仕事を通じて知識が積みあがる
原稿を書きときは、専門家に取材します。ある程度下調べして取材にのぞみ、取材で専門家から専門的な話を聞き、原稿を書くときにその話を補うためにさらに調べものをします。この一連の流れでぐっと知識がつきます。
その知識が、次の仕事に役に立ってきます。だんだんある分野に詳しくなっていくし、その業界の人とつながりができて、新しい仕事の話が舞い込んできたりします。
こんなふうに、仕事をしながらどんどん知識が積みあがっていくのが本当に面白いです。
情報を整理して、正しく伝える仕事
魅力を掘り起こし、学びを言語化
やればやるほど、知識と人脈が増えていく仕事
ライターとは書籍・新聞・雑誌・フリーペーパーなどの出版物や、Webメディアに掲載する記事、広告主の依頼を受けて作成する広告記事(PR記事)などの文章執筆を仕事とする人のことだ。
中には編集者と打ち合わせを行った上で、企画立てから取材先の選定、アポ入れなどまで担う人もいる。
ライターは大きく3つのジャンルに分けることができ、それぞれ求められるスキルや専門性が異なる。
〈メディアに掲載する記事執筆を行う〉
・企画に応じた記事を取材・執筆する「ライター」
・現場から客観的な報道を行う「ジャーナリスト」「ルポライター」
・個人ブログで広告収入を稼ぐ「ブロガー」 など。
〈広告・PRに関する業務を行う〉
・広告制作に携わる「コピーライター」
・検索流入を増やすための対策を講じる「SEOライター」 など。
〈その他〉
・書籍執筆を著者に代わって行う「ブックライター」
・評論やエッセイを書く「コラム二スト」
・ゲームやアニメなどのシナリオを書く「シナリオライター」 など。
例えばSEOライターは検索に関する専門知識が必須で、執筆する文章内に共起語(あるキーワードと合わせて出てくる単語)を盛り込むスキルが問われる。
他方でジャーナリストやルポライターは、執筆する分野について深掘りする取材力や専門性、情報を得るための人的ネットワークがなければ務まらない。
このように、何かしらの得意分野・専門性を磨きながらステップアップしていくケースが多い。
オウンドメディアの企画・運用
SEO記事のライティング
インタビュー記事の企画〜執筆
専門家によるコミュニティ「NewsPicksトピックス」でオーナーとして連載
https://newspicks.com/topics/nogami/
人事
広報
ライティング
ライターの働き方は大きく二つある。一つは企業で働くこと。もう一つは独立してフリーライターとして活動することだ。
前者のライターは新聞社や出版社、編集プロダクションなどの出版業界、広告制作会社などに所属して活躍している。
新卒で入社するルートの他に、アルバイトやインターンを経て採用される場合や、フリーランスでの取材・執筆経験を買われて雇われる場合もある。
後者のフリーライターは、ライターの大部分を占めている。受注を受けて納品した分だけの収入を得ることができる、実力主義の世界だ。
「新しいジャンルを開拓したい」「活動する媒体を増やしたい」と考え、会社からの独立するライターがいる一方、未経験から挑戦する人も多い。
フリーライターの仕事で重要なのは、依頼主が求める文章を書くこと。そのためクライアントとコミュニケーションを取り、クライアントが属する媒体が掲げるビジョンや、その先にいる媒体の読者が読みたいものを意識し、企画意図を汲み取って執筆をする必要がある。
特に広告に関する案件は、依頼元の企業が求める事柄に合わせることが求められるため、記事の単価は高くなる傾向にある。
近年はWebメディアの発達によりライターの裾野が広がっているため、ライティング経験の少ない人にもライターになる道は開けている。本業の他の副業として始める人も多いだろう。
特にクラウドソーシングサービスは、パソコンさえあれば誰でも登録することができる。最初は低単価な仕事が多いが、実績を積むことで単価は上げることができる。
またライターは人づての紹介で仕事を得ることも多い。そのためライターを目指す者や初心者同士の横のつながりを作ることも大切だ。人的ネットワークづくりのためにライタースクールに通うという手もある。
ライターは自らをセルフプロデュースしなければならない。ブログやSNSでの発信を続けることは、専門性を身につけることと、自らのライティング能力を示すことの双方に通じる。
「新規立ち上げのメディアはライターが足りていないため、ポテンシャル採用されやすい傾向にある」と語るライターもいる。もし気になる求人の募集情報が出ているのなら、とりあえず一歩を踏み出して応募してみるといいだろう。
ライターに一番求められるスキルは物事を言語的に捉える力だ。そのため頭の中で考えた事柄を言葉に変換する知識と経験が身につく。
思い込みで文章を書かずに裏を取る誠実性も、ライターには不可欠だ。そのため記事執筆の際には、関連情報を集める情報処理能力が求められる。
他のライターと差別化を図るためには、専門分野(得意分野)を持つことが近道だ。
自分の興味関心のあるジャンルや、前職で経験のある業界に的を絞り活動し、深い専門知識を得ること。その上で自分ならではの切り口を持つことで、何れかの業界で「〇〇といえば△△さん」と頼られるライターになることができるだろう。
またライターは自由度の高い仕事のため、自らの限界を超えて仕事を請け負ってしまう人が多い。しかし締め切りやクオリティーが守れないライターが依頼主から信用されることはない。
「安請け合いせずに記事の単価を上げる交渉をすること。そしてスケジュールが厳しい依頼を断る勇気を持つことが、ライターとして働き続けるための自己防衛として大切だ」との声もある。
ライターの経験談の中から、一部を抜粋して紹介しています。
仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
原稿を書きときは、専門家に取材します。ある程度下調べして取材にのぞみ、取材で専門家から専門的な話を聞き、原稿を書くときにその話を補うためにさらに調べものをします。この一連の流れでぐっと知識がつきます。
その知識が、次の仕事に役に立ってきます。だんだんある分野に詳しくなっていくし、その業界の人とつながりができて、新しい仕事の話が舞い込んできたりします。
こんなふうに、仕事をしながらどんどん知識が積みあがっていくのが本当に面白いです。
この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?
苦労と表現すべきか迷いましたが、ライター(インタビュアー)という仕事の特性上、自分よりも人生経験が豊富な方とお仕事をする機会が大半です。
またクライアントの領域もさまざまなので、常に勉強し続けなければ、そもそも仕事にならないと感じています。
日常的にインプットをしながら、毎日のようにインプットを行うので、毎日背伸びをして歩いている感覚です。
それ自体を楽しめる人には、ライターという仕事は向いているのではないかと感じます。
同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?
「知らないことは、書いてはいけない」というものです。
ライターは、自分が知らないことを、あたかも知っているように書いてはいけません。「知っているつもり」で書いた言葉は、読んだ人に伝わらないからです。
ライターの仕事は「情報を整理して、正しく伝えること」です。正しく伝えるために、エモーショナルに書いてみたり、端的に書いてみたり、表現技法を創意工夫します。
大前提である「情報を整理する」ができていなければ、「正しく伝えること」はできま...
せん。 曖昧模糊なものを紐解く姿勢を失ったら、ライターの仕事は務まらないと感じています。
転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。
「文章のうまさ」にも定義がさまざまありますが、彼女が綴るテキストは間違いなく、「うまい文章」の一つだと思います。
自分が見ている景色や、心に浮かぶ感情を、そのまま相手に伝えることは簡単なことではありません。
しかし彼女が綴るテキストからは、きっと彼女が見ていたであろう景色が、そのまま眼前に浮かんでくるのです。
また、それを平易な言葉の組み合わせで実現しているのも圧巻です。「等身大のテキストこそ、人の心に刺さるのだ」という教訓を与え...
てくれました。
この仕事に向いている人、向いていない人の資質とは何だと思いますか?
言葉って、本当にままならないものだなと思います。文法を無視して好き勝手できないし。読む人のことを考えて書かないと全然伝わらないし。普通に書くと、普通の言葉しか出てこなくてクソつまんないし。だからそう簡単に、良いものが出来上がるものではない。だから、良い書き手になるためには、何よりも粘り強さが必要だと思います。
まず、書く前に考える。依頼主が伝えたいこと。現状の課題感。伝えたい相手はどんな人か。何を知っていて、何を考えていて、どんな言葉...
に喜び、どんな言葉を嫌がるか。どんなシチュエーションでこの言葉・文章に接触するのか。それなら、どんな口調で、どんな内容を、どんな構成で伝えるのが良いのか……。 その上で、書きながら考える。書いてからも、考える。読み返して、引っかかるところはないか。論理は飛躍していないか。読み手に嬉しい言葉遣いになっているか。書き手のエゴが出すぎていないか。余分な言葉は削ぎ落とされているか。もちろん、誤字・脱字・衍字(えんじ=余分な文字が入るミスのこと)は絶対NG。書いてから、できれば一晩寝かせて、フラットな目でチェックする。信頼できる人に見てもらう。そうやって、何度も書き直す。 短いコピーでも、長文でも、そのプロセスは変わらないと思います。特に長文は、技量がモロに出る気がする。ひょっこり良いフレーズがひとつふたつ浮かぶことはあるけど、それだけでは「一定の長さのあるテキスト」をクオリティ高く仕上げることはできない。ちゃんとした長文を書けないと、プロを名乗れない気がするので、そのスキルは粘り強く伸ばしていかないといけないのかなと思っています。そういう地味なところを頑張れない人は、結局、短いコピーも含めて、あんまり上手くなれないんじゃないだろうか(自分もそんなに上手くないかもしれないけど……)。
この職業ならではの、お気に入りの業務アプリ・ツールは何ですか? 具体名と、理由を教えてください。
最低限、PCとネット環境さえ整っていれば、
全国・全世界どこにいても仕事ができます。
ライティングや納品物を提出する際に使うツールは、
最近だとgoogle documentの使用を指定される企業様が多い印象です。
共同編集や共有がしやすいからだと思います。
ライターとしての仕事をしたい人は、
google documentの使い方をマスターしておくのがおすすめです。
他に使うツールには
スケジュール管理のためのgoogle cal...
enderや タスク管理にgoogle to do listなどがあります。 業務量がそれほど多くない場合は、 有料のタスク管理ツールを契約しなくても十分に間に合います。
この仕事を目指した理由や目的は何でしたか?
自分の名前で仕事がしたかったので、ライターになる道を選択しました。
目立ちたがりでありながら、人前に出るのが苦手な自分にとって、自分の腕で世界と対話できる手段がライティングでした。
構成したコンテンツは、基本的に署名で公開されます。
つまり、世界に出ていくコンテンツに、自分が介在した証を残すことができる。
わりかしミーハーな理由でキャリアをスタートしていますが、実力でしか評価されないので、どこからか腕を磨くことに必死になった気が...
します。今もそうですが。
この仕事をし始めてから、よく使う(聞く)ようになった「業界用語」や「専門用語」を、一つ挙げるとしたら?使うシチュエーションと合わせて、意味を教えてください。
段落の最終行が、こんな風に一文字だけこぼれ落ちるこ
と。
見つけるとどうにか文字数を調整して収めたい衝動に駆られます。美しくないから。
求人広告の制作をしていた頃からずっと、文章の中身だけでなく「見た目」も大事だと教わってきました。読みやすさに影響するし、見た目が整っていると「きちんと手がかかっている感じ」が出る。文章は、ある意味では「誰にでも書ける・誰もが作れる」ものだけど、プロとしての品質はこういう細部に出ると思います。
ライ...
ターだからといって、デザインに無頓着ではいけない。文字落ちは、特に紙メディアでは気になります。動画とか、PDF資料とか、プレゼンのスライドとかも気になる。ただ、スマホでは正直そんなに気にならないかもしれません(レスポンシブだと横幅が様々なので)。。そういう意味ではちょっと前時代的な感覚なのかな……。
現在している副業・兼業の内容について、なるべく具体的に教えてください。
兼業でライターをしている。実績としては取材記事、ビジネス系対談の要約、エッセイ的なPR記事(商品やサービスを実際に使ってみた体験記)、ゲームグッズ紹介文、イベントレポートなど。
未経験であったが、個人ブログをずっと書いていたことと、ブックライター塾に通ったことで、そこでの人脈からお仕事に繋がるようになっていった。
本業で知った知識がインタビュイーを理解するのに役立ったり、逆にライターで取材から学んだことが本業に活かされたり、人脈が作...
れたりする。 本業もあるので専業の人と比べると量はあまり書けないが、両方やることで片方だけでは分からない(無意識だった)自分のスキルに気づいたり、新しいスキル開発に繋がることを実感するので、兼業でやるメリットは多いと思う。 企画者(発注者)が遠く、文章を早く・正確に書くことだけが求められる仕事だと強みが活かせないので、なるべく企画側から関われるような仕事をするように意識している。
この職業について未経験の人に説明するとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?
やればやるほど、知識と人脈が増えていく仕事