【核心】新規事業開発の困難、どう乗り越えた?経験者の声7選

2022年7月28日(木)

新規事業創出のリアル

既存事業だけでは変化に適応するのが難しい今の時代、多くの企業が新規事業開発に乗り出している。

その必要性は、名だたる有名企業が既存事業と新規事業の両輪を回す「両利きの経営」に取り組むことで生き残ってきた歴史を見れば一目瞭然だ。

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しかし、新規事業の成功確率は非常に低いというのも事実。新規事業の創出に長けている会社であっても、10%、すなわち10回に1回程度しかうまくいかないと言われている。

なぜ、これほどまでに難しいのか。

JobPicksの経験談を投稿してくれたロールモデルの生の声から、新規事業の難しさはどこにあり、いかに乗り越えるのかを探っていく(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。

顧客の課題、解決している?

まず、最初にぶつかるのが「事業アイデアが浮かばない」という問題だ。そもそも今までにない事業を考え出すこと自体が容易ではない。

日比谷花壇の小野高海船さんも、この問題に直面した1人だ。

小野高海船さん

新たに、今までにない企画を考えなければならない中で、全くアイディアが

時間をかけて新規事業のネタを思い付いたとしても、顧客が真に求めるサービスであるとは限らない。社内で良いアイデアであると賞賛されたものの、顧客のニーズを捉え切れないケースは多い。

そのため、事業化の前に仮説検証を徹底することが不可欠だ。

NTTコミュニケーションズで事業企画・事業開発に携わる福井みなみさんも、仮説検証のために何十人にもヒアリングしたという。

生みの苦しみ

0から1を生みだすところが、一番やり甲斐がありつつも大変だと思います

多くの予算をかけて事業を立ち上げても「成功するかは分からない」という状況下、最後に頼るべき存在は想定ユーザーの声となるのだ。

「社内の壁」どう乗り越える?

また、仮説検証を踏まえた上でニーズがあると予想される場合であっても、一筋縄ではいかないことがほとんどだ。

いわゆる「社内の壁」に阻まれてしまうケースだ。

最初に立ちはだかるのは合意形成の問題だ。竹中工務店で事業企画・事業開発に携わる岡晴信さんは、社内で理解を得ることの難しさについて語っている。

岡晴信さん

「社内で理解が得られないとき」 事業創出では、新しい取組みを社内の

新規事業を立ち上げる際には、既存の事業のリソースを減らすことにつながることもある。「既に収益化に成功している事業を圧迫してまで新規事業に取り組むメリットがあるのか」と疑問を抱く社員も少なくない。

そのため「なぜ今やる必要があるのか」に対する明確な答えを用意し、調整していくことが必要なようだ。

しかし、いざ合意を得て事業に着手し始めてからも困難は後を絶たない。

新規事業を行うと、社内外で多くの人を巻き込むことになるが、​​羽田成宏さんは”自称仲間”とのコミュニケーションの難しさについて語っている。

おじさん研究者、事業開発に苦戦する

自分の言葉の主語が、顧客やユーザーでも、パートナーの誰でもなく、社内の誰かになってしまうことが続く時。 新規事業の場合、自社の過去の成功を起因とする各種の慣性力に抗いながら、時にはそれをうまく利用しながらそれを振りほどいて、想定顧客やユーザー、社会やパートナーとの接点を持てるようにしなければならない。 また、事業開発が進む段階になると、社内の“自称仲間”が増殖し始めて、投資家でもコミットのあるメンバーでも、メンターでもアドバイザーでもない、何でもないその様な人々とのコミュニケーションが増えてしまうことが多い。 活動の全てを顧客やユーザーのために捧げたいと思う一方で、この様に、ある時期では、全くそれが出来ない時があり、「折角、築いた関係性が壊れてしまうのでは」「二度と関係性を持てなくなってしまうのでは」という想いが湧きたち、非常に辛い思いをする時がある。

さらに、立ち上げ期にうまくマネタイズに成功した場合であっても、事業を推進し続けることには別の難しさがあるようだ。

フラー株式会社の林浩之さんは、チームメンバーと市場の双方が変化することに伴う苦労を語っている。

制約によって「イケる」と思った事業が形にならないこと

自分はモノを作れない。 その前提で事業を考えるため、時に「これは絶対

ここまで、新規事業に伴うさまざまな困難についてロールモデルのリアルな声を取り上げてきた。

では、事業開発を成功に導くためには何を意識すべきなのだろうか。過去のJobPicksの記事からヒントを探っていこう。

成果を出すために求められる姿勢

新卒2年目からラクスルの新規事業「ノバセル」のマネージャーとして活躍する楠勇真さんは、成果を出すために持つべき視点について説明している。

ラクスル最年少マネージャーが見つけた、最速で結果を出す3つの視点

僕が担当する事業開発という職種は、上司からの評価や、立派なアイデアを出した数ではなく、「事業をどれだけ成長させたか」で評価されます。とにもかくにも、数字が大切です。

最年少でマネージャーという責任あるポジションを任せてもらえたのは、目標達成にこだわり、事業成長に貢献してきた結果だと思っています。

社内での評価を気にしてしまいがちであるが、事業成長にこだわることが何より重要なようだ。

また、予定通りにいくことの少ない新規事業開発においては、「失敗から学ぶ」ことも大切だ。

プロバスケのBリーグで平均観客動員数がNo.1となった川崎ブレイブサンダースの運営会社「DeNA川崎ブレイブサンダース」の立ち上げに携わった藤掛直人さんは、「施策のほとんどが失敗から学んだものだった」と語る。

DeNA新卒1年目に任された新規ゲーム開発で犯した、損失数千万円規模の大失態が、のちの施策に生かされているのだという。

DeNA「若手部長の失敗学」バスケ事業、2年で売上倍増の裏側

この件では後から、「もっと社内外のプロに頼ればよかった」と猛省しました。

例えばゲームの特徴を際立たせるために、音楽業界のトッププレーヤーを巻き込むとか。長く遊んでもらうための制作体制に不安があったら、それを補えるような第三者との新たな座組みを考えるとか。

「やれることはもっとたくさんあったのに」という後悔があったし、それ以上に会社やプロジェクトメンバー、何より開発会社の方々に対する申し訳なさがありました。

その時以来、同じ失敗は二度と繰り返さないと心に誓ったんです。

事業開発は失敗が当たり前と言っても過言ではない。だからこそ、「いかに失敗から学べるのか」が重要になってきそうだ。

下の記事では、前出のフラー・林浩之さんが事業開発の仕事について語っている。

「事業開発で意識すべきこと」が数多く載っているので、ぜひ合わせて読んでほしい。

事業開発とは?求められるスキルは「考え方の引き出し」を増やすこと

文:安保 亮、編集・デザイン:伊藤健吾、バナーフォーマット作成:國弘朋佳、バナー写真:iStock / z_wei