【20代転職】仕事の「モヤモヤ」を解消する5つのステップ

2022年8月17日(水)

転職を成功させるには?

限られた20代の時間を有効活用しようと、転職して新しいキャリアをスタートさせようとしている人は少なくない。

実際、キャリアの匿名相談サービス「JobQ」を運営するライボが実施したアンケートによると、転職に対して「ポジティブ」な考えを持つ20代は73.9%に上り、これは他の世代と比較して最も高い数値になっている(参照元)。

転職を考える背景には、より良いキャリアを実現したいという前向きな思考から、現状に満足できていないというややネガティブな思考まで、さまざまあるだろう。

それらに優劣はないものの、どうせ転職をして新しいキャリアを歩むなら、可能な限り満足できる環境を見つけたいところだ。

でも、いったいどうすれば、「可能な限り満足できる環境」を見つけることができるのだろうか。

今日は、転職によってキャリアを切り開いたロールモデルたちの声を聞き、「現状に満足できない」を解消する方法を考えてみよう。

「転職後どう働くか」より「今どう働くか」

年収240万円のホームセンター職員からキャリアをスタートし、会社員として年収1000万円超、副業収入4000万円を10年間で実現した“転職の達人”motoさんは、現在勤めている職場での働き方が転職の成否を決めると話す。

【moto】「10年で年収を50倍」にしたサラリーマンが語る、無理なく市場価値を上げる方法

なにもアクションを起こすことなく働いていると、ストーリーは生まれません。ただPCの画面と向き合っているだけなら、それは“ワンシーン”にすぎません。

僕がホームセンターから転職して、これまで年収を上げ続けられた理由は、目の前の仕事で成果をつくってきたストーリーがあるからです。そして、それを“自分の言葉”で語り、相手に必要とされる存在で居続けたことが、結果としてキャリアになったのだと思います。

コツコツと努力を積み重ね、成果を上げ続けたストーリーは、たとえそれがホームセンターの店員だったとしても、「見ている人は見ている」ものなのです。

キャリア選択において、最初に働く場所の重要性は、社会人であれば誰もが知るところ。無名企業の出身者に比べ、難関企業出身者の転職がうまくいきやすいのは、残念ながら現実だ。

しかし、だからといって諦める必要はない。

motoさんのアドバイスにあるように、ストーリーを意識して働き、成果を追い求めた経験があれば、それは必ずあなたの武器になる。

現状に不満があったとしても、それに文句を言っているくらいなら、成果を求めて試行錯誤をしたほうがよっぽど有意義な時間になるだろう。

転職を考えるなら、それより先にできる限りの創意工夫をしてみるというのは、ビジネスパーソンが決して忘れてはいけない原理原則だ。

「どうなりたいか」でキャリア決める

より良い待遇を求めて職場を転々とするのも“キャリア”だが、一度立ち止まって「なぜ転職するのか」「どんな自分を目指すのか」を考えてみるのも同じく“キャリア”だ。

リクルートの経営企画、外資保険会社の営業、起業家、ベンチャー企業のCOO(最高執行責任者)と、数々の職種を渡り歩いてきた青木想さんは、「キャリア戦略とは、『HOW=手段』ではなく、『WHAT=到達したい点』を決めることだ」と語る。

青木さんが外資保険会社に転職したのは、「経済的に自立すること」という直近の目標を実現するためだった。「今よりも待遇が少し良くなればいいな」という曖昧な感情で次の職場を選ぶのではなく、目標に対しての最短ルートを考え、転職先を選んだのだという。

【決断】31歳で外資生保に転身。元リク経営企画の戦略的キャリア

一番大事なのは、「WHAT=ありたい姿」を決めることです。将来こうなりたいとか、半年後にこういう状態になっていたいという、到達したい「点」ともいえます。

私の場合は「経済的に自立したい」という点があって、HOW=手段として生命保険の営業を選びました。

今Surpassにいるのも、「真の女性リーダーになりたい」という、次の目標となる点があるからです。到達したい点があって初めて、そこへ向かうための手段が見えてくるのです。

「ありたい姿」と聞くと、「世界に影響を与える偉大な起業家」のような、壮大な未来像をイメージしてしまうかもしれない。

しかし、青木さんの言葉を借りれば、「半年後にこういう状態になっていたい」という、短い期間でのビジョンでも構わない。

それがないままに行動してしまうと、結局なんのために転職をしているのかが分からなくなり、なおかつ現状に満足できない日々が続いてしまうということにもなりかねない。

成り行きの行動を止め、思考することが、実は目標にたどり着く最短ルートになる可能性を秘めているということを、私たちは自覚したほうがよさそうだ。

生活スタイルを変えてみる

努力を続けているのにもかかわらず、現状に満足できない日々が続き、それでいて「ありたい姿」や「やりたいこと」が見つからない——。

そんな八方塞がりの状態になってしまったら、小さな「好き」を集めてみるのがいいかもしれない。

元テレビ朝日の人気アナウンサーで、現在は自身の会社SUDELY(スードリー)を経営する前田有紀さんは、セカンドキャリアに踏み出す前に入念な準備を行っていた。

【前田有紀】元テレ朝アナが見つけた、社会軸より自分軸の生き方

前田さんの「準備」は、転職エージェントに登録することでも、職務経歴書を磨き上げることでもない。

「花の仕事に挑戦したい」という目標への一歩を踏み出すために、部屋に飾る花を増やしたり、友人の開く教室へ花を習いに行ったりと、自身の生活スタイルを少しずつ変えてみたそうだ。

振り返ってみると、あの頃の自分は、自分の「好き」を集めていたのだと思います。小さな「好き」を積み重ねていたら、少しだけ勇気が湧いてきたんですね。

不安がゼロだったわけではありませんが、そのタイミングで退職を決意。この先どうなるかは分かりませんでしたが、思い切って挑戦してみることにしました。

一足飛びの挑戦は、字面としては聞こえがいいものの、成功率が低いだけでなく、それを実行するのに勇気とエネルギーが必要だ。

人生100年時代ともいわれる現代なら、時間をかけて次の人生へと移行していく選択も、正しく賢いものだろう。

現状に蔓延する「もやもや」が晴れないのであれば、生活スタイルを意識的に変えてみるのも、明日の景色を変える一つのヒントになるかもしれない。

転職を成功させる「たった一つの」ポイント

新卒で入社したマッキンゼーを退職後、同じくコンサルティングファームのシグマクスに転職。現在はタピオカミルクティーブランド「春水堂(チュンスイタン)」を日本で展開するオアシスティーラウンジの代表を務める木川瑞季さん。

【元気が出る話】マッキンゼーから羽ばたいた、タピオカブームの仕掛け人

彼女が転職によってキャリアを切り開くことができた理由の一つが、「転職するときに覚えておくべきポイント」を強く意識していたことだ。

木川さんは下の記事で自身のキャリアを振り返り、転職する際に気を付けなければいけないことを次のように語っている。

【ロールモデル】やりたい仕事にたどり着く、「川下り型キャリア」とは

転職後に迷いなく働くことができたのは、以前、知り合いの方にアドバイスしていただいた「転職するときに覚えておくべきポイント」を意識していたからです。

そのポイントとは、「転職時にもっとも大事にしたい軸を決めたら、それが得られている限り、他のことに文句を言わない」というものです。例えば「やりたいことをする」と決めたなら、多少お給料が安くても文句を言ってはいけません。

オアシスティーラウンジに店舗マネージャーとして入社したときの年収は、マッキンゼー時代の新卒と変わらない程度の額だったそう。

年収を大幅に下げるという意思決定は、仮にやりたい仕事に就けるとしても、簡単にできることではない。

しかし、現在は同社の代表を務めていることを考えれば、木川さんの考えは「転職における解の一つ」だったといえるだろう。

真っ直ぐに一兎を追い、結果的に二兎を得た木川さんのキャリア論は、仕事にモヤモヤを抱えるすべての人の参考になるはずだ。

業界未経験をハンデにしない転職活動

転職を成功させるのにマインドセットが重要なのは、すでに登場したロールモデルたちの行動からも明らかだ。

しかし、無論「テクニック」が重要なことも忘れてはいけない。

NONAME Produceの千﨑杏菜さんは、人材系企業の企画職からデザイナーへの未経験転職を、戦略的な“ポートフォリオづくり”によって実現した。

クリエイター向けに仕事を紹介していた前職時代の経験を生かし、選考突破率が高いポートフォリオを作成して、転職活動を優位に進めたのだ。

【大胆チェンジ】非・美大からデザイナーになる戦略的転職プラン

自主制作ばかりのポートフォリオでは採用率が低いと分かっていたので、知人の会社のホームページを、実物に即して制作していました。

その際に注意したのは、「思考のプロセス」を明確に示すこと。

どのようなフローで制作を行ったのか、どのようなペルソナを想定し、特にどのような点に注意を払ったのかなど、アウトプットに至るまでの思考プロセスを盛り込みました。

「学んだ知識を丁寧に再現できる」ことを明示できれば、「彼女は伸びしろがある」と思ってもらえ、書類の通過率が上がると考えたのです。

すでに経験のあるデザイナーと私を比較すると、アウトプットのレベルやデザインしてきた作品の数では、太刀打ちできません。

だからこそ私は、未経験ならではの戦い方でポートフォリオを作成したのです。

「全く違う仕事をしている自分」への変化は、「現実的ではない」という理由から諦めてしまう人がほとんどだ。

しかし、視点を変え、正しい戦略に従って行動すれば、閉じている壁をこじ開けることもできる。

千﨑さんの転職アプローチは、デザイナーを目指す人でなくとも参考になるはずだ。

転職を成功させる5つのポイント

  1. ワンシーンではなく、ストーリーをつくるように働く。

  2. 動き出す前に、「WHAT=ありたい姿」を考える。

  3. 生活スタイルを変え、小さな「好き」を集めてみる。

  4. 転職時にもっとも大事にしたい軸を決め、それ以外に文句を言わない。

  5. 正しい戦略に従って行動を積み重ねる。

記事中で紹介したそれぞれのポイントを押さえれば、転職活動が成功する確率は少なからず上がるだろう。

転職が当たり前の選択肢になり、変幻自在にキャリアをアレンジできる時代だからこそ、モヤモヤを抱えて生きるのではなく、変化をポジティブに捉えながらキャリアをつくっていきたいものだ。

合わせて読む:【超解説】あなたの価値を上げる「アンラーニング」実践講座

文・デザイン:オバラ ミツフミ、バナーフォーマット作成:國弘朋佳文、バナー画像:iStock / vectornation