理学療法士の経験談やりがい

仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

  • Kitai Kenta
    現職者Kitai Kenta
    経験: 7年
    訪問看護ステーションあしたば

    専門性と人間力の相乗効果が奏でる醍醐味と可能性

    理学療法士(Physical Therapist、以下PT)は身体機能をメイキングし、生活動作や生活の質をデザインすることが臨床業務である。

    医療機関に所属することが多いものの、今ではその職域は更に拡大している。


    訪問リハビリに携わる身としては、病院や施設でのリハビリで回復が見込めなかった方が、私との関わりの中で身体機能が回復したり、一人で歩けるようになったりするプロセスは内なる炎を燃やし、大きな高揚感を得る。

    そこにコミットするには...

    、PTとしてのボディメカニクスやハンドリングの知識や技術のみならず、繰り返されるコミュニケーション(対話)を通じて患者・利用者との間に形成されるラポールが欠かせない。 特に、訪問リハビリのような在宅サービスは主戦場が患者・利用者の“ホーム”であり、我々サービス提供者は常に“アウェイ”であるため、一つ一つの態度や言葉遣いも重要である。 リハビリに対するNeedsも「歩けるようになりたい」というものから「一人で動けるようになりたいけど運動はしたくない」等、モチベーションや目標も含めて十人十色である。 ベースが異なる相手の『良い所』を探りながらモチベーションを引き出しつつ、如何により良いサービスに繋げるかは、単なる社会的教養だけでなく、その“城”の独自ルールや患者・利用者の価値観をよく理解しておく必要がある。 専門職として身体機能や生活動作の評価や治療を行うこと・多職種と連携を取り合うこと・本人家族の意思を最大限尊重しながらコミュニケーションを取り続けること、そうしたことが基盤にあった上で『患者・利用者のADLやQOLが向上』すること。 そして「ありがとう」と心からの感謝をいただけること。 この瞬間にこそ、最大の幸せを感じる。 社会保障の枠組みとして提供している理学療法も、大枠としてはサービス業であり、患者・利用者の『笑顔のため』に働くhospitalityが欠かせない。 それは、コメディカルとしての立場を振りかざすのではなく、コミュニケーション(対話)を通じて、相手の気持ちやイメージを汲み取り、相互理解のもと身体や生活を共創していく姿勢を備えておくことである。 さらには、業務を支える仲間と情報共有し、お互いのphilosophyを承認し合い、何気ないことへの感謝を忘れず、高め合った組織力を地域社会に還元することでPTとしての責務を全う出来ると思う。 その盛大なゴールに向けたプロセスしかまだ味わっていない私は、日々刺激のある瞬間を楽しむことは出来ているが、満足はしていない。 これから先にある“最高潮”に達するまで、ワクワクしながら仕事と向き合えることもPTの醍醐味かもしれない。 未だ成長過程にあるこの仕事は、自身の人間力を高めながら「最も楽しい瞬間」をこれからも更新し続けていくと言えるだろう。