実際に自分の成果が役立つ時
実証実験などで終わってしまうことも多いため、実際に自分が作成したモデルやアルゴリズムが稼働し役立つことが楽しみにつながる。
いくら良いモデルやアルゴリズムが出来ても、役立たないのでは意味がない。研究者ではないので、実際にどう役立つのかを考えながら開発し、それが実る瞬間というのが大切だと思っている。
Impactful
曖昧性を許容するソフトやサービスを作る仕事
AI技術+IT技術+問題構造化技術=AIエンジニア
機械学習などの技術を使ってアルゴリズムやモデルを開発し、問題を解決するAIを作る仕事。
AIエンジニアの仕事として身近な例では、ECサービスのアマゾンで見られるレコメンデーションや、グーグルの検索アルゴリズムなどが挙げられる。
顧客から提供してもらったデータから需要予測などの仕組みを作り出し、納品するような受託案件パターンと、自社で課題を発見してプロダクトを作るパターンがある。
データサイエンティストと近い職種ではあるが、AIエンジニアはアルゴリズムやモデルを実装してプロダクトを作るという違いで特徴づけられることが多い。
イメージしやすいのはGAFAのような外資系企業だろう。AIエンジニア的な能力だけでなく、分析・システム開発全般をこなせる万能型が多い。日系企業と比べるとエンジニアへの評価が高いため、給料も全体的に高い。
日系企業だと、AI技術を武器にしたベンチャー、メガベンチャーにいることが多い。大学発ベンチャーで研究を生かした事業を行うところもある。
ベンチャー系の場合、まだ受託案件パターンのほうが多いが、近年は自社のデータを活用してプロダクトを作るところも増えている。
また、コンサルティング企業や大企業の研究所系にもおり、最近では新しく人材を雇い始めているところも多い。大企業の場合は資本が十分にあるため、トヨタ自動車のスマートシティ構想のような大規模で影響力の大きい業務にもたずさわるわることができる。
多くの場合、大学院修了レベルが求められる。情報系を専攻しており、機械学習を専門の研究で使った経験のある学生が多い。それ以外の分野では、バイオインフォマティクス(生命情報科学)、マテリアルズインフォマティクス(材料開発情報工学)、計量経済学などで機械学習を使った経験があって入ってくる学生もいる。
以前は圧倒的に東大出身者や海外名門大のコンピュータサイエンス学科卒が多かったが、AIエンジニア人口が増えたため、最近は多様な大学出身者がいるという。
専門知識が重視されるため、分析で用ることの多いプログラミング言語のPythonや、機械学習のライブラリ(再利用できるプログラムの集合体:PyTorchやTensorFlowなど)を使いこなす技術が問われる。統計学・数学の知識も必要だ。
ただ、上記したような機械学習用のライブラリが充実してきたこともあり、ソフトウェア開発の基礎があれば勉強次第で転身は可能。eラーニングの教材も充実してきており、Kaggle(データサイエンティスト・AIエンジニアのプラットフォームの一つ)で行われるコンペのようなエクササイズを解く機会も増えたことで、独学はしやすくなった。
AIエンジニアの経験談の中から、一部を抜粋して紹介しています。
仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
実証実験などで終わってしまうことも多いため、実際に自分が作成したモデルやアルゴリズムが稼働し役立つことが楽しみにつながる。
いくら良いモデルやアルゴリズムが出来ても、役立たないのでは意味がない。研究者ではないので、実際にどう役立つのかを考えながら開発し、それが実る瞬間というのが大切だと思っている。
この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?
事前に学習データが入手できるか否かが曖昧な状態でプロジェクトが始まり、実際はほぼ何も無い状態で成果を出さなくてはならないことがある。
このとき、自分たちで手探りでデータを整備しなくてはならなくなったり、あるいは目当てのデータでないもので何かしら落とし所見つけなければならなかったりと、無理をすることになるケースが多い。
理解が進めば、こういったことはあまり起きない将来が来ると信じている。
同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?
AIエンジニアは、AIを使えるからAIエンジニアなのではなく、AIも使って問題を解決するスキルを持つからこそAIエンジニア。
あくまでAI技術は仕事道具の一つであって、トンカチひとつで家は建てられないように、問題を解決するには広範なIT技術/ビジネスドメインを把握した上で、これらを組み合わせて解決方法をデザインし、実装するという仕事。
顧客やビジネスメンバーは問題を解決したい・利益を上げたいのであって、AIを使いたいから相談しにきてい...
るわけではない。ビジネス上の課題の裏に隠れている技術的・システム的・人的な課題の洗い出しと、望ましい状況(To-Be)になると、ビジネス的には何が良くなるのか?を把握した上で、解決手段を(AIも視野に入れて)考えるのがAI(を手段として使う)エンジニア。
転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。
AIエンジニア向けというわけではないが、個人開発のみで生きていくわけでないのであれば、呼んでおく必要がある一冊。
チーム開発を行う上で、抑えておくべき読みやすいソースコードの書き方が身につく。
AIエンジニアとしては、力を入れたい分野によって読むべき本が異なるので、自分にあった分野から探していくほうが良いだろうと考える。
この職業について未経験の人に説明するとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?
曖昧性を許容するソフトやサービスを作る仕事