データ、デザイン、生産性。夏休みに習得したいビジネススキル5選

2022年7月26日(火)

名刺代わりのスキルを持とう

「キャリアを飛躍させるスキルを身につけたい」「転職に役立つスキルを身に付けたい」——。

“個の時代”という言葉を耳にするようになって久しいが、人材の流動性が高まり、副業によって独立して働く人が増えているように、その言葉は事実として受け入れられるようになってきた。

こうした時代において、キャリアを開く最初のきっかけになるのは、やはりスキルだろう。

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「私はこれができます」という名刺代わりのスキルは、それだけであなたを認知させる武器になり、そこで培った経験やネットワークは、あなたをさらに遠い場所に連れていくきっかけになる。

では、その名刺代わりのスキルとは、いったいどのようなものなのだろうか。

AIを扱う技術? 3Dプリンタでプロダクトを生み出す技術? もちろんそれらも有用だろうが、なにも特別なスキルである必要はない。「エクセルを巧みに扱える」「美しいスライドがつくれる」。これで、十分だ。

「資料作成能力」と聞くとチープに感じるかもしれないが、それがビジネスパーソンとしてのキャリアを開く大きな武器になることは、自身の手でキャリアを開いた人たちだけがよく知っている。

今日は、あなたのキャリアを飛躍させる、夏休みに習得しておきたいビジネススキルを「習得方法とセット」で紹介しよう。

元コンサルが教えるエクセル術

数あるビジネススキルの中でも、基本中の基本ともいえるのがエクセルの活用スキルだ。

入社したての新人からベテランまで利用機会があるため、覚えておいて損がないどころか、むしろマスターしておかなければ生産性の観点から周囲と大きな差ができてしまう。

利用方法を熟知しているわけではないのであれば、ぜひ長期休暇中にマスターしておきたいところだ。

エクセルは「まったく利用しない業種は存在しない」というくらいに普及したツールだが、なかでも最も高い頻度で活用しているのがコンサルであろう。

AIベンチャーのWACULでCFO(最高財務責任者)を務める竹本祐也さんは、A.T. カーニーに経営コンサルタントとして勤めていた時代、「エクセルを使いこなすのが必要不可欠」だったという。

竹本さんがコンサルを目指す若い世代に語った「絶対に知っておいてほしい関数」は、たとえコンサル志望ではない学生や、若手社会人にとっても役立つはずだ。

【超実践】コンサルが知っておくべきエクセル関数5選

SQLはデータビジネスのパスポート

エクセル術はある程度理解しているという人は、一歩進んでデータ分析のスキルを高めたい。

さまざまな情報(データ)を集約しているデータベースとやりとりをして、必要な情報を取得したり、修正したりする際などに使う言語「SQL」。

データや言語と聞くと、理系出身者が扱うスキルであって、文系出身のビジネスパーソンとは無縁の話に思う人がいるかもしれないが、そうであれば認識を改めたほうがよさそうだ。

データがものをいう世界は、もはやマーケティングに限らない。

何かしらの施策を実施するときは、もはやデータの裏付けがない時点で確度が不透明である。データドリブンの時代にデータに頼らない意思決定をするということは、神経衰弱でむやみやたらにトランプをめくっているようなものである。

『集中演習 SQL 入門 Google BigQuery ではじめるビジネスデータ分析』(インプレス)の著者、木田和廣さんは、下の記事で次のように語っている。

現代のビジネスパーソンにとって、SQLとは巨大なデータに関してのアクセス権で、パスポートのようなもの。( SQLが書けないということは)パスポートがなくて外国に行けず、成田空港で足止めをくらってしまうようなものです。

【超入門】文系が「データ」に強くなれば、無敵になる

データドリブンな時代に、データに関する理解がないということは、海外に行きたいのに、パスポートなしで成田空港を訪れているようなもの。

さすがに無謀だと理解したのであれば、データとは何かを理解し、データを扱える人材になっておこう。

【変身】素人がデータに強くなる「SQL学習」3つの秘策

パワポ芸人が伝授「スライド作成の鉄則」

ビジネスパーソンとして一人前を目指すのであれば、エクセルと並んで利用機会の多いパワーポイントの活用術も覚えておきたいところ。

スライド作成に役立つノウハウなどを発信し続け、現在は“パワポ芸人”として独立キャリアを歩む豊間根青地さんは、過去のインタビューで「誰でも美しいスライドがつくれる8原則」を紹介した。

リモートワークが浸透し、資料づくりの重要性が日に日に増している昨今は、まさに「パワポの基本」を覚えておくのに最適なタイミングではないだろうか。

【トヨマネ】フォロワー7万のパワポ芸人が伝授「スライド作成8つの鉄則」

ユーザーを知れば、企画はもっと楽しくなる

国内の家電メーカーに押し寄せる不況の波もどこ吹く風、ヒット商品を連発し、業績を右肩上がりで成長させているアイリスオーヤマ。

同社の商品企画で、温風温度を自動で調整するドライヤー、まるでインテリアのような布団乾燥機など、生活者の購買意欲をくすぐる製品を世に送り出した筒泉佳菜子さんの「商品企画術」に学ぶことが多かったので紹介したい。

筒泉さんが商品企画として意識しているのは、「一生懸命に生活する」ということ。「面倒くさがらずに料理をつくってみたり、引っ越すタイミングで間取りを大きく変えてみたりする」ことで、新しい企画の種が見つかるようになるそうだ。

ヒット連発、アイリスオーヤマの「一生懸命に生活する」商品企画術

技術が進展した現代において、つまり、市場が同じような機能を持つサービスであふれ返る時代において、機能性だけで差別化をするのは困難だ。

顧客が重視するのは「その場限りの体験価値」よりも「累積的な体験価値」。いうなれば、「また使いたい」「かかわり続けたい」と思ってもらえなければ、二度と選ばれることがない時代になっている。

「また使いたい」と思ってもらえるアイテムを生み出すには、ユーザーの行動を知り、行動の背景や環境を深く理解する必要がある。

その背景を踏まえると、「あくまで私は私でしかないけれど、漫然と過ごしてしまう毎日に意識的になり、想像力を発揮することで、いろんな生活者になりきることができるんです」という筒泉さんの話も納得だ。

生産性10倍「Notion」の秘密

使い勝手の良さが注目されるノートアプリ「Notion(ノーション)」の使い方を覚えておいて、損をする人はいないだろう。

これまでも多数のノートアプリが誕生してきたが、Notionは一味も二味も違う。スタートアップを中心に、一時期のSlackのような勢いで普及しており、ビジネスパーソン必携のサービスになりつつある。

あらゆる情報の整理と共有が楽になる機能が搭載されており、個人利用はもちろん、複数人での活用に一役買うともっぱらの評判だ。

複数のWebサービスと連携ができるにもかかわらず、小難しい操作は必要ない。誰でも簡単に扱えるのがNotionの魅力だ。

使い方をマスターしておけば、仕事の生産性が上がるだけでなく、部署やチーム単位での煩雑な業務を一撃でDXできる可能性もある。

元LinkedInの日本法人代表であり、現在はGoogleでマネージャーを務める村上臣さんの仕事を支えた“Notion活用術”をぜひチェックしてみてほしい。

【村上臣】仕事効率が10倍に「Notion」私の使い方見せます

スキル習得は「昨日より今日」の精神で

スキルを身に付けたところで、何も変わらない。そんなふうに思っているのであれば、考えるよりもまず先に、スキル習得に向けた実践に手を動かしてみることをお勧めする。

それだけで、昨日よりも今日、今日よりも明日……とキャリアを前進させられることは、ほぼ間違いのない事実だからだ。

昨年9月12日に行われた堀江貴文さんの新著発売を記念したトークイベントで、ゲストに招かれたメンタリスト・DaiGoさんは、自身の代名詞である「フォーク曲げ」を10万回練習した事実を明かした。100円ショップで「2本100円」のフォークを買い、計500万円を練習に費やしたという。

「誰にでも習得できるスキルを、誰よりも高度に習得するということが、キャリアを大きく飛躍させることを証明するエピソード」として紹介しておきたい。

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