今の仕事は楽しいし、それなりに充実した毎日を過ごしている。でも、将来のキャリアを考えると、漠然とした不安がおそってくる——。
そんなふうに考える若手ビジネスパーソンは、少なくないのではないだろうか。
現在新卒3年目となった筆者も、実はこうしたぼんやりとした悩みを抱える1人だ。どうすれば、この不安は解消できるのか。
今回は、若手社会人のキャリアを専門に研究する、リクルートワークス研究所の古屋星斗(ふるや しょうと)さんに、キャリアづくりについて公開相談。
研究でわかったデータを交えながら、自分らしく、納得感を持ってキャリアをつくるためのヒントを教えてもらった。
高橋 今回は、若者キャリアの専門家である古屋さんに、キャリアの考え方についてぜひお伺いできればと思っています。
まず、少しだけ私の話をさせていただきますと、現在新卒3年目になり、ようやく仕事に慣れてきて日々充実感はあるものの、キャリアについては漠然とした不安を抱いています。
転職をしたり、起業をしたりと新たなチャレンジをする友人たちを横目に、今の仕事が自分に向いているのか、入社してから私は本当に成長できているか、と考えてしまうんです。
古屋 キャリアが浅いうちは、不安も多いですよね。研究の一環で若手社会人と話をしていても、「将来の不安がまったくありません」なんて人は、めったにいません。
ただ、キャリアが不安なのは、実はものすごく健全なことです。先が長い分、迷いが生まれるのは当たり前ですし、何より、自分の人生と真剣に向き合っている証拠ですから。
実は、今の若者は、上の世代と比べてキャリアに悩みやすい環境に置かれているんです。
これまでは「入社したら定年まで勤め上げる」のが一般的で、人生を30歳、40歳、50歳と、大まかに見通せましたが、終身雇用制も徐々に崩れ始め、今や転職や独立もスタンダードになってきている。
つまり、「キャリアの自由度が高くなった」のと同時に、「会社が安定を保証してくれなくなった」わけです。
高橋 たしかに、「自分のキャリアは自分で作る時代」とよく言われますよね。
古屋 そうなんです。加えて、ここ数年は働き方改革が進んだり、コロナ禍でリモートワークが普及したりして、仕事以外に使える「余白」が格段に増えました。
働きやすくなったのは非常にいいことなのですが、一方で空いた時間で副業をするのか、趣味に使うのか、それとも何か勉強を始めるのかを、すべて自分で考えなくてはいけなくなった。
キャリアだけでなく、日常の過ごし方まで、意識ある選択が否が応でも求められるようになり、若者を悩ませる大きな要因になっています。