【山下良輔】転職わらしべ長者が語る、市場価値を上げるレア体験とは

【山下良輔】転職わらしべ長者が語る、市場価値を上げるレア体験とは

工業高校から自動車部品メーカーに入り、自動車会社に転じたのち、有名コンサルに行き、独立したばかりというオリジナルな経歴を持つ山下良輔さん。


自著『転職が僕らを助けてくれる —新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』を上梓するなど、転職の達人として知られる山下さんは、「いま22歳なら、日系大手には絶対行かない」と語る。


「社内MVPはコスパが悪い」「地味な仕事にこそ価値がある」といった、ストリートスマートな山下さんならではのキャリア戦略について探っていく。


※この記事は、NewsPicksの特集「Z世代の就活」に掲載したインタビューの無料ダイジェスト版になります。インタビュー全文は末尾にあるリンクをご覧ください。

Exception 山下良輔さん 経歴

目次

凡人が成長するロードマップ


いま僕が22歳だったら、“大人ベンチャー”に就職します。


キャリアに自由度をもたらしてくれるのは、結局のところ、ロジカルシンキングや仕事の段取り、本業の知識などのベースとなるスキルです。


これらを早期に身につけるには、大企業で働き組織の論理を知る経験や、過去に起業経験があったりする、“大人たち”が経営しているベンチャー企業で働くのが手っ取り早い。


体系化された制度があり、なおかつ挑戦機会が多い企業に就職するのが、僕にとってベストなファーストキャリアです。

山下良輔さんがいま私が22歳だったら

一方、学生ノリで起業したベンチャーは、いけいけどんどんで仕事に夢中になれるかもしれませんが、学びに偏りが出てしまいます。


調整や折衝、マネジメントなど、仕事を進めるうえで重要なスキルが身につかないこともある。それは、キャリア形成におけるリスクです。


一人で売り上げをつくる能力が身についていたとしても、いずれキャリアの“踊り場”にぶつかります。一人でできることは限られていますから、組織のつくり方や、組織を動かす力を学ぶということを、おろそかにしてはいけません。

山下良輔さんの教訓「最初の会社の選び方」

「打席に立つ機会」が大切


もちろん、大企業でも質の高い学びを得ることはできます。


ただ、あまりにも社員の数が多いので、打席が回ってくる確率は低いのが現実です。転職が当たり前の時代において、「誰かに見つけてもらえるような実績」を積めないのもリスクですから、これもまた選択肢から外れます。


僕自身は学歴が高卒だったので、ファーストキャリアを「選ぶ」立場ではありませんでした。でも、たまたま入った自動車部品工場が、今振り返るとこの“大人ベンチャー(大企業経験や起業経験がある“大人たち”が経営しているベンチャー企業)”の定義に当てはまっていた気がします。


トヨタの部品などを作る会社だったので、モノ作りについての知見を体系的に知ることができました。


一方で、社長は若手に仕事を大胆に任せる人で、英語もビジネスも何もわからない僕をタイ工場に駐在させてもくれました。月給16万でしたけど、仕事の基礎を身につけることができた意味では、とてもいい会社だったと感謝しています。

山下良輔さんが「大人ベンチャー」を推す理由

いま20代の人に向けて、“大人ベンチャー”の具体例を挙げるなら、気になっているのはアンカー・ジャパンです。売り上げも2013年の創業時(9億円)から、今では200億円以上に伸びていて、成長も申し分ない。


アンカー・ジャパンの代表である猿渡歩さんは、僕が所属していたデロイトの先輩でもあります。新卒でコンサルに就職した後、PEファンドなどを経て、同社に転職されました。

売り上げのつくり方だけではなく、組織のつくり方も熟知されている方です。そういった“大人”が経営するベンチャーは、組織がしっかりしている上に挑戦できる余地があり、ファーストキャリアとしてはとても魅力的な企業だと思います。


汎用的なスキルが身につくという意味では、コンサルも有力なファーストキャリアです。でも、採用される確率が圧倒的に低い。それは、外資系のメーカーや投資銀行も同じです。


そうであれば、基本路線は打席に立つ機会の多いベンチャー企業を選び、最終的に創業者で決める。これが、僕が考える、凡人がキャリアを積み上げるためのロードマップです。


誰もやらない仕事に目をつけろ


ある程度の地力がついたら、キャリアのつくり方は大きく2つの方向性に分かれます。


1つ目は、やりたいことがあるのであれば、まずはそれに挑戦すること。


そもそも人間が生きる目的は、成長ではありません。成長は手段ですから、やりたいことが見つかって、それに挑戦するだけの実力があるなら、さっさと行動に移したほうが幸せだと思います。

山下良輔さんのキャリア論「やりたいことがあるなら挑戦したほうがいい」

もしやりたいことがないのであれば、2つ目の方向を目指すのが有力な選択肢です。いつかそれが見つかったときのために、地力を身につけられる環境にステップアップしていくのです。


僕がまさにそのタイプで、「いつかこんなことがやりたい」という明確な目標があるわけではない。だからこそ、実力を磨き、その都度好きなことを選択しながら、身の丈に合わないストレッチな環境に軸足を移してきました。


僕は工業高校を卒業していて、新卒で入社したのは工場でしたが、会社員としてはコンサルティングファームに転職するまでになっています。


僕は飛び抜けて頭がいいわけではないし、もともと仕事ができるタイプでもなかったのですが、戦略に従ってコツコツとやるべきことをやっていたら、キャリアが飛躍的に向上しました。


ここでいう戦略とは、「他の人がやらない仕事を狙う」というものです。

山下良輔さんのキャリア論「人がやりたがらないことにチャンスがある」

「他の人がやらない仕事」を、僕なりの言葉で言い換えるなら、「会社の儲けに直結するのに、地味で、社内での評価につながりにくい仕事」です。


地味で、なおかつ社内での評価につながりにくい仕事には、ライバルがいません。その分、成果を上げやすくなります。


キャリアを育む「良い実績」の中身


一方で、「社内MVP」とか、「売り上げナンバーワン」とか、華やかで目立つタイトルに向けて汗を流す人が少なくありません。でも、それを実現できるのは一握りです。


目立つ仕事と地味な仕事を比較すると、どうしても前者が評価されるような気がしますが、転職市場においてはそうではありません。「社内MVP」は獲得するのが難しい割に、どの会社にもいるので、レア度は低い。僕は「コストパフォーマンスが悪い実績」だと思っています。

山下良輔さんのキャリア論「コスパの良い実績と悪い実績」について

翻って、誰も注目しない地味な仕事で成果を上げることは、「コストパフォーマンスが良い実績」といえます。


たとえ地味な仕事であっても、成果を一つ一つ積み上げていけば、それは「分かる人には分かる」経験になります。


例えば僕が、新卒入社した工場で実践した仕事の一つに、「書類フォーマットの修正」がありました。


新しく製品を開発するとき、毎回製品の製造工程をチェックする書類を作成するのですが、その書類のフォーマットが分かりづらいまま放置されていたので、誰でも間違いのない手順で作業・記入ができるように変更したのです。


大したことない仕事に聞こえるかもしれませんが、「会社の儲けに直結するのに、地味で、社内での評価につながりにくい仕事」です。


「どこの会社にいたか」は転職の成否を決める要素の一つではありますが、それよりも「何をしていたか」の方が重要です。早期に実績をつくり、それを取引材料にして転職をしていけば、どんな人でもキャリアを向上させていくことができます。

山下良輔さんのキャリア論「どの会社にいたかより、何をしてきたかが大切」

たとえコンサルティングファームで働いていても、ずっとアナリストとして働いているのであれば、採用担当者からすれば「もしかすると議事録作成しかできないんじゃないか?」という懸念が生まれます。


一方、有名な会社ではなくても、業務経験が豊富なら「うちの会社に適性がありそうだな」という評価が得られるかもしれません。


新卒で入社した企業がキャリアの最高到達点になることは、めったにありません。


ですから、新卒で入社する会社のネームバリューは、そこまで気にしなくていい。むしろ、何ができるのかを重視すべきです。

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取材:兎丸きこ、取材・文:オバラ ミツフミ、編集:佐藤留美、デザイン:黒田早希、撮影:遠藤素子


編集部注(2022年11月14日):記事中で「デロイト トーマツ コンサルティング」を外資系と表記していましたが、正確には外資系ではないため、記載を変更いたしました。掲載後の修正をお詫びいたします。


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