新型コロナウイルスの影響を受け、企業の安定が揺らいでいる昨今。
転職しても応用が利く、「手に職のつく仕事」に興味を持つ人も少なくないだろう。
採用支援ツール「ミツカリ」のインサイドセールスを担当する渡邉理奈(わたなべ りな)さんは、「インサイドセールスは専門職です」と語る。
同職はDX(デジタルトランスフォーメーション)の広がりとともに需要が急拡大しており、さらには未経験にもチャンスがあり、専門性を磨いていける仕事だという。
女優を志し接客業のアルバイトで生計を立てていた渡邉さんが、未経験転職を通して「手に職をつける」までのキャリアを聞いた。
—— まずは、現在の仕事内容を教えてください。
早期離職を未然に防ぐ採用支援ツール「ミツカリ」のインサイドセールスを担当しています。
ミツカリは10名以下のベンチャー企業です。一つの職種だけを担当できるほど大きな組織ではないので、カスタマーサポートやフィールドセールスも兼任し、資料づくりからメルマガ作成、CRM(顧客管理システム)の導入・メンテナンスなど、幅広い業務に従事しています。
—— 渡邉さんが新卒の頃は、まだインサイドセールスという職業は一般的ではなかったはずです。現在に至るまでのキャリアを教えてください。
ファーストキャリアは、家電量販店です。
もともと3年間で退職するつもりでしたが、働いているうちに熱中してしまい、気がつけば5年間も在籍していました。
総合カウンターの受付や大型家電のまとめ買い担当者など、売り場の仕事をひと通り経験しています。
入社3年目に昇格し、主任になってからは、戦略立案や在庫管理など、管理職としての仕事をしていました。
ただ、入社5年で退職してからは、1年間、履歴書に空白期間があります。
女優を目指し、アルバイトで生計を立てていた時期です。
—— もともと女優を志していたのですか?
高校で演劇部に所属していて、キャストとして演じたり、脚本を書いたり、地元の劇団を手伝ったりしていました。
当時から女優を目指していて、高校卒業後は演技を学ぶため、専門学校に進学するつもりでした。
ところが家庭の都合で進学が難しくなってしまい、周りは進路をほぼ決めていた時期に就職へと方向転換しました。
事情は理解していましたが、女優になる夢はどうしても諦めきれず、働いてお金をためてから、女優業に挑戦しようと考え直したのです。
東京には女優になるチャンスが多いと思っていたので、就職先は東京に絞っていました。
でも、1人で東京に行くのは初めてで。丈の長い制服のスカートを履いて、緊張しながら面接を受けたのを、鮮明に覚えています。
当時は「自分にはどんな仕事が合っているか」なんて、考えもしませんでしたね。
「東京で働きたい」という、ただそれだけの思いでした。