イライラ、ネガティブとどう付き合う? 健やかなメンタルの作り方

イライラ、ネガティブとどう付き合う? 健やかなメンタルの作り方

    忙しい毎日で、会社と家の往復ばかり。もう少しインプットしたいけど、スマホを見るとついSNSやゲームでダラダラ時間を溶かしてしまう……。

    ビジネスパーソンのみなさんが「定時までに帰れること」をサポートすべく、業務効率化やキャリアアップに役立つ新刊ビジネス書の著者をお招きして、今日からお仕事にちょっと役立つノウハウやTipsをインタビュー。ポッドキャスト番組「定時までに帰れるラジオ」の一部をダイジェスト版でお送りします。

    目次

    樺沢紫苑さんプロフィール

    心身を整える「感情リセット」の方法

    野上:今回は『人生うまくいく人の感情リセット術』(三笠書房)の著者、樺沢紫苑さんをお迎えしております。よろしくお願いします。

    樺沢:よろしくお願いします。

    野上:ではまず、この本を簡単に一言でご説明いただけないでしょうか?

    樺沢:一言で言うと、「体と心を整えましょう」ですね。体を整えるのが意外と重要で、皆さんイライラしたときに、深く考えたり、楽しいことを考えたりして頭の中だけで処理しようとするんです。しかし、体が整わないとそれをやっても意味がない。心と体の両方を整えることがリセットするためには必要なんですね。

    野上:「心身の健康」なんていうことがよく言われますもんね。1回目は「感情リセットはこうしよう」というテーマで、具体的な感情リセットの方法についてお伺いできればと思います。

    樺沢:今から感情リセット術の方法をいくつかお伝えしていくんですが、大前提「体が整ってないとどうしようもない」というのがあります。

    例えば睡眠不足。睡眠が足りていないと、脳の働きが下がってしまいます。セロトニンという感情をコントロールする脳内物質が弱ってしまうんです。セロトニンって「感情の指揮者」とも呼ばれてまして、オーケストラの指揮者のように感情を調整してくれるんですね。

    そのため、睡眠不足によって脳の働きが悪くなってしまうと、感情のコントロールもできなくなってしまいます。普段だと何かムカッとするようなことを言われても、「まあ、いっか」って流せるものが、睡眠不足や運動不足、不規則な生活などをしていると、真に受けてしまうことがあるんです。

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    FreshSplash / Getty Images

    不安の原因は睡眠不足かも?

    野上:今、感情をリセットしたい、ムカムカしているなっていう人がいたら、「まず寝ろ」と。

    樺沢:睡眠時間が6時間以下の人は……どうしようもないですね(笑)。どうしようもないというかイライラしたり、不安が湧き上がってきたり、いつも心配なことを考えてしまう。睡眠6時間以内の人だとそうなるのが当然なんですよ。それが脳の仕組みなんですね。

    睡眠が足りていないこと自体が脳にとって危険な状態で、不安がバンバン出やすくなる。私は7時間以上の睡眠、できれば7時間半を推奨しています。

    6時間以下は明らかに睡眠不足です。そういう人はイライラしたり、感情が暴走したり、怒りっぽくなったり、といった問題が日常的に出てきてしまう。だからそういう人はまず、7時間以上寝るようにしてほしいですね。

    野上:まずは大前提、睡眠を十分にとっていただいて。それでもやはり、日々いろんなネガティブな感情とか悩みとかが起こると思うんです。この「嫌」とか「嫌い」っていう感情は、精神科医の樺沢先生から見てどういうふうに分析されているんですか?

    樺沢:基本的に人間の「好き」「嫌い」、「安全」「危険」というのは脳の扁桃体が判断してるんですね。ボールがポンと飛んできたら「危ない!」って避けるじゃないですか。そういうときも、扁桃体が「危険」を瞬時に判断しているんです。

    これが脳が疲れてると、暴走してすぐイエローカードをバンバン出すような状態になってしまうんです。基本的に好き嫌いが激しい人は、そもそも脳が疲れているのではないかと思いますね。

    ネガティブな気持ち、どう付き合う?

    野上:体も脳も疲れてしまっていると、今度はイエローカード連発で、身の回りの人が全部危険!となってしまうんですね。

    樺沢:そのときに使えるちょっとしたテクニックがあります。要するに、扁桃体が暴走すると0か100かで物事を見てしまいやすくなるんですね。なので、「今の自分の長所は何点かな?」って100点満点で評価してみてください。多くの人が自分の調子を「よい」か「悪い」かでしか考えないんですね。

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    本来は、「ぼちぼち」「普通」と言った、60点とか70点ぐらいの人が多いと思います。しかし、調子が「よい」「悪い」かだけ見ると、本当は60点ぐらいなんだけれども悪いと思っちゃうんですね。

    人を判断するときも好きか嫌いかの2つで判断しないで、点数でみるといいと思います。初対面の人だと、70点ぐらいだと思います。会ったばっかりで「こいつダメだな。10点だ!」っていうのはまずないでしょう?(笑)

    野上:なるほど、感情を数値化するということですかね。0点か100点ではなくて、60点、70点と刻みましょうと。可視化することで何かいいことってあるんでしょうか?

    樺沢:基本的にみんな0か100の思考に陥ってしまうんですよね。0か100か、うまくいっているかそうじゃないかですね。でも、ほとんどの人生なんて、大体ぼちぼちで普通なんですよ。そんな素晴らしいこともなければ、そんな大変なこともそんなにないんですよ。

    でも、これを0か100かでジャッジしていくと、大体バツの札が上がっちゃうんですね。「今日1日仕事うまくいかなかったな」とか、「思ったよりできなかったな」って思うとバツになっちゃうんだけど、よく考えてみると60~70点ぐらいなんですね。だから、数値化することであるがままに見る、普通に見るっていうことができると思います。

    (続く)

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    この後はこんな話をしています。

    • 過去や他人…変えられないものの対処法

    • アウトプットすることでの感情リセット術

    • 「逃げる」という最強の戦術





    (文:鍬崎拓海、デザイン:高木菜々子、編集:山崎春奈)