増える「プロジェクト型の仕事」若手が成果を出すには何が大切?
2022年8月22日(月)
さまざまな変化に適応しながら企業が成長していくには、従来型の縦割り組織で各々のタスクをこなすだけでは難しい——。
この前提を下に、近年は課題や目標に応じて組織横断で動く「プロジェクト型」の仕事が一般化している。
社外の専門家たちとコラボレートする機会も増えており、チームをリードする役割はベテラン社員だけのものではなくなっている。
コンサルタント・著述家として知られる山口周さんは、著書『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』(大和書房)で、プロジェクトマネジメントのスキルを活用することで多くのビジネスパーソンの仕事が「楽しくなる」とも述べている。
タスクをこなすのが中心となる「手続き処理型」の仕事から、「プロジェクトマネジメント型」のワークスタイルに変わると、仕事の成果物=自分の作品になるからだ。
【読書】「勝てる」プロジェクトは、何が違うのか?しかし、多様なバックグラウンドの人材が集まるプロジェクトほど、一辺倒な「管理」をしてもメンバーは動かない。特に初めてのリーダー経験をする際は、多くの悩みが付き物だ。
そこで本稿では、JobPicksに経験談を投稿するロールモデルの中で、プロジェクトマネジメントを本業にする職業の人たちが「先輩に教わった」アドバイスを紹介。
プロジェクトをリードする際に知っておきたい心得やテクニックを紹介しよう(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。
こう語るのは、日本IBM 戦略コンサルティングでパートナーを務める大塚泰子さん。
ファーストキャリアから一貫してコンサルタントをしてきた大塚さんは、「結局は『どれだけ本気でそれを実現したいのか』という推進者やフォロワーの『想いの熱さ・深さ・覚悟』によって、その成否が決まる」と述べている(※投稿は前職のPwCコンサルティング時代のもの)。
「人を動かすのは、ロジックとパッション」 コンサルタントの仕事はど
これに近いアドバイスを受けたと語るのは、同じくコンサルタントとしてローランド・ベルガーで働く鈴木慎吾さんだ。
投資銀行から転職して1年が経った頃、ある先輩に「ご両親が経営してる会社でも同じぐらい考えて、同じ提案する?」と問われたという。
この仕事に転職して1年弱ほど経ち、昇進も経験し、社内では誰からも「す
プロジェクトをリーダーとしてけん引する際、最も重要なのはスキルではなく「オーナーシップ」なのだろう。
実際、プロダクトマネージャー(PdM)としてDeNAやビズリーチ、エクサウィザーズなど成長ベンチャーで働いてきたKitabayashi Yotaさんは、駆け出しの頃は「担当している事業数値やプロジェクトの目標を達成することが目的となってしまっていた」と反省の弁を述べている。
そこから一皮むけるには、次のような変化があったという。
プロダクトマネージャーとしての活動する前、自分には人生をかけて実現し
投稿にもある「なぜそれをやるのかということに常に立ち返って考える」習慣は、業務の各論でチームの意見が分かれた時などに必ず必要となるものだ。
一方で、スキルとして「余裕を持つ」ことが大切と述べるのは、クオリアラボという会社でプロジェクトマネージャー(PM)を務める橋本有司さん。
その理由を次のように投稿している。
頑張るのではなく、「ラクをする」こと。 プロジェクト全体を調整/管
この投稿の背景には、いつでもミスや想定外の出来事が発生し得るという教訓があるようだ。事実、PMの苦労として下のような投稿をしている。
業務プロセス全体に関わるため、自分にボールがあってもなくても、常に頭の中で複数の業務が並行して進んでいる状態になる。そのため慣れない頃は、休日でも気が休まらなかった。 特に、切羽詰まったスケジュールの中で大きなミスがあった場合は、調整が難しい。そういう時にはどうしてもミスを埋めようと誰かに無理を強いたくなるが、そこをいかに我慢して俯瞰して見れるかは難しいし、大切。一方で、ミスは必ず起きるので、だからこそ日頃のコミュニケーションや対応の丁寧さが求められるようにも思う。
橋本さんも書いている「コミュニケーション」の重要性に関しては、デンソーでPMを務めるYasuzaka Taikさんがより具体的なやり方を投稿している。
大切なのは、1on1を含め「メンバーと向き合う時間」をどれだけ確保するかだ。
マネージャーはチームで成果を上げることが求められるので、常にチームメンバーの状況、様子に関心を抱くことが必要です。昭和の時代であれば、マネージャーが全てを判断して俺についてこいというメンバーを引っ張る形の方法が通用したかもしれませんが、現代はメンバーのやる気を喚起させ、能力を最大限に引き出すやり方が大事だと考えます。 コロナ禍で対面での業務が制限される中ではありますが、メンバーと1対1で話す時間を確保してメンバーの意見、悩みや考え方について耳を傾ける場を持つことを実践してます。チームミーティングでは聞けなかった思いもよらないメンバーの意見や意外な一面を知ることが出来、信頼関係の構築に有効と考えております。 逆に言えば、メンバーのために自分の時間が割けない様であればマネージャーの仕事は務まらないと思います。
プロジェクトマネジメントの経験が少なくても、「腹を割って話す」時間は誰でも取れる。
そうやって個々人の考えや得意・不得意を把握した上で、パズルのようにシナジーを生み出す策を練るのがリーダーの役目となる。
もちろんその「得意・不得意」は、自分自身にもあるだろう。
建設コンサルの日本工営でPMをしているNakano Hiroshiさんの投稿のように、チームの中で「自分にできるスペシャリティ」を明確にするというのもマネジメントのコツとなる。
プロジェクトマネージャーとして、業務の進捗管理や成果の管理等実施する必要がある反面、自分の関わる業務に関しての深い知識と経験が望ましいため、スペシャリストである必要もあります。技術的に難しい検討等を行うことでやりがいを感じております。 また、自分自身の年齢が若いこともあり、年長者の管理や、開発途上国のチームメンバーをまとめ上げることが必要となります。加えて、”若い”というだけで、まずはあまり相手にしないような開発途上国もあり、そういった所では地道な対話やプレゼンスの発揮をすることで信頼を勝ち得られると考えております。少し時間はかかるものの、一度築いた信頼家系からスムーズに仕事が出来たり、仕事以上の関係性が出来ることにやりがいを感じます。
リーダーを任されたからといって、全てに精通する必要はない。
まずは自分のスペシャリティを発揮できる部分を軸に、自らもチームメンバーとしてプロジェクトに貢献する。そこから突破口を開いていけばいいのだ。
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