デザインで悩みを解決するカウンセラー + デザインで印象を操作する煽動家 + デザインの修行を続ける修行僧
美意識の問われる仕事
グラフィックデザイナーは、情報の演出家であり翻訳家
グラフィックデザイナーとは、印刷物や広告、メディア、Webサイトなどのビジュアルを構想・作成する仕事。制作物を見る人に対して、どのように訴求するかを考え、コンセプトを決めた上で紙面・画面をデザインする。写真、イラスト、アニメーションなど、様々な素材を駆使して効果的なビジュアルを作成する。
仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
グラフィックデザイナーは、情報の演出家であり翻訳家です。
活字のままでは、興味がひかれなかったり、理解が難しかったりすることを、グラフィックにすることで、感情を揺さぶったり、わかりやすくすることができます。
グラフィックデザインの役目は主に2つ。
・「認知」のためのデザイン
見た目の印象を作る表現。色やカタチなどを装飾することで、人間の感情を揺さぶる
・「理解」のためのデザイン
読みやすさ、わかりやすさの表現。情報を整理し、図解...
などを用いて、理解を促進させる グラフィックデザイナーは、目的に応じてこの二つを使い分ける必要があります。NewsPicksの仕事で例えると、バナーのデザインは「認知」で、記事中の図版やインフォグラフィックスは「理解」のためのデザインとなります。 自らのデザインによって、今まで気づかれなかった情報が多くの人に知られるようになったり、複雑なことをわかりやすく表現できたりするのが、グラフィックデザインの魅力であり、やりがいといえるでしょう。
この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?
楽しい気持ちで歩いていても、街中で自分の失敗作を見かけて辛い気持ちになります。楽しいテレビ番組を見ていても、自分の失敗作のCMが流れてくると地獄に落とされたような気持ちになります。失敗した仕事の規模が大きければ大きいほど辛いです。
なにを失敗と捉えるかは人それぞれだと思います。100%うまくデザインできたと思えることはほとんどないので案件が終わると毎回なにかしらの反省はあります。急な仕事の場合は完成度40%で納品してしまうこともありま...
すし、うまくデザインできたつもりでも集客につながらないこともあります。それでも、やれることをやりきった実感や困っている依頼者を助けられた実感があると、仕事の喜びに繋がるし、うまくできなかった部分は次に活かそうとモチベーションにつながります。 眠れないほど辛い気持ちになる失敗は、自分のことが許せなくなる失敗です。「こんなデザインが世に出たら嫌だな」と思っていながら数合わせで提出したB案が採用されて流されるまま完成させてしまったあととか……印刷工場での最後の立ち会いにスケジュールが合わせられなくて欠席したら、思っていたのと違う仕上がりになってしまったときとか……クライアントも同僚も誰も仕上がりの違いに気がついてなくても、自分としてはどうしても許せなくて悔しくて眠れなくなります。 逆に自分の成功作を街中やテレビで見かけたときの喜びは他の職業の人には味わえない醍醐味なので、「もっとちゃんとやれば良かった」と後悔しないように心がけて働いています。
転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。
データを可視化して相手に複雑な情報をわかり易く伝える技術が詰まっており、体系的に図解表現の技術を進化させてくれるのでおすすめ。似た系統の本が数多く存在するが、この1冊で初心者の方が学びたいことはほぼほぼ網羅することができる。グラフは作り手によって大きく印象を歪めてしまうことができてしまうので正しい情報を正確に伝えるために必要不可欠な本です。
同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?
「デザイナーのクレジットはその仕事に対しての責任を表すもの。だから安易に喜んだりせず心して名前を載せなさい」
大学時代のデザインの授業での教授の言葉です。
仕事を始める前の話ですが、卒業して何年経っても未だに覚えています。
雑誌や書籍などでは大抵クレジットにデザイナーの名前が載っており、広告でも年鑑などにスタッフのクレジットが書いてあります。
もちろん名前が載ることで実績や新たな仕事につながることもありますし、初めて自分の名前が雑誌...
に載ったときは親も喜んでくれました。 ただ、作ったものに対する責任について諭してくれた教授の言葉の重みは、実際に仕事をするようになってから特に身に染みるようになりました。
この職業について未経験の人に説明するとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?
デザインで悩みを解決するカウンセラー + デザインで印象を操作する煽動家 + デザインの修行を続ける修行僧
情報や商品・サービスの特徴を分かりやすく伝えるため、様々な手法を用いて「表現」をする仕事になるため、自分ならではの価値基準を持つことが何より大切になります。
その一方で、一緒に制作物を作成している関係者が伝えたいことを理解するためのコミュニケーション力も欠かせません。寄せられた経験談を見ても、「情報の演出家であり翻訳家」という言葉があるように、チームでモノづくりをする動きを重要視する人は少なくありません。
デザイナーとして表現を追求する動きと、様々な意見を受けながら形にしていくこと。この2つのバランスを取りながら、「届けたい人」に刺さるやり方を導くという点に、やりがいを感じるようです。