「2020年代の仕事の常識」に乗り遅れないための教養3選

2022年5月2日(月)

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2022年4月1日〜4月30日までの間に、JobPicksで閲覧数の多かった記事トップ5はこちら。

4月は、動き始めた就活市場の変化を読み解く調査記事が2本入ったほか(1位と4位)、2位には新年度らしく「新人育成」に役立つ本紹介の記事が入るなど、時流を反映した結果となった。

1位:【衝撃】24卒の会社選びが大変化、優先順位1位は「なりたい職種」(2022/4/15)

2位:職種別「まずこの1冊」新人育成で若手に薦めたい必読本(2022/4/6)

3位:市場価値はこう決まる「年収800万円」以上の人が持つ経験ランキング(2022/4/25)

4位:【異変】23卒の就職人気ランキングに隠された、会社選びの新常識(2022/3/30)

5位:「メタバース×NFT」次の進化は?これから伸びる4つの仕事分野(2022/4/18)

1位の記事では、学生の就職先選びが「会社軸」から「なりたい職業軸」に変わっているという調査結果を紹介。

NewsPicksのコメント欄では、「メンバーシップ型」の組織を生きてきた世代と、「ジョブ型雇用」を前提にキャリア形成を考える若手世代との間に生まれるギャップを指摘する声が多数寄せられた。

> NewsPicksでのPickコメント一覧はこちら

中には、このギャップを理由にジョブ型雇用が浸透するまで時間がかかると見ている人もおり、雇用に関する考え方が「端境期」を迎えていると強く印象付けられた。

5位「メタバース仕事図鑑」へのコメントを見ても、新興産業への期待と、まだまだ懐疑的だという意見が入り交じっており、似たような印象を受ける。

こういう端境期は、先行して当事者となって動く人たちと、既存の仕組み(既存ビジネス)の中で働く人たちとの間で温度差があって当然だ。

しかし、先行者が実践する「新たなワークスタイル」が、いずれ一般社会でも当たり前のものとして定着していくのは歴史が証明している。

例えばガラケーからスマホにシフトした2010年代初頭、アプリ開発とその運営チームが使い始めた「アジャイル開発」や「スクラム」のアプローチは、いまや開発以外の仕事でも使われるようになっている(スクラムの詳細は以下の動画にて)。

【超入門】アジャイル組織の罠と鉄則 スクラムの基礎知識

そこで本稿では、今後の働き方や仕事選びの「新しい常識」になりそうなトピックスを3つに分けて解説していこう。今さら聞けない変化の潮流を、GWのうちにキャッチアップしてみては?

【1】SaaSの普及が変えるものを知る

コロナ禍による非対面ニーズもあり、さまざまなサービスがSaaS(Software as a Service)に置き換わっていく流れは「すでに起きている変化」だ。

ただ、転職市場ではビジネス的な盛り上がりの後にトレンドがやってくる。ある転職エージェントによると、「今、求人が最も増えている分野の一つはSaaSやサブスクリプション型ビジネスだ」という。

この影響を強く受けるのが、法人営業やBtoBマーケティングの仕事だろう。

SaaSビジネスを支える組織づくりの教科書として知られる書籍『THE MODEL』(翔泳社)の著者・福田康隆さんは、SaaS時代の営業・マーケティングモデルを下図のように説明している。

出典:下の記事「【新】もはや一般教養。なぜ「SaaS」が急拡大しているのか」より【新】もはや一般教養。なぜ「SaaS」が急拡大しているのか

つまり、これまで1人の営業パーソン(または特定の営業部門)が担っていた仕事が、4つの職種の共業で成果を上げていくものになっているのだ。

中でもインサイドセールスやカスタマーサクセスは、顧客(ユーザー)と密接な仕事であり、自社ビジネスの根幹を知る意味で新卒社員の最初の配属先とする企業もある。

法人営業の経験者以外にも、未経験からこれらの仕事に就く人も増えている。実際の仕事の中身がどんなものか、チェックしておいて損はないだろう。

【週末に学ぶ】優秀な「SaaS営業」が意識する仕事のコツ

【解説】インサイドセールスとは?仕事内容や身に付くスキルを徹底解説

カスタマーサクセスとは何か?人気本の著者がわかりやすく解説

【2】データ分析は全職種の必須教養に

次は、多くの企業が現在進行形で進めているデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)にまつわる仕事の変化だ。

メーカーや総合商社がソフトウェアエンジニアを積極採用するなど、デジタル化を担う仕事に注目が集まる中、あらゆる職種で求められるようになるのが「データ活用」のスキルと知識だろう。

かつては「Excelで分析業務にあたるのは経営企画や営業推進の人たちだけ」という時代もあったが、データの民主化やBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの汎用化はさまざまな仕事に影響を与えた。

例えばマーケティング関連の仕事では、下の記事で紹介している「アジャイルマーケティング」が当たり前になりつつある。

【マッキンゼー】「パーソナライゼーション2.0」が来る

これも、データ分析がマーケターの基本業務の一つになったことが背景にあるだろう。

さらに、この潮流はマーケターに限ったものではなくなっている。

急成長している小売企業・ワークマンの「社員向けデータ講習」が有名だが(詳細は下の記事にて)、他の企業でも営業担当者やコンテンツ制作者が自らデータを分析しながら次の施策を考える時代になっている。

【新】ワークマン、脅威の「エクセル経営」の全貌

PCが普及し始めた頃、Excelを使えない中高年社員が「使えない人」扱いされたようなことが、2020年代のデータ活用でも起こり得るというわけだ。

下に紹介する記事などを参考にしながら、最低限のデータリテラシーを身に付けておきたい。

【核心】統計学の権威が語る、「データスキル」の学び方【新】「一億総データアナリスト」の時代がやってくる【実践】あなたは「エクセルの凄さ」を使えていますか

【超実践】コンサルが知っておくべきエクセル関数5選

統計学・データ分析の初心者でも「数字に強くなる」プロ推薦の必読本

【3】次の大変化を生む「Web3」を学ぶ

ここまで紹介してきた変化は、現在の仕事現場でも多かれ少なかれ感じている人がいるだろう。そこで次は、もう少し先に起こる「2020年代の大変化」について考えていこう。

その筆頭となるのが、現在「Web3」「メタバース」と呼ばれているジャンルだ。

2010年代は、スマホの普及やSaaS、シェアリング・エコノミーの台頭によって、意外な産業も劇的に変化した。

自動車をサブスクで借りるビジネスが一定の認知を得たり、旅行に出た時にホテルではなく「他人の部屋」に泊まる人が出てくるとは、多くの人が予想していなかったことだろう。

これと同じように、Web3やメタバースも“破壊的イノベーション”を起こす可能性を秘めていると言っても過言ではない。

下の解説記事にもあるように、「Web3は仮想通貨、暗号資産の、メタバースはVR、ARのリブランディング」だが、その真意は「バーチャル空間にもう1個の経済圏ができる」ことを示すからだ。

【国光宏尚】日本で一番熱い、Web3解説

この分野について、まだ詳しく理解できていないという人は、下に紹介するような記事で「何がどう変わる可能性があるのか?」を勉強しておこう。

【ゼロから分かる】世界はなぜ「Web 3.0」に熱狂するのか【超図解】大本命。Web3、メタバースの「本質」を押さえる【魔境】私、メタバースに住んでみました

「メタバースの仕事」今から携わるには?VR開発の採用動向

「メタバース×NFT」次の進化は?これから伸びる4つの仕事分野

ちなみに、現時点でWeb3関連のビジネスに携わっている人たちの間では、もはや「ググる」という概念が死語になりつつあるそうだ。

彼らが求めるような最新情報は、Google検索では探しにくいからだ(多くの情報がDiscordやTwitterなどのプラットフォーム上に形成されるコミュニティ内で流通しているのが理由)。

こうやって「今までの常識」が変わっていくというのを体感する意味でも、まずはWeb3の世界をのぞき見してみよう。

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