星の数ほどある会社の中から、自分に合う就職先を見つけるのは難しい。就活に費やせる時間も限られている。
そのため、企業選びの「軸」を設定して就活に臨むのが一般的だが、軸を定めること自体にハードルを感じる学生も少なくないのではないだろうか。
20代ながら、IT業界に特化したM&Aプラットフォームなどを運営するM&A BASEの代表取締役になった廣川航(ひろかわ わたる)さんは、学生時代に7社でインターンを経験。
ベンチャーキャピタルでの企業リサーチの経験も持ち、自分なりの「軸」を定めながらキャリアを積んできた廣川さんは、もし学生に戻ったとしたら一体どのような基準で会社を選ぶのか。
廣川さんに会社選びの神髄を聞いた。
まず前提としてお伝えしたいのは、会社選びに「絶対的な正解」はないということ。就活生一人一人が自分にとっての「優良企業」を定義する必要があります。
私にとっての「優良企業」は、事業と投資の両方に携われる会社でした。
事業をやっていく中で、投資したい事業に投資する。逆に、投資する中で、面白そうな事業には自分で挑戦してみる。この両軸で活躍したいという気持ちが強くあったのです。
私が就活生だった当時、事業と投資のどちらかで活躍されている方はたくさんいました。一方で、どちらもやられている方はあまり多くなかった。そのため、純粋に「両方できたら格好いいな」と思っていました。
しかし今振り返ると、「自立的に働けるか」という観点も重要だと感じます。
IT業界のM&Aの支援者として、そして経営者として働いていて痛感するのは、「売上を作れなければ会社がつぶれてしまう」ということ。
責任のある立場になればなるほど、会社を存続させていくために何をすれば良いかを考え、自分から行動しなければいけません。至極当たり前のことです。
ですが、特に若手のうちは、実は自立的に働かなくても何とかなる場合が多い。「自分が売上を作らなければつぶれてしまう」というような切羽詰まった状況は極めてまれです。
というのも、多くの会社では「仕組み」が出来上がっています。
営業であればそもそも商材が優れていたり、「誰でも結果を残せる」ような営業メソッドがすでに確立されていたりする。
そのため、自身の営業力が実はそこまで問われていない場合もあります。
そういった環境でキャリアを積むと、仮に全く仕組みが出来上がっていない会社に移ったとき、今まで通りの営業成績を残すことは難しくなってしまう。
つまり、仕組みが出来上がっている会社に長く身を置くことはリスクにもなり得ます。そのため、今もう一度就活生に戻ったとしたら、自立的に働ける会社を選ぶと思います。
では、自立的に働ける会社とはどんな会社なのか。
条件の一つとして「伸びている」ことがあげられます。具体的な指標でいうと、売り上げと社員数ですね。この二つが伸びているかを有価証券報告書などで確認すると良いと思います。
こうした成長フェーズの会社はまだ仕組みが出来上がり切っていないことが多いので、いろいろな仕事を任せてもらえる可能性が高まります。
特に私がおすすめしたいのは、一つの職種を幅広く任せてもらえる会社。営業なら、企画・提案から新規開拓まで一通りやれる、という感じです。
仕事が細分化され過ぎると全体像を見失ってしまいがちですが、一方で幅広い職種を短期間でジョブローテーションしてしまうと、専門性を高めることが難しい。
職種という専門性を確保しつつ広範な仕事に取り組める環境が、プロフェッショナルを目指す上でベストだと思います。