【森山大朗】ユニコーン3社の転職で知った「伸びる人の行動原則」

2021年12月15日(水)

“すでに起きた未来”に身を置く

これまで7度の転職を経験し、3社のユニコーン企業で働いてきた経験から、「テクノロジーによる変化をいかにチャンスにできるか」が、キャリアを考える上での鉄則だと考えています。

現在、あらゆる仕事が、AIをはじめとした情報テクノロジーによって自動化されるプロセスのまっただなかにいます。

特にAIによる仕事の自動化は“すでに起きた未来”であり、どんなに抵抗しようと、その方向へのシフトは止められません。

なぜなら、技術革新によって仕事がなくなったり、新たな仕事が出現してくる現象は今に始まったことではなく、人類の歴史上、幾度となく繰り返されてきたからです。

いま僕が22歳だったら、メタバースやNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)領域で調べたことや実践してみたことを、自分なりに発信してみます。

その領域で事業を展開している会社があれば、インターンで働かせてもらうかもしれません。

メタバースやNFTの市場が、本当の意味でいつ本格的に爆発するか。その時期までは分かりませんが、これからあらゆるものが仮想空間上に置き換わり、それらが分散台帳技術によって唯一性を与えられていく、その方向性に進んでいくこと自体は間違いないからです。

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仮想空間で何かをつくったり、売買している人は、国内ではまだ少ない状況です。

でも、海外のMMO(Massively Multiplayer Online) RPGといったゲームの世界では当たり前になっていて、国内にもその波は徐々にやってきています。そうであれば、さっさとそちらの世界で働いてしまえばいいんです。

もちろん、ビジネススキルは大事です。ロジカルシンキングとか、プレゼンテーションとか、仕事における基礎能力を身に付けておいて損はありません。

でも、それは働いていれば一定レベルで自然と身に付きますし、ビジネスの世界においては、スキルによって得られる恩恵よりも、先行者利益のほうが大きい。

22歳という若さを生かすなら、ビジネスの手だれである年配のベテランたちと、真正面から“スキル合戦”をするのは得策ではありません。

早期に有意に立つなら、テクノロジーによる変化をキャッチアップし、いずれそうなる世界に向けて早くから準備をしておくのがいいでしょう。そうすれば、新しい分野を学ぶ必要に迫られた目上の人たちや企業から、逆にアドバイスを求められます。

「仕事や企業を探す」のでなく、むしろ企業や仕事の方から「探される」人材になるはずです。

天職は探すのではなく、“ゆく”

僕の経歴を振り返ると、いち早くインターネット業界に飛び込んだことが、キャリアが好転したきっかけでした。

新卒ではリクルートグループに就職して、それなりに満足いく仕事をさせてもらっていましたが、「これからインターネットの時代になる」と確信し、転職しました。

その後、ビズリーチやメルカリ、スマートニュースといったユニコーン企業を渡り歩く経験をしましたが、インターネットに“張っていた”おかげで、現在の自分があります。急成長する環境に身を置いていたら、自分も勝手に成長できたんです。

やりたいことが明確にあるのなら、早くそれをやったほうがいいと思います。でも、大半の人に、やりたいことなんてありません。

そうであれば、「やりたいことなんて、そう簡単に見つからない」ということを理解して、とにかく「競争相手が少ない」領域に飛び込んで、その道の専門家になったほうが、よほどいい。

そもそもファーストキャリアなんて、串カツ田中の「チンチロリン」と一緒です。経営学者の故ピーター・ドラッカー先生も「最初の仕事はくじ引きである」という言葉を残しているくらいで、新卒で入社する会社で人生が決まるわけではありません。

僕はキャリアの途中に、空白期間があります。退職を境に、1年ほどフリーター生活をしていました。28歳、年収160万円です。

でも、「やりたいこと探し」や「自分探し」から足を洗い、世の中が求めていることを軸に、自分を再設計することにしました。

その結果、プログラミングを学んでサービスをリリースしたり、急成長企業で働く機会を得ることができました。

インターネットとそれを取り巻くテクノロジーに、好奇心を持って取り組んできたことで、自分のキャリアと働き方を大きく変える機会を得られたのだと思います。

「つぶしが利く」というもっともらしい理由で、なんとなく大企業に就職するくらいなら、未来を先取りしたほうが、むしろ選択肢が広がると思います。

適職診断は、星座占いと同じ

就活生の多くは、まず自己分析をすると聞きます。でも、そこに多くの時間を費やしても、成果は得られません。

昔の僕がそうだったのですが、分析に意味が出るほどの経験資産や、考えるための資源を持たず、なおかつ分析力にも乏しい状態で自己分析をしても、結局、聞こえのいい企業に自分を合わせようとするだけなんですよね。

就職対策や業界研究本を読み、なんとなく興味があるような気がして志望業界や志望企業を決める。そのプロセスは、良くも悪くも自己洗脳なんです。

そうして企業にエントリーし、選考に落ちれば全く別の業界や企業を志望し、落ちればまた、別の業界や希望するように自分を洗い替える。

こんなことを何度も繰り返していたら、人間の精神は壊れてしまいます。

「就職人気ランキング」や「学生に就職を勧めたい大手企業ランキング」などを目にすることもありますが、それらにランクインしている企業群が、本当に将来性があるかどうかは、慎重に見極めなければなりません。

「適職診断」なるサービスも、必ずしも自分に合う職業が提示されるものとは限りません。こうしたサービスの診断結果を過度に意識してしまうのは、膨大な仕事や企業の中から何を選んでよいのかが分からず、選択範囲を狭めたいという人間心理が働くのかもしれませんね。

テクノロジーが変化を加速させる現代においては、その最前線で、次々に新しい職種が生まれています。僕の職業であるプロダクトマネージャー(PdM)もその一つです。

しかし、この仕事が、適職診断サービスで誰かに提案されるかというと微妙で、新しい職種群は軒並み、診断の範囲外になってしまうのです。

ですから、とにかく手を動かして、経験して、自分の身体知(身体に根ざした知)で判断するしかないんです。

特にやることがないのであれば、アルバイトなり、インターンなり、早い時期に働く経験をしたほうがいい。

僕は学生時代、安酒を飲んで、お昼まで寝て……というだらけた生活を送っていましたが、2年もやるとすっかり飽きてしまいました。

僕が学生だったら、メルカリで自分のお店をやってみたり、SNSや仮想空間でモノをつくったり、売ってみたりすると思います。

そうして、自分で感じられる実感を増やしていったほうが、自分だけのキャリアをつくる元手や手がかりが蓄積されていくはずです。

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取材・文:オバラ ミツフミ、編集:佐藤留美、伊藤健吾、デザイン:黒田早希、撮影:遠藤素子