米タイム誌で「世界で最も快適」と評されたシューズメーカー・Allbirds(オールバーズ)で、マーケティング本部長を務める蓑輪光浩(みのわ みつひろ)さん。
新卒で入社したNikeでは「NIKEiD」などのマーケティングを担当し、その後ユニクロ、レッドブル、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と華々しいキャリアを歩んできた。
そんな彼は、意外にも「いま22歳だったら、就職せずに青年海外協力隊に応募する」と語る。名だたるプロジェクトを成功に導いてきた彼が、働く前に海外へと飛び立つのはなぜか。
「年齢を重ねても、好奇心を忘れない“こどな”でいたい」と語る蓑輪さんに、若い世代に伝えたい「22歳の歩き方」を聞いた。
いま22歳だったら、就職せずに海外協力隊に応募すると思います。なるべく若い時期に、インターナショナルな環境に身を置きたいからです。
日本を飛び出してグローバルな環境で働いた経験から、海外の優秀なビジネスパーソンたちと切磋琢磨する経験が、キャリアにおいて飛躍的な成長をもたらしてくれるのは間違いないと思っています。
もちろん、卒業してすぐにグローバルな環境で働く選択肢もアリです。それでも海外協力隊を選ぶのは、“ミステリーな選択肢”で、お給料までいただけるから。チャレンジに年齢制限はありませんが、若いほうが思い切った選択肢を取りやすいですからね。
吸収力が高いうちに多様な価値観に触れ、世界中の人たちと対話するための語学力を身につける。その過程で培った自分らしさを武器に、社会人として活躍する道を選ぶと思います。
グローバルな環境に身を置く重要性を最初に感じたのは、新卒で入社したNikeで働いていたときのこと。オランダに駐在していたのですが、オフィスに日本人は3人しかいませんでした。1500人のうち、たった3人です。
英語がネイティブレベルではなかったので、発言するのにも勇気が必要でした。でも、発言しなければ職場に来る意味はありません。プレゼン一つするのにも相当な準備をしていましたし、職場に向かう電車では「湘南乃風」を聞きながら、いつも自分を奮い立たせていました。
いうなれば、「ドラゴンクエスト」の世界です。
仲間を増やして、課題をクリアしていく。仕事はいつだって戦場で、判断を誤れば居場所がなくなるのではないかと思いながら、いつも冷や汗をかいて働いていました。もちろん、恥ずかしい思いを何度もしましたよ。
でも、当時の経験が僕のキャリアを支えているのは間違いありません。一流のアスリート、そして自分よりもはるかに優秀なビジネスパーソンたちと働いた経験が、「プロフェッショナルとはこうあるべき」というものを教えてくれたからです。
泥くさい仕事もしましたし、夜を徹して仕事することもありましたが、無駄な時間を過ごしたとは思いません。
若造だった僕に高い視座をもたらしてくれたNikeには、今でも心から感謝しています。