多様なキャリアを描く人の経験を深掘り、自分好みの色で人生を彩るヒントを探る連載・カラフルキャリア。
今回のテーマは、「自分の『肩書』を自分で決める生き方」だ。
広告モデルやタレントなどの「キャスティング」を生業とする森正祐紀(もりまさ ゆうき)さんは、自らを「配役家」と称し、キャスティングの概念をまちづくりやキャリア支援の分野へと拡張。
「その人“らしさ”が生きる接点づくり」をライフミッションに掲げ、地域の人やキャリアに悩む人の「個性が輝く場所や役割」を一緒に考える活動を行っている。
「20代で5回転職し、若い頃は将来が不安でした」と明かす森正さんは、いかにして配役家へと転身し、自分らしいキャリアを切り開いていったのか。
森正さんの話をひも解くと、個性を生かしたキャリアづくりのヒントが見えてきた。
── 森正さんの「配役家」という肩書は、ご自身で名付けられたと聞きました。
いきなり「配役家」と言われても、何の仕事かさっぱり分かりませんよね(笑)。でも、自分では、この上なくしっくりきている肩書なんです。
僕のメインの生業は広告キャスティングで、テレビCMやWebCM、グラフィック広告などに出演するキャストを探し、実際にアサインするまでを担当しています。
タレントやモデル、お笑い芸人、子役、さらには動物まで、クライアントから与えられるお題に対して、ジャンルを問わず、最も「ふさわしい」キャストは誰かを考えるのが仕事です。
最近はまちづくりやキャリア支援の仕事もしています。
例えば、東池袋にあるポップアップスペースの運営。簡単に言えば「日替わり店舗」のようなイメージで、1日単位で地域の人々にスペースを貸し出しています。
キャリア支援では、キャリアコンサルタントの国家資格を取って、社会人に向けて「職業体験」を提供する団体で企画を考えたり、記事の取材・執筆を担当したりしていました。
まちづくりも、キャリア支援も、一見キャスティングとは何の関係もないように見えますが、僕は「その人の“らしさ”が生きる環境探し」という意味で、かなり近いと思っています。
まちをつくる時に、その地域の人たちにどんな環境や、どんな役割を提供するのがいいのか。
キャリアに悩む人が、どうすれば個性を生かした仕事に出会えるのか。
こうした一連の取り組みを広義のキャスティング=配役と捉え、その人“らしさ”を生かすお手伝いをしていきたい。そんな思いから、「配役家」と名乗っています。