副業でおすすめな「スキルの生かし方、広げ方」実践者に聞いてみた
2022年4月20日(水)
2020年から始まったコロナ禍もあって、「副業・兼業」に乗り出す人が増えている。
クラウドソーシングのランサーズが毎年発表している「フリーランス実態調査」の2021年版によると、副業・複業ワーカーは2020年の708万人から812万人に増加(出典元)。
他の調査を見ても、収入減やリモートワークによる時間的な余裕ができたことで、副業をする人が増えたという結果が多く出ている。
また、人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジーが2021年に発表した「副業/複業の潜在ニーズに関する意識調査」によると、今後副業を始めたいと考えている人の「理由」は次の通り。
1位は収入増を見込んだものだが、2位と3位はキャリア形成の可能性を広げる内容になっており、副業を成長のきっかけにしたいというビジネスパーソンが増えていると読み取れる。

実はヤフーが募集して話題になった「ギグパートナー」や、福岡市が募集した「DXパートナー」の仕事などで副業をしてきたひろゆきさんも、「挑戦すべき仕事を見つけて自分のリスクで取り組むのをやり続けなきゃいけない」時代だからこそ、会社員も「それをうまくやってる人がうまく立ち回れる」と語っている(下の記事参照)。
【ひろゆき】ヤフーで、副業してみて分かったこととはいえ、副業という新しい一歩を踏み出す前は、本業との両立に不安を持つもの。
そこでJobPicksがこれまで取材してきた副業実践者のノウハウや、副業体験を投稿しているロールモデルの声を基に、上手な両立法をまとめてみた(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。
転ばぬ先の杖として、ロールモデルの知恵に学ぼう。
このテーマについて、本業で出版社に勤めながらパラレルキャリア研究所を立ち上げ、副業(複業)に関する情報発信を行っている慶野英里名さんは、自分が持つ「ドメイン(ビジネス領域)」か「スキル」を軸に始めるのがいいと述べている。

その理由を、下の記事で自身の経験談を踏まえながらこうアドバイスしている。
最初からドメインもスキルもぴったり合致した複業を選んで、お金をいただくのは難しいものです。
ですから、どんなに小さなことでもいいので、自分の心に響く事柄を探して、すでに実績やスキルがあるものと掛け合わせて展開していくのがいいと思います。
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副業で失敗しない「始め方と続けるコツ」コミュニティ主催者に聞く
また、大手飲料メーカーに勤めながら、会社で学んだ「生産性向上」のコツを教える副業で本業の2倍近い収入を得ていたという森新さんは、インタビューで次の3つが大事だと話している。


【保存版】普通の会社員が、副業で「本業の2倍稼ぐ」3つの掟
特に、上の画像にも書いてある【3】の「本業の時給を割る副業はNG」について、重要性をこう説明する。
当たり前だと思われるかもしれませんが、単価の低い仕事に追われて疲弊し、副業を辞めてしまう人は、実はとても多いのです。
もちろん、はじめからたくさん稼ぐ必要はありません。
私自身、社外向けのセミナーを始めて1カ月くらいは、大赤字を出していました。10人分の会議室を予約したのに、お客さんが1人か2人しか来なくて、悲しい気持ちになったのも一度や二度ではありません(苦笑)。
それでも続けられたのは、手応えがあり、必ずニーズのある市場だと確信していたからです。本業の収入もあるし、絶対に果実(利益)が出るまで掘り続けようと。
逆に、構造的に「これは頑張っても、本業以上の時給にはならない」と自明な副業は、あまりおすすめできません。本業にも身が入らず、両者ともに中途半端になってしまうリスクが高いからです。
続いて、こうしたアドバイスを実践しているロールモデルたちのこだわりを紹介していこう。
ユーザベースのUIデザイナーYagi Yusukeさんは、副業を「所属する企業ではやりにくいジャンルやチャレンジをする機会」と捉えているそうだ。
実際、UIデザインのスキルは「横スライド」させつつ、副業ではデザイナーの人事評価制度を作る機会を得るなど、経験の幅を広げることを意識しているという。
まず、自分の中で副業は ・所属する企業ではやりにくいジャンルやチャレ
また、マーケティングエージェンシーのオプトを経て、現在は複数の会社でコミュニティマネージャーとして働く山本典子さんは、収入以上に「違うタイプのコミュニティ運営に同時に携われること」がメリットだと投稿している。
フリーランスとして、2つの別の会社のコミュニティの仕事に携わっています。 正社員からフリーランスという働き方に変わったのはたまたまだったのですが、働き始めたら、子供がまだ小さいので、時間の融通のきく部分が自分の生活にフィットして続いています。 複数の会社のコミュニティの担当をしている理由としては、大きく2つの理由があります。 1つ目は、コミュニティ運営を始めたばかりのフェーズでフルタイムのコミュニティマネージャーを雇うバジェットがまだない、初期段階の企業を顧客にとっていること。複数のコミュニティに専門職として入ることで、ひとつのコミュニティにコミットする以上の収入が入るようになりました。 2つ目は経験値。違うタイプのコミュニティ運営に同時に携われることで、新しいアイデアや進め方の知見をお互いのコミュニティ運営に活かしていけています。会社の体質や考え方、強みなどそれぞれ違っているので、勉強になることがとても多いです。人脈や発想も広がります。 フリーランスとして、複数の会社でコミュニティ運営を担当させていただくときに、一番大事なのは、自分の軸だと思います。私の場合は2つあって、to C 向けの暮らしにまつわるサービスの運営者であるということと、自分がその会社の熱いファンで尊敬の気持ちが強くあることでした。 また入った後に非常に大事だと気づいたこととして、会社の中の人たちが、自分の働き方や、やりたい方向性を理解し、受け入れてくださること。面白がったり、応援してくださること。 私には在宅で一人で働くことがとても無理で、一度つまづきそうになったのですが、両方の会社がオフィスに私の席を作ってくださったのでなんとか乗り越えることができました。とてもありがたかったですし、今ではそれが、自分にとって、この働き方の魅力のひとつにまでなっています。
加えて、副業でありがちな多忙による時間的・精神的な苦労も、異なる組織に属することで解消できているそうだ。
この話から、単なる業務委託ではなく「組織にコミットする」ことが副業を継続する上でも支えになることがうかがえる。
元・経営コンサルタントの経験を生かして、学習塾の神戸教育研究所に勤めながら他の教育企業の支援をしている佐藤正基さんは、業界知識が深まるという利点を感じているそうだ。
教育業界でハンズオンで間接業務を行っております。経営コンサルタントは実務があまりないように思われるかもしれませんが、かかわり方によります。短期で結果を出したいときはハンズオンを行います。 現在はスクール事業で「問い合わせを増やしたい」「人を採用したい」「DXを勧めたい」など間接業務で課題感を抱えている企業にハンズオンで入っています。コンサルタントで培ってきた、大局観や幅広い業界知識を活かし間接業務を行っています。 ハンズオンでがっちり入り込むといろいろなリソースが手に入ります。業界の知識だけでなく、そこでの人脈、そこに営業に来る方とのつながりや商品知識、経験は普段のコンサルタントに活かせます。
業界の知識だけでなく、副業で得た人脈がさらに異なる仕事を呼び込むという点も、キャリア形成のプラスになるだろう。
元・北陸銀行の融資営業だった片口陸さんは、アイドル好きが高じてグッズ制作の仕事を請け負う会社を起業。本業を持ちながらベンチャー経営者になるというユニークな副業スタイルをとっている。

起業は「好きを仕事にする手段」元銀行員の新しい副業スタイル
ここまで行くと、もはや副業とは別次元のように感じるが、本人は上の記事で次のように語っている。
「本業で成果を出さなければ、副業をする資格はない」というのも、理解はできるんです。とはいえそれは雇用主の考えであり、ビジネス強者の理論だとも感じます。そうした声を鵜呑みにしていたら、本来あったはずのチャンスを逃してしまうかもしれません。
給与をもらうに値する働きをするのは当たり前ですが、それ以上に背伸びをしなければならない理由はありません。全ての時間を本業に充てなければいけないと言うのは、ある種の幻想だと思います。
事実、片口さんがベンチャー経営をし続けている原動力は「仕事人生を楽しむため」。本業と副業、この2つがあって初めて、仕事を心の底から楽しむことができるという。
「会社の売上が10倍になろうとも、本業を辞めることはあり得ません」
その上で時間的なやりくりをどう行っているかなどは、ぜひ記事を読んでみてほしい。

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