世界を代表するエクセレントカンパニー・アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズは、「仕事は人生の大部分を占めるもの。本当に満足する唯一の方法は、素晴らしいものだと信じられる仕事をすることだ」という言葉を残している。
フェムテックブランド「Nagi」を展開するBLASTのCOO・下條友里(しもじょう ゆうり)さんは、新卒入社したリクルートでさまざまな職種を経験し、自分が「素晴らしい」と信じられる仕事を見つけた一人。
セールスと企画、編集と営業推進を経験した下條さんが見つけた「自分らしい仕事」とは、一体どのようなものなのか。
偽りゼロの就職活動、本音に従って働いた会社員生活を振り返り、満足して納得いくキャリアの築き方について考えた。
—— 学生時代、キャリアについてどれくらい真剣に考えていましたか?
正直な話をすれば、「戦略性はほとんどなかった」というのが本音です。
これといったやりたいこともなく、私にとっての就職は、「本当にやりたいことが見つかるまでの準備期間」のようなものでした。
こうしてインタビューをしていただいていますが、誇れるような就職活動をしていたわけではないのです。
—— 新卒では、リクルートライフスタイル(現・リクルート)に入社されています。どのような経緯があったのですか?
自分と相性の良い会社だと感じ、入社を決めました。
私は大学時代、放送研究会に所属していました。大抵の学生はマスコミ業界を志望し、そのまま他業界を見ることなく就職します。例に漏れず、私もマスコミ業界を志望していた一人です。
ただ、業界ならではの慣習に疑問があり、一度就活をやめてしまいました。いくつかの出来事をきっかけに、「もしかしたら、自分に合う職場ではないかもしれない」と思うようになったのです。
例えば、就職活動の解禁時期は3年生の12月でしたが、マスコミ業界に行くには夏のインターンに必ず参加して、早くから志望する企業とのコネクションをつくらなければいけないという、まことしやかな噂がありました。
最初の頃は、情報が定かではないものの、噂を信じて活動していました。しかし、やはりなんだか変だと思いましたし、「そうした習わしがある業界で本当に自分は働きたいのか?」と疑問に思うようになりました。
結局、12月まで就活は一切しないことにして、ゼロから会社を探すことにしました。
会社を選ぶにあたって大切にしたのは、「自分がなりたい大人になれるのか」です。入社1年目、5年目、10年目の社員に会わせてもらい、「仕事を楽しんでいるのか」「年次に合わせて仕事がどう変わっているのか」など、人に焦点を当て、会社選びをしていました。
—— 「なりたい大人になれる」と感じたのが、リクルートライフスタイルだった?
広告代理店や航空会社など、いくつかの会社を訪問した中で、最も「しっくりきた」会社でした。どの年代の社員と話しても仕事が楽しそうでしたし、なによりも本音の自分を受け入れてもらえたのです。
私がたまたまそうだったのだと思いますが、最終面接を目前に控えた面接で、いわゆる「圧迫面接」気味の対話がありました。おそらく、私の本性を見たかったのだと思います(笑)。
面接が終わり、エレベーターへ向かう道で、「真剣な話でニコニコするのはやめなさい」と言われたのですが、むしろ「私は私なので、何も変えません」と反論してしまったことを覚えています。
でも、最終的に内定をいただけました。
内定をいただいたタイミングで「いまこの瞬間に、リクルートライフスタイルに入社したいと心の底から思えますか」と聞かれ、「今この瞬間も絶対とは言えないです」と本音を返しても、オファー内容は変わりませんでした。
就活を始めるまで、リクルートライフスタイルという社名すら知りませんでしたが、そこには私のなりたい大人たちがたくさんいました。
面接や社員訪問の期間を通じて、自分を偽る必要はないんだなと感じましたし、言いたいことを言える環境だとも思え、そのまま入社を決意しました。
当時の私には「もっと会社のことを調べなよ」と言いたいですが、いま振り返っても、当時の選択は正しかったと思います。