体育会系の運動部に所属していた経験を持つ人、いわゆる「体育会系」は営業に向いている。そんな話を聞いたことのある就活生は多いかもしれない。
実際、営業職に体育会系出身の人材を積極採用している会社がある。「新規開拓の悩みをなくす」をミッションに、BtoB(法人向け)セールスの支援事業を展開するギグセールスだ。
代表取締役の福山敦士(ふくやま あつし)さんは、高校球児として甲子園に出場した経験を持つ。まさに体育会系ど真ん中の経歴の持ち主だ。
その福山さんは、「体育会系の人材は今も昔と変わらず営業職で求められるが、評価される理由は変化した」と話す。
体育会系と聞くと、体力や根性を売りに猛烈に働くイメージを抱く人もいるかもしれない。しかし、そのようなイメージはもはや過去のもののようだ。
体育会系も営業職も時代と共に変化している。これからの営業職で求められる資質と、体育会系出身者が活躍するためのノウハウを福山さんに聞いた。
かつての体育会系は、体力と根性が評価されていたのは間違いない。
新規顧客を開拓するために、時間の許す限りアポを取ったり飛び込み営業をしたりする「足で稼ぐ営業」では、行動量が成果と比例しやすかった。そのため長時間、軍隊のように働くことが評価される時代もあった。
しかし、そのようなイメージは、もはや過去のものとなっている。
今、体育会系の出身者が評価されるのは「知的格闘技に耐え得る力」があるからだと福山さんは言う。噛み砕いて説明すると、「理論と実践を交互に繰り返し、状況に応じた最適解を導く力」だ。
「最近の体育会系出身学生は、部活や試合の中で自然とこの力を養うことができているように感じます」
客観的な数字よりも「努力」や「根性」が重要視されることもあった野球部においてさえ、緻密な分析作業が一般的になりつつある。バッティング練習だけを見ても、大きな変化があるそうだ。
かつては、一度決められたことをやり続けるといったような練習が多かった。「毎日1000回、ひたすら素振りをする」といったような練習だ。
一方で今の野球部は、上手くなる方法を自分自身で考えることが求められる。
「バッティングフォームに関しても、既存のバッティング理論を鵜呑みにするケースは少なくなっています。実際、多くの強豪チームでは、練習でスマホを用いるのが当たり前。自らのバッティングフォームを撮影して、動画を見返して、フォームの調整を行ったりしています」
このように、既存の理論を鵜呑みにするのではなく、実践を通して自分なりの答えを見つける経験を部活動の中で積むことができるようになった。
体育会系と一口に言っても、今と昔ではその実態は大きく異なっているようだ。