新しい「慣れない仕事」で成果を出す、3つの基本行動

2022年5月11日(水)

挑戦に付き物の「スキルギャップ」に悩まないために

4月に新年度が始まり、新しい職場や新プロジェクトで働き始めたという人は多いだろう。

はじめは心機一転、これから始まる挑戦にモチベーション高く取り組む日々が続いても、新しい仕事に付き物なのが「成果を出すまでの壁」だ。

上司や先輩に仕事の基本を教わった後は、自らやり方を工夫しながら成果を出さなければならない。慣れない業務、今までと違ったワークスタイルの中では思ったようなアウトプットを出せない時期が必ずくるものだ。

それに近年は、DX(デジタルトランスフォーメーション)などを背景に、同じ職業だとしても役割や働き方が様変わりするケースが増えている。

下の記事によると、「今の仕事」と「今後必要な仕事」の間にあるスキルギャップが、80%以上の企業で問題視されているという調査結果も出ているほどだ。新しい業務に対応するリスキリングやアンラーニングの必要性は、多くの人にとって他人事ではなくなっている。

【超解説】あなたの価値を上げる「アンラーニング」実践講座

そこで本稿では、今までと違う仕事に取り組む際の「壁」を乗り越える方法を、JobPicksに経験談を投稿するロールモデルの実体験からピックアップ。

キャリア面での挑戦を次に進める上でぜひ参考にしてみてほしい(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。

1. 困ったら「王道」を学ぼう

自分にとっては「新しい仕事」でも、世の中を見渡せば多くの先達がいるもの。初めて取り組む仕事で困った時は、その先輩たちの経験則に学ぶというのが基本となる。

2017年にファーストリテイリングの人事を卒業して以来、経営コンサル、人事コンサルという「新規プロジェクト」に取り組むことが多い仕事を続けてきたFujiwara Nozomiさんは、自身がよくやるインプットのルーティンを次のように語っている。

新しい仕事、特に初めて関わるテーマに着手することになったら、まずその

「いち早く全体像をつかむ」というのが、スタートダッシュを決める最良の方法ということだろう。

DMM.comで人事の新職種「HRBP(Human resources business partner)」を担当している大嶋悠也さんも、新たな業務に取り組む際のコツは「王道のプロセスを学ぶ」ことだと投稿している。

王道のプロセスを着実にやるのが一番成果に繋がる

未経験でエンジニア採用をすることになったときに上司から言われた言葉で

コメントにもあるように、「守・破・離」の守をまずちゃんとやり切ることが、初歩の助けになるという。

2. まず「Can」でやれることを探す

異業種転職をした際や、異なる職業にジョブチェンジをした時は、その仕事の王道を学ぶのが大切。一方で、できないことに悩むより、今できることを生かす道を探るというやり方もある。

人気動画SNSの「TikTok」などを運営するByteDanceに転職して、2020年から自身初のプロダクトマネージャーに挑戦している新井正輝さんは、「Will・Can・Must」の中であえて「Can」に着目してキャリア設計をしたそうだ。

「Will,Can,Must」の中でWillであったものをつくることではなく、Canであったものを広めることを伸ばしていきたいと考えた

もともとは開発(ディレクター)とネット代理店(マーケティング)の領域を行ったり来たりのキャリアの中で当時事業会社の中でWEBもアプリも両方あるアパレル系サービスPjM(プロジェクトマネージャー)をしていました。 次のキャリアを考える中で純粋なPM(プロジェクトマネージャー)と比較すると開発よりの経験や知見が足りない。一方でマーケティングのバックグラウンドはあるのでプロダクトを作るよりかはプロダクトを広めるほうが得意でした。 プロダクトに関わる仕事をずっとしたい気持ちは変わりませんが、よくいう「Will,Can,Must」の中でWillであったものをつくることではなく、Canであったものを広めることを伸ばしていきたいと考えました。 そこでPMのプロダクトマネジメントトライアングルの中でビジネス側の領域に集中するというPMMのポジションに偶然出会いました。 とうじPMMというものを知りませんでしたが深く知っていったり、業務のことを知っていく中で次に自分が進むべき道はこれだと思い決めました

新井さんのように、自身が得意なことを因数分解して、応用できる仕事分野を選ぶという視点も新たな挑戦を支えてくれる。

そのためにも、今の自分が持っているスキルセットはどんなもので、仕事相手にとってどんなメリットを提供できるものなのかを認識(棚卸し)することが大切だろう。

環境が変わって四苦八苦している時ほど、過去の自分を振り返るプロセスが突破口になるのだ。

3. 進んで「学びたくなる事柄」を見つける

成果が出ない時期が続くと精神的につらくなっていくものだが、そういう「挑戦に伴う移行期」を上手に過ごすための考え方を持つようにするのも成長の糧となる。

消防士からソフトウェアエンジニアに転身するというユニークなキャリアを持つLAPRASの川俣涼さんは、新しい技術をキャッチアップし続けること自体を楽しむように心掛けてきたという。

新しい技術を学ぶことを楽しめる人

「新しい技術を学ぶことを楽しめる人」が向いているかなと思います。 エ

かつ、ただ楽しむだけでなく、「今まである機能を作るために何十時間とかかっていたのに、新しい技術を使ったら数時間でできるようになる」といった省力化のプロセスを実利として感じるようにしているそうだ。

よく、マラソン選手は42.195km先のゴールを目指すのではなく「次の曲がり角まで」「次の給水所まで」頑張ろうと考えると聞く。遠くにある目標に向かう苦労を、身近なゴールをクリアする達成感に“転換”しながら走り続けるのだ。

これと似たようなやり方で、未経験からの挑戦を楽しみながら継続しているのだろう。

エヌエヌ生命保険でデータサイエンティストをしている岡本壮大さんも、「新しい技術に興味を持ち続け、自ら手を動かすことをやめない」ことでモチベーションを維持してきたそうだ。

新しい技術に興味を持ち続け、自ら手を動かすことをやめない

「新しい技術に興味を持ち続け、自ら手を動かすことをやめない」ことです

無形のデータから新しい価値やインサイトを見つけるという苦労の多い仕事だからこそ、プロセスそのものを楽しむというマインドも必要になるのだろう。

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