就活生が会社や仕事を選ぶ上で、昔も今も重要な要素であり続けるのが「給料」だ。
もっとも、会社員の給料平均は日本経済の停滞により伸び悩み、成長業種と斜陽業種の賃金差は開いている。
今後は、ジョブ型雇用の導入などにより、同じ企業に勤める人の間でも給料格差は広がっていくだろう。
では、給料が高い人とそうではない人の差は何か?それは、「ワークタグ」つまり「仕事に限らず、人生においてやってきた経験とそこから得たスキル」によるものではないか──。
本稿ではパーソルキャリア「サラリーズ」の協力を得て、同社が蓄積した100万人以上の勤労者の職務経歴書から見えてきた「年収800万円以上の人のワークタグ」を緊急入手。
どのような経験をしてきた人が高給を得ているのかを明らかにするとともに、業種・仕事別に「稼げるワークタグ(経験とそこから得たスキル)」の習得方法がどう変わるのかも検証する。
※この記事は、NewsPicksの特集「Z世代の就活」に掲載した内容の無料ダイジェスト版になります。全文は末尾にあるリンクをご覧ください。
年収800万以上の人が持つワークタグ第1位は「戦略」となった。これに、「策定」(2位)、「部下」(3位)、「推進」(4位)が続く。
5位から10位までは、「組織」(5位)、「マネジメント」(6位)、「立案」(7位)、「構築」(8位)、「プロジェクト」(9位)、「課題」(10位)がランクインした。
つまり、年収800万円以上の高所得者の職務経歴書には、「○人の部下を率いたプロジェクトで、△の戦略を策定し……」といった文言が数多く含まれることが想定される。
20位までを見渡しても、経営や事業に携わり、組織をマネジメントし、プロジェクトの運用もできる人が高収入だと見立てができる。
この結果を受けて、パーソルキャリア「サラリーズ」事業責任者の正能茉優(しょうのう まゆ)さんは、「年収800万円以上の高収入者には、3つのポイントがある」と分析する。
1つ目は、上流から下流まで、事業のプロセスを一貫して見る力があることだ。
「戦略(1位)、策定(2位)、推進(4位)、立案(7位)、構築(8位)、折衝(14位)、運用(18位)などがランクインしているように、戦略から現場での実行までの事業プロセスを広く見られる人が、給料も上がりやすいのです」
2つ目は、部下や組織へのコミットメントだ。
「部下(3位)、組織(5位)、マネジメント(6位)、評価(13位)、育成(16位)、採用(20位)など、人や組織のマネジメントに関連するキーワードが上位に6個も入っているように、現在は、1人で何かを作り込むというより、チームの力を発揮し大きな価値を出せる人が評価され、結果として高収入になっています」
将来的に給料を上げたいなら、一定のマネジメント経験や組織へのコミットメントが必要だといえる。
ただし、マネジメントには向き不向きがある。自分は人の管理は向いていない、あるいは何らかの専門分野でプロフェッショナルになりたいとエキスパートを目指すのも、立派なキャリア戦略だ。
正能さんは、「その場合、どの業種や職種なら、マネジメントをせずともエキスパートとして評価してもらえるか、見定めることが重要」だと語る。
3つ目は、「価値や課題を定義できる人」のニーズが高まっていることだ。
「今は顧客や従業員の価値観が多様化し、誰しもが同じ価値観を持つ時代ではありません。そんな中、自社やプロダクトの価値、あるいはクライアント企業の価値などを定義できる人の存在感が高まっています。戦略(1位)、策定(2位)、構築(8位)などのワークタグが上位に来ているのは、その証左でしょう」
このことは、「課題」が10位にランクインしていることからも連想できると正能さんは言う。
「有名な経営学者ピーター・ドラッカーの『5つの質問』のように、根源的な問いに向き合い、仲間とともに考え、それをプレゼンし、周囲を納得させ、実際に計画を実行できるような人が高収入を得ていると言えるのではないでしょうか」
正能さんは、そもそもあらゆる仕事の多くは「困りごとを解決すること」だと話す。
「翻って、ビジネスとは人々の困りごと、つまりは課題を解決するからお金になる、とも言えます。よって、高収入の人とは、社内外を含めた課題に積極的に対応している人と言い換えることができるでしょう」
正能さんは、いずれの業種に行くにせよ、その仕事を介して、自分はどのような経験をし、どのようなスキルを身につけたいか、タグづけを意識することが重要だと唱える。
「タグは掛け算することで、思わぬ価値を生むことがあります」
では、どのようなタグの組み合わせが、労働市場で評価されるのか?
「まずは希少性。私は『なのにキャリア』と呼んでいますが、例えば私は『自分の会社の社長なのに、大企業の社員』で、おそらく社長にしか身に付けることができないワークタグと、大企業の企画職でしか身に付けることができないワークタグの双方を持っています。でも、ただ希少性が高いだけなら、ただの珍獣です(笑)。重要なのは、そのワークタグの組み合わせに需要があるかどうかです」
それを知るためには、日頃から、会社だけではなく、社会を意識して、どのようなスキルや経験の持ち主が求められているかを考えることが欠かせない。
そこで以降は、「高給取りが多い」と目される業界・仕事でも、得られるワークタグの組み合わせが異なるという比較データを紹介しよう。
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〈全文記事には、こんな話も載っています〉
【比較1】商社vsメディア、どちらが「稼げるタグ」を得られるか?
【比較2】コンサルvs商社、どちらが「稼げるタグ」を得られるか?
【比較3】事業会社の仕事vsクライアントワーク、どちらが「稼げるタグ」を得られるか?
取材・文:佐藤留美、取材:鈴木朋宏、デザイン:國弘朋佳、写真:正能茉優(本人提供)