代わり映えしない毎日に退屈して、通勤中に「全く違う仕事をしている自分」の姿を空想する——。
単調な日々の繰り返しに退屈し、漫然と過ぎていく毎日を抜け出そうと、キャリアチェンジを考えた経験のある人が少なくないだろう。
しかし、現実的でないという理由から、「全く違う仕事をしている自分」への変化を諦めてしまう人がほとんどだ。
ただ、大胆なキャリアチェンジは、あなたの人生を満足感や幸福感にあふれたポジティブな方向へと導く可能性を秘めている。
NONAME Produceの千﨑杏菜(せんざき あんな)さんは、人材系企業の企画職からデザイナーへと、“未経験転職”を成功させた一人。
現在はSNSの総フォロワー数が1万4000人を超えるなど、独創的なデザインが人気を博す。
千﨑さんは専門性が問われるデザイナーへの転職を、いかにして実現したのか。「未経験ならではの転職戦略」を聞いた。
—— デザイナーになる以前は、人材系企業で企画職に従事していたそうですね。ファーストキャリアの選択理由について、教えてください。
私が卒業した早稲田大学は、大手企業に就職する学生が比較的多い大学です。
所属していたサークルやゼミの先輩方も、少なくない人数が、就職人気ランキングで上位にランクインする大手企業に就職していました。
ただ、学生だった私の目には、先輩方が楽しそうに働いているようには見えませんでした。
その様子を見ていて、「仕事は人生の大半を費やすものだから、楽しく働く人を増やしたい」と考え、人材業界の門を叩いたのです。
—— 目的を持って人材業界に飛び込んだにもかかわらず、なぜデザイナーに転職したのですか?
「千﨑は将来、なにがしたいの?」と先輩に尋ねられたことで、自分の人生を問い直したのがきっかけです。
ファーストキャリアは有意義な仕事であり、不満があったわけではありません。
しかし、「一生かけて成し遂げたいことか」と問われると、迷いなく頷けない自分がいました。
そのタイミングで、綺麗事なしで、自分が本当にやりたいことを考えてみました。
出てきた答えは、「いつか自著を出版してみたい」という、かねての夢です。
では、どうすれば自分の名前で本を出版できるのか。
具体的なプランが浮かんだわけではありませんが、書籍の執筆は「自分が得意で好きなことを突き詰めた結果、実現するもの」という結論に至ります。
私はもともと、書道や演劇、絵を描くことやダンスなど、幼い頃から表現することが大好きでした。
ただ、あくまで趣味だと捉えており、その道で食べていくという考えはなかったのです。
でも、考えれば考えるほど、「人生は一度きりだから、チャレンジしてみたい」と思うようになりました。
「デザイナーになりたい」。私の未経験転職チャレンジは、ここからスタートします。