── 本日は、自分がこの会社でこの仕事をしたいと納得のいく企業の内定を獲得した大学4年生4人に集まってもらい、オンライン就活下、どのように就活サービスを使いこなしていたかについて伺います。
千葉:まず僕が言いたいのは、今、就活サービスは本当に多種多様なので、まずは自分で使ってみて、合うものを見つけることが大事だということです。どのサービスも大して登録に時間はかかりませんし、お金もいらないので。
奥野:奥野:就活したい業界や、時期によっても役立つサービスは違いますしね。ちなみに僕の場合、会社やビジネスについて何も知らない就活初期は「マイナビ」「リクナビ」を使っていました。
とりあえず、幅広い業界のいろいろな会社の説明会に出たいという時には、こうしたナビサイトが最適です。説明会に出て、もうちょっと希望する業種や職種が絞られて、インターンや早期選考に応募しようという段階になると、「ワンキャリア」に移行する。
常岡:僕も、大学3年生の夏のインターンの応募をするくらいの、就活初期はよくマイナビを使っていました。マイページを作って、興味のある企業を登録すると、企業別に何日までに夏のインターンの締め切りですといった情報はバーっと並ぶので、就職活動を無理やりスタートさせるのに役立つんですよね(笑)。
長澤:気になる会社に印つけると、勝手に採用情報を送ってもらえるから、就活の最後まで一応、ログインだけはしておいたほうがいいですよね。
奥野:会社によっては、マイナビを経由しないとエントリーできない企業もありますし。
長澤:でも、掲載企業数が多すぎて、選びきれないし、見にくいという問題もあります。有望なベンチャーやスタートアップもそれほど詳しくカバーしてないので、私もメガベンチャーに興味を持ち始めてからは、ワンキャリアに移行しましたね。
── ナビサイトから「ワンキャリア」に移行するという意見がチラホラ出ましたが、このサイトの使いこなし方のポイントとは?
奥野:ワンキャリアの特徴は、応募したい会社の選考を通過した先輩たちのエントリーシート(ES)や、面接で聞かれたことや答えた内容などが共有されていることです。
これを、自分のESや面接対策として活用するのが、もっとも多い使い方だと思います。
長澤:面接でよく聞かれる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」や失敗体験って、その経験をして自分は何に気づき、何を学んで、どう行動したのか、というストーリー性が必要だと思うのですが、先輩のESや面接体験談が共有されていると、このぐらいストーリーの起伏が必要なんだな、などとイメージがしやすくなります。
常岡:僕は反対に、面接の受け答えをガチガチに用意すると、そのエピソードの棒読みで終わってしまうと思って、あえてワンキャリアはあまり見ませんでした。面接って、当意即妙な受け答えや、会話が弾むことが試されると思っているので。
奥野:僕は、応募した人の会社評価も参考にしていましたね。ワンキャリアではその会社を受けた人による会社評価が5つ星満点で表示されるのですが、「食べログ」でお店探しをする時と同じで、さすがに1点台、2点台の会社は理由も含め注意深く見てしまいます。
長澤:効率よく幅広く、企業研究や業界理解を深めるには、企業の採用担当者が出演する「ワンキャリア ライブ」も見ておいて損はないと思います。
ポイントは2つあって、1つはその企業が最近注力している事業について学ぶこと。もう1つは、その会社のカルチャーを見抜くこと。とりわけ、2、3社の企業のセッション方式だと、各社の特徴が出やすい。
常岡:僕は最近始まった「ワンキャリアプラス」も、見ていました。コンサルや外資志望者の場合、ずっと同じ会社にいるという前提がないので、ファーストキャリアの次が気になります。
これを見ると、たとえばアクセンチュアの人の転職先はデロイトやキャディなど、個社名が書かれた転職経験談や転職理由が載っているのが面白く、こういう選択肢もあるのだという確認になります。
── ワンキャリアと同じくハイエンドな学生が利用する就活サービスとしては「外資就活ドットコム」もあります。
常岡:外資就活ドットコムは、ワンキャリアと併用している学生が多いですね。外資就活でよく活用されていたのが、志望企業の個社名別の掲示板です。
例えばマッキンゼーだったらそのスレッドが立っていて、その中で、応募者同士が情報交換をする。LINEのオープンチャットを、より健全にしたイメージです。
長澤:「専攻について聞かれましたか?」とか、「もう内定通知はきましたか?」といった内容が飛び交っていますよね。
常岡:ワンキャリアに載っている経験談は、昨年選考を受けた先輩のものが中心なのに対し、外資就活の掲示板はリアルタイムの情報なので、今その会社の選考がどうなっているのかを知るのに便利です。
あと、参考になるのが質問箱です。コンサルや投資銀行の出身者に、例えばセルサイドとバイサイドのアナリストの違いとは何か、といった質問ができ、リアルな回答が得られるのは利点です。
── 次に伺いたいのが、逆求人型就活サービスの利用法についてです。「逆求人型」は21年卒の利用率は18.7%だったのに対し、22年卒は28.3%とオンライン就活の普及とリンクして急伸しています(※参考記事は下記)。皆さんも、利用していましたか?
千葉:とりあえず「オファーボックス」に登録だけはしている、という学生が多いですし、僕もそうでした。利点としては、2つあります。
1つは、スカウトメールがガンガンくるので、自分が受けていない業界の意外な会社を知ることができること。
2つ目は、自己分析に役立つこと。無料の自己分析ツールがあるので、それを使いたくて利用する学生も多い。
長澤:私は他に「キミスカ」などの逆求人型サービスも利用していました。
オファーボックスは、幅広い業種、規模の会社からオファーが来るところが魅力でした。これは、学生の自信にも繋がるんですよね。就活中の学生ってとにかく不安なので、今日はここからオファーが来た!なんてことがあると、1日、心の安寧が保てるんです。面接の場数を踏むことで、練習にもなりますしね。
常岡:ESの提出など選考をショートカットして受けられるので、効率も良い。
奥野:オファーが来て「じゃあ、受けるか」と面接に行くと、結構、落とされたりもするんですけどね(笑)。
それでも僕は、登録はしておいて損はないと思います。ワンキャリアなどにもスカウト機能はあるけれど、オファーボックスのような専業型は逆求人に特化しているだけに、スカウトの数が全然違うので。
長澤:逆求人型のスカウトサービスは、ESを更新したり見せ方を良くすれば良くするほど、オファーも増えるので、市場からのフィードバックという意味でも役立つと思います。
── 企業研究では、どのようなサービスを、どのように使っていましたか?
長澤:その会社の「中の人」が自社や退職した会社を評価する「オープンワーク」は、各企業のリアルな強みや弱みが見られるので、参考にしていました。特によく見ていたのが「退職検討理由」の部分です。
千葉:自分が行きたい会社を、なぜ辞めるのかは、気になりますよね。説明会や採用ページでは、その会社のキラキラした部分ばかりを見せられるので、その会社のダークサイドも知りたい(笑)。
長澤:残業が多いにしても、予めそのことを知り、覚悟を決めた上で入社するのと、そうでないのは大きな違いがありますからね。
常岡:気になる会社の「中の人」の評価も参考になりますが、僕は取引先などその会社と付き合いのある「外の人」の評価も気になります。
だから、取引先による企業評価が反映された「ECS for アカデミア」というサービスもよく見ていました。
オープンワークに表れるのは、あくまで中から見た会社の評価。良くも悪くもバイアスがかかった情報です。しかし、取引先から評価も見ることで、気になる企業の実力を多角的に測ることができました。
奥野:僕は、企業や業界の研究でもっとも参考にしたのは、お世辞ではなくNewsPicksです。就活生が活用するポイントは2つあると思っています。
1つは、行きたい企業や業界に関連するオリジナル記事を読んで、その会社や業界の現在置かれた状況などを包括的に理解すること。
2つ目はコメントを見ること。例えばリクルートを受けているなら、ユーザー検索でリクルートと打てば、リクルートの人たちがいっぱい出てきます。そこから、その人たちはどんな記事をピックしコメントしているのかを見れば、その会社の人がどんなニュースに興味を持っているかが分かります。
長澤:コメントは、時事ネタについて自分なりの見方や解釈をしたいときも、参考になりますよね。
面接では結構な頻度で、「最近気になるニュースは?」という質問をされますが、受けている業界のニュースをチェックし、そこにあるプロピッカーの人たちのコメントなどをざっと読んでおけば、それらしいことが言えるという実利もあります(笑)。
常岡:僕は、NewsPicksのオリジナル記事を読んで、個別のニュースの背景を理解するのに役立てていました。
千葉:僕は、ビジネスとしてSaaSが気になっていたので、SaaSの特集は勉強になりましたね。
SaaS銘柄の株価が高いことくらいは知っていましたが、なぜ今、SaaSというビジネスモデルが来ているのか、SaaSの文脈でよく耳にするプロダクト・レッド・グロースとはどんなマーケティング手法なのか?
最近「カスタマーサクセス」という仕事がやたらと注目されるのは、SaaSが台頭しているからなのかといったことが、頭の中で点と点がつながって線になっていくんですよね。
そして、カスタマーサクセスという職種が気になったら、NewsPicksが最近やっているJobPicksを見に行ったりして。
── 皆さん、面接対策としてはどのようなサービスを利用していましたか?
長澤:私は動画サービスの「しゅんダイアリー」を見ていました。特に利用していたのが、就活初期から中盤の時期。面接のテンポ感を掴むのに、役立つんです。
奥野:面接って、動画を見てテンポを掴んでおかないと、やたらダラダラとしゃべっちゃうんですよね。
常岡:運営のしゅんさんが実演する動画を見ると、質問の受け答えはこんなに短くていいんだ、と驚きますよね。
長澤:例えばガクチカについて聞かれたら、「学生団体でこんなイベントをやったことです」とだけ答えて、面接官が「それはどんなイベントですか?」と聞くのを待つ。面接も会話であり、双方がキャッチボールすることが大事なんだということが疑似体験的に理解できます。
常岡:棒読み防止になりますよね。
長澤:私は面接の練習を自分で録音して、しゅんダイアリーなどの動画と比較して、まだ話が長いなと振り返ったりしましたね。
千葉:やっぱり、就活は、準備と振り返りが大事ですね。
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取材・文:佐藤留美、デザイン:岩城 ユリエ