【ルポ】ライターど素人のリクルート社員が編集部で副業してみた

【ルポ】ライターど素人のリクルート社員が編集部で副業してみた


この記事に登場するロールモデル

人生100年時代と言われる中で、国が推進する働き方の1つが「副業・兼業」。


人口減少を背景に、1人あたり生産性の向上を目指した動きであり、副業実践者からの「労働単価を上げよ」といったノウハウ記事も多く出ている。


だが「生産性の向上」とは、決して労働単価だけを指すものではない。ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態であること)も含め、個人が「自分らしい」キャリアを生き生きと歩むことが、何よりの生産性向上だとも言える。


報酬はあくまで、ファクターの1つにしか過ぎない。


では「副業・兼業」は、お金以外の面で、個人のキャリアや人生をどのように豊かにしていくのだろうか? 本業もある中、時間の面でかえって自分を苦しめることにはならないか?


リクルートで正社員として働きながら、JobPicks編集部で1年半活動してきたライターの岡田菜子さんが、実際に副業してみた体験をリアルな感想と共にレポートする。

ライターの岡田菜子さん 経歴

目次

暗い奴は暗く生きろ


父親が新聞記者だった影響なのか、小さい頃から国語の成績だけは、やたらよかった。


しかし、国語以外の教科はほとんど苦手で、おまけに鈍臭い。運動神経が悪く、飲食店のバイトもマルチタスクにパニック状態。


ネクラで、友だちに本音で悩みを打ち明けることもできず、恋人ができることもない。知り合いがほぼ誰も見ていないブログに、自分の気持ちを書き綴る学生時代を過ごしていた。


新卒では、正確性が求められるメーカーに営業職として入社してしまった。自分の特性を活かせる環境とは、真逆なのにもかかわらず……。


入社から5年が経っても毎日怒鳴られるばかりで、頭の中も机の上もぐちゃぐちゃ。このままだと、遅かれ早かれ、自分が「潰れる」感覚があった。

岡田さん 机
入社5年目の当時の机

「向いていない仕事を続けて、このまま潰れるくらいなら、思い切って好きなことを仕事にしてみたい」


転職を考えたとき、頭をよぎったのは「文章を書く仕事がしたい」という思いだった。


大学時代から書いていた日記のようなブログは、仕事がつらくなるほど文量が増え、製本すると書籍4冊ほどになっていた。

岡田さん 日記
黒歴史の塊のような日記だが、夢中で書いていた

とはいえ、「文章を書くのが好き」というだけで、どんな仕事をしたらいいのか分からない。


求人情報サイトで、編集者やコピーライター、広報の仕事を検索してみる。しかし、業務未経験でできるような案件は限りなく少ない。


やりたい仕事も、その仕事への就き方も、学生時代にもっと考えておけば……。27歳の今になって急に目指しても難しいのだと、ようやく自覚した。


では、何を軸に仕事を選ぼう?


「文章を書くのが好き」の裏側にあるものを考えたときに、「人間への興味」なのではないかと思った。


私がブログを書いていた理由は、人との付き合い方や自分自身に思い悩んでいたからだ。それは、裏を返せば、それだけ人間や自分の内面に興味があるということかもしれない。


そう考えて、人材紹介のリクルートエージェント(現・株式会社リクルート)の選考を受けた。


無事に内定はもらえたものの、社風が合うかとにかく不安だった。内定後の社長面談で、「私はネクラで鈍臭いので、きっとリクルートの明るくスピード感ある社風に向いていないです」と率直に伝えたほどだ。


オドオドと話す私の姿を見た当時の社長は、『暗い奴は暗く生きろ―リクルートの風土で語られた言葉』(新風舎 / Amazonリンク)というOBの本を紹介しながら、こう言った。


「人材領域は、突き詰めれば人のネガティブな部分に向き合う必要もある仕事だよ。ネクラなままで大丈夫」


「いいじゃない、書きたいという思い。全然潰さなくていい。この仕事、書くこと向いているよ」


その言葉に背中を押され、中途採用支援の営業職として入社を決めた。


自分のハッシュタグは何か?

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