは、悪くない選択肢だと思います。そこで「将来の社長」と仲良くなりましょう。


実際、私がコンサルタントに出戻りしているのも、自分なりの“自由研究”ができる場所だからです。能力と好奇心があれば、ビジネス領域に縛られず、やりたいことができる。


「もう限界かも」と思った修業時代があったので、自分の限界も知っており、賢い人たちと競争しないように常にズラして生きています。


修業時代のおかげで、速読もリサーチも構造化も得意です。そのスキルを使って、誰も書いていない「デジタルテクノロジー×国際政治×ビジネス」の分野で書籍も執筆しました。


将来1人で戦える基礎と、マインドセットが得られる。事業会社への就職に比べると、コンサルティング会社で働くことはそんな良い面があると思います。


取材・文:伊藤健吾、デザイン:九喜洋介

●企画協力:en-courage(エンカレッジ)

全国47都道府県、113の大学で活動する日本最大のキャリア支援NPO法人。21卒で就活をした学生メンターは2500名、1対1で行う面談をはじめとするキャリア支援を展開。2022年卒業の学生は8万人が利用している。en-courageへのお問い合わせはこちら


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