【LINE・24歳】若手プロダクトマネージャーの仕事の中身

【LINE・24歳】若手プロダクトマネージャーの仕事の中身


この記事に登場するロールモデル

目次

「社会人として働く」ということは、いわば“大人としての人生”の幕が上がるということ。これまでの人生で経験したことのない苦悩や葛藤、想像を超える楽しさが待ち受けている。


しかし、社会人として働く以前に、社会人のリアルな声を聞く機会は多くない。それゆえ、働くことにネガティブな印象を持ってしまう人もいる。


本連載「#就活中のあなたへ」では、社会人として働く“等身大のロールモデル”たちが自身のキャリアを振り返り、学生の皆さんが「天職をつかむ」ためのヒントを届けていく。


LINEで働く大嶋泰斗さんは、「自社商品・サービスを成長させることを責務に、プロジェクト全体を統括する」プロダクトマネージャーを、入社1年目から任されている。


「メリハリのない大学生活を送る自分に焦っていた」という大嶋さんは、いかにしてキャリアを切り開いたのか。就職に至るエピソードから、プロダクトマネージャー1年目の苦労まで、余すところなく語ってもらった。

【LINE・24歳】若手プロダクトマネージャーの仕事の中身_01


メリハリのない毎日への焦り



—— 現在、LINEでプロダクトマネージャーをしていると聞きました。ファーストキャリアにLINEを選んだのは、どのような理由からでしょうか?


大嶋:プロダクトのグロースハック(ユーザーから得たデータを分析し、改善を繰り返しながらサービスを成長させていくマーケティング手法)に興味を抱いたことが、きっかけです。


複数社の長期インターンに参加し、実際に働いたことで、自分がどんなことに興味があり、どのような武器を持っているのかが見えてきました。その過程で会社選びの軸を見つけることもでき、LINEへの入社を決めました。


—— 興味関心、そして自分の武器を見つけていった過程について、具体的に教えてください。


大嶋:そもそも長期インターンに参加しようと思ったのは、「メリハリのない大学生活を送っていた」という焦りからです。


「英語が好き」という理由で獨協大学の英語科に入学したのですが、勉強はするものの没頭できず、学内の環境で打ち込めることを探すのには限界を感じ、学外に成長環境を求めて長期インターンに応募しました。


入学から半年間、猛勉強していたこともあり、自信のあった英語の成績は学年上位。TOEICで850点以上点数を記録していたこともあり、「きっと受かるはずだ」という自信もありました。


ただ、そう簡単にはいきませんでした。当時長期インターンに参加していた学生は、いわゆる難関校の学生たちが中心です。


つまり、英語がそもそも武器にならなかったのです。


また、「なぜ長期インターンに参加するのか」「どんなことがやりたいのか」という目的がないために、僕には採用される理由がありませんでした。


10社近く“お見送り”された後、やっと内定をもらった会社でも、価値提供をすることができず、自信をなくして自分から退職を申し出ました。


武器というと大げさかもしれませんが、提供できる価値がなければ、働く資格がないことを知ったのがこのときです。


—— それから「提供できる価値」を身に付けるための挑戦がはじまったのですか?


大嶋:その通りです。当時の僕にある提供できる価値は、時間だけ。


まずは時間を提供することで、より大きな価値提供ができる人材になる。そうやって成長していくことが、学生生活の目標の一つになりました。


発信すると、情報が集まる

大嶋:誰よりも時間を提供しようと休学して長期インターンに臨み、ライティングや動画編集、イベント運営など、あらゆる業務に挑戦するうちに、「UXデザイナー」という職種に出会ったことがルーツになりました。


ちょうど「UXデザイン」という概念が重要視され始めていた時期で、働いていた会社の業務にも生きるし、身につけておいて損はないだろうと、まずは独学で勉強をはじめました。


デザインの作業そのものがとても楽しく、夢中になって勉強するようになり、学んだことをSNSで発信していたらいつの間にかフォロワーが増え、ますます学習することが楽しくなっていったのです。


発信をしていると、情報が集まってきます。「うちの会社で働かないか」と誘っていただく機会もありましたし、「UXデザインを学ぶなら、この会社がいいよ」といった紹介をいただくこともありました。


そうした時期に、UXデザイナーとして有名な深津貴之さんが、ピースオブケイク(現・note)のCXO(Chief eXperience Officer)に就任されたというニュースを聞きました。


深津さんのことを詳しく知っているわけではありませんでしたが、先輩から「UXデザインを学ぶなら、これ以上に恵まれた環境はない」という後押しを受け、迷わず応募。運よく採用してもらうことができ、晴れてnoteのUXデザイナーインターンとして勤務することになりました。


—— UXデザイナーとして勤務したことが、プロダクトマネージャーの原点になっていると。


大嶋:その通りです。入社翌日に、会社のミッション、ビジョン、バリューを決めるワークショップに参加させていただいたのですが、そこで受けた衝撃が今でも覚えています。


その会議では「note」というサービスの人格を定義する話し合いも行われたのですが、「記事中に広告を出すことはしない」「事業者目線でPVを稼ぐ施策を実施しない」といったように、常にユーザー起点で物事を考えることを徹底していました。


以来、ユーザー視点でサービスを考える癖がつきましたし、「それを仕事にできたらいいな」と考えるようになりました。ちなみに、サービスの体験価値向上を目指すプロダクトマネージャーという職種は、ユーザーの体験をデザインするUXデザイナーと通底するものです。


「社員がプロダクトを大切にしているか」「プロダクト自体を好きになれるか」が後の会社選びにおける重要な軸となっていくのですが、これらはnoteのインターンで「プロダクトには社員の思いや性格が色濃く反映される」ということを実感したからです。



自分だけの武器と謙虚さを持て

【LINE・24歳】若手プロダクトマネージャーの仕事の中身_02

—— noteを含む複数のインターンを経験した大嶋さんが、LINEに興味を惹かれた理由を教えてください。


大嶋:大学4年次に参加した、サマーインターンがきっかけです。


内容は、参加者4名で1チームを組み、LINEの既存サービスの改善点を発表するハッカソン。僕のチームは「LINEマンガ」を担当していたのですが、出版社などステークホルダーが多数いるため、実現できる施策に制約が多いことに悩んでいました。


そのことを社員に尋ねると、迷わず「ユーザーが付いてくるのであれば、難しい施策でも実現できる」という答えが返ってきました。その姿に「常にユーザーを向くスタンス」が感じられ、共感できたのです。


また、デザイナーやエンジニアといった専門職と協働することが大前提なのですが、LINEには腕のある専門職の社員が多数在籍しています。


自分よりもレベルの高い人材に囲まれながら、「常にユーザーを向くスタンス」を全社員がもったLINEは、僕にとって理想的な環境でした。


—— 現在はプロダクトマネージャーとして、具体的にどのような仕事をしているのですか?


大嶋:スマホ投資サービス「LINE証券」の機能改善を担当しています。


既存機能のアップデートや新機能の要件定義、その開発プロジェクトの推進も僕の役割です。


LINEではよく、“プロダクトの利便性向上に付随する業務を全部やる人”だと言われています。


—— 新卒から「プロダクトの利便性向上に付随する業務を全部やる」のには、相当な苦労があるのでは?


大嶋:相当苦労しましたし、今もそうです。プロダクトマネージャーとして活躍している人の多くは、デザインやエンジニアリング、もしくはファイナンスやbiz devなど、武器を持っています。


専門性があるからこそ、周辺職種の人とスムーズに協働でき、プロジェクトが円滑に進むのです。しかし、僕には専門性がありません。


正直、1年目は何も貢献することができず、眠れなくなるくらいに悩んだこともありました。


また、業界知識がないことにも苦労しました。学生時代に金融を学んでいたわけでもなく、投資にも「なんだか怖い」くらいのイメージを抱いていたので、知識ゼロの状態から仕事をしなければなりませんでした。


金融取引において、売買が成立することを約定(やくじょう)というのですが、僕は「やくてい」だと思っていて、会議で取引先に失笑されるなんてこともありました。



当時は、「自分には一体なにができるのだろう?」と思い悩んでいましたね。



—— プロダクトマネージャー1年目の壁は、どのようにして乗り越えたのでしょうか?



大嶋:バカだと思われても構わないので、分からないことは全て、先輩に聞くようにしました。


それまでの僕は、実態のない評価に踊らされている節があったのです。


学生時代に積極的に情報発信していたので、SNSのフォロワーがたくさんいましたし、就職のオファーをいただいたこともあります。そうした過去があったので、実力で勝負できると思っていたのです。


しかし、甘い考えでした。


LINEでは上長の他に、部署の違うメンターがいます。業務以外の悩みを気軽に相談できる環境があったので、それを素直に頼ったところ、「1年目は何も分からなくて同然だから、とにかく先輩に質問して大丈夫」とアドバイスをもらいました。


それからというもの、とにかく足を動かし、分からないことをキャッチアップするようにしたことで、“プロダクトマネージャー1年目の壁”を乗り越えられました。

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(Photo : iStock / kk-istock)

—— 2年の経験を踏まえ、若手プロダクトマネージャーとして活躍するには、どのような素養が求められると思いますか?


大嶋:自分自身へのメッセージでもありますが、まずは武器を持つことが大事だと思います。


ただプロジェクトを管理するだけでは突き抜けられませんが、秀でた分野が一つあれば、発揮できるバリューが増えるからです。


プロダクトマネージャーは各領域のプロフェッショナルと仕事をする機会が多いので、特に若手だと「自分は何もできない」と自信をなくすこともある。


だからこそ、「これだけは負けない」という武器づくりに時間を投資することをお薦めします。


そして、「分からないことを、分からないと言える」ことも、非常に重要です。


若手でプロダクトマネージャーになるということはつまり、スキルが未熟な状態で、レベルの高い専門職種人たちとコミュニケーションを取るということ。「なんとなく理解したつもり」でいると、痛い目にあいます。コミュニケーションが形骸化してしまうのです。


すると、信頼関係を築くのが難しくなります。「ユーザーが使いやすいプロダクト」を世の中に届けることがプロダクトマネージャーの仕事なので、そんな状態では価値を発揮できません。


プロダクトに関わるあらゆるステークホルダーの声を理解する努力をしたうえで、分からないことを「分からない」とはっきり伝える。そうやって背景を理解したうえで、意思決定を下す謙虚な姿勢が、プロダクトマネージャーの重要な素養なのです。


就活前に職種への理解度を上げよ

【LINE・24歳】若手プロダクトマネージャーの仕事の中身_03

—— 大嶋さんは今後、プロダクトマネージャーとして、どのようなキャリアを見据えていますか?


大嶋:僕が尊敬するプロダクトマネージャーのみなさんは、エンジニアやデザイナーから転身した人が多く、自分とは経歴が違うためにロールモデルがおらず、明確なキャリアを描けていません。


ただ、より経営目線を持った人材になりたいとは思っています。


現場のプロダクトマネジメントに秀でることが直近の目標ですが、なぜそうなりたいかといえば、「LINE証券」を日本中に広めるためです。


僕がそうでしたが、日本人は世界に比べて金融リテラシーが高くありません。「老後2000万円問題」が話題になりましたが、資産をつくるために必死になって貯金をしているのが、多くの日本人の現状です。


しかし、それでは不十分なケースがある。でも、投資の概念を知り、投資を正しく実行できていれば、ライフプランをコントロールできるかもしれません。


そうした世界を実現すべく働いているので、現場だけではなく、経営を担う人材として、「LINE証券」の普及に努めていきたいと思っています。


—— プロダクトマネージャーを目指す学生世代に向けて、先輩社会人として伝えたいことはありますか?


大嶋:プロダクトマネージャー以外にも言えることですが、就職活動をする前に、まずは職種への理解度を上げるべきだと思います。


学生から就活相談を受ける機会が多いのですが、彼らは仕事の具体的なイメージをまったく持てていません。それは、職種に対する正しい理解をしていないことが一つの原因になっていると感じます。


例えば「LINEの企画職と他社の企画職で迷っています」といった相談を受けるのですが、LINEの企画職とそれ以外の企画職では、きっと業務が異なるはずです。


そうした違いを理解していないと、入社後に理想と現実のギャップに悩まされてしまうかもしれません。


この記事を読んでくださっているみなさんの中で、UIデザイナーとUXデザイナーの違いや、プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いを説明できる人は、きっと多くないと思います。会社によっても異なるので、プロダクトマネージャーを2年経験した僕も、正確な定義を持てているわけではない。


ですから、企業選びよりも先に、職種への理解度を上げることを意識したほうがいいと思います。そのためには、社員の方にコンタクトを取って話を聞くとか、インターンに参加して実務経験を積んでみるとか、自分の足で情報を掴みにいくことが大切です。


正しく職種を理解し、自分に合った企業を選択すれば、充実した社会人生活を送れるはずです。そのためにも、就職活動が本格的にスタートする前に、失敗を恐れず行動してみてください。

取材・執筆:オバラ ミツフミ、編集:倉益璃子、撮影:大嶋泰斗(本人提供)

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