【OB訪問】ベネッセの事業開発に聞く、社風や配属、伸びる人材

【OB訪問】ベネッセの事業開発に聞く、社風や配属、伸びる人材

就職活動で必ず行うOB・OG訪問。先輩の声を聞く機会は貴重だが、訪問できる数には限りがあり、仕事の苦労など本当に知りたい実情を初見で聞くのも難しい。


そこで本連載では、JobPicks編集部が就活生に代わり、さまざまな企業の先輩たちに等身大の体験談を取材。OB・OG訪問の「疑似体験」を提供する。


今回話を聞いたのは、国内トップシェアの通信教育「進研ゼミ」でもおなじみのベネッセで、AIを用いたスマホ学習アプリの「AI StLike(AIストライク)」をはじめとした新規事業開発に携わる、9年目社員の永田祐太郎(ながた ゆうたろう)さん。


就活・仕事選びの考え方や、新人時代の苦労、新規事業が立ち上がるまでの経緯を聞きながら、大企業で自身のWillを育み実現する方法を探る。

ベネッセコーポレーションで事業開発を務める永田祐太郎さんのプロフィール画像

目次

15歳の頃の原体験


── 永田さんはベネッセで新規事業開発に携わっているそうですね。そもそも、ベネッセに入社した理由とは?


ベネッセを選んだ理由は、50年以上の教育事業で培われた知見やデータの質と量です。

就職活動では、「AIで教育を最適化したい」という軸で企業を見ていました。AIの活用にはビッグデータが不可欠なので、教育における知見やデータの有無は、会社を選ぶ上での大きな判断基準でした。


ベネッセの他にも、教育事業ができそうな大手通信会社やメガベンチャーを中心に、全部で5社ほど受けましたが、知見とデータの量と質を考えた時に、ベネッセの右に出る企業はありませんでした。


選考で感じたベネッセのフラットな社風も、決め手になりました。エントリーの段階では、他の会社と比べ、真面目で堅い人が多い印象でしたが、選考が進むに連れて、お会いする社員の方々が意外にも気さくでフラット。

敬語もまともに使えない僕のような学生にも、親しく接してくれたことで、イメージが変わったことを覚えています。

── 教育分野に興味を持ったのは、どうしてでしょうか?


15歳の頃の忘れられない体験を経て、教育に興味を持つようになりました。

永田祐太郎さんが経験した「15歳の忘れられない出来事」とは?
Photo:iStock / taka4332

僕は鹿児島出身の4人兄弟で、金銭的に余裕がある家ではありませんでした。それでも、高校入試の前には塾に行かせてもらいました。


その塾では、入試直前期に各校舎から実力者が集って競い合う模試があって。僕は一番上位のクラスだったのですが、その時僕の隣だった子が、経済的にとても厳しい家庭の子だったんですね。

その後、幸いにも僕は志望校に進学しましたが、同じ高校を志望していたはずの彼の姿は見当たりませんでした。


経済的に余裕があれば、公立に落ちても私立に行くことができます。ところがその子は、私立に行けないことは明らかでした。


直接、言葉を交わしたことはないその子の努力を勝手に想像すると、無念で仕方がありませんでした。一度きりの入試で、その子の人生が大きく変わってしまったんだろうと。


僕はおこがましくも「使命感」という言葉をよく使うのですが、この原体験を通じて、幸いにも高校に進学できた自分は「教育を通して社会に貢献しないといけないな」と思いました。


──「AIを用いて教育を変えたい」というモチベーションは、どのように醸成されたのでしょう?


このような経験から僕は、本当に良いサービスを、できる限り安価でより多くの人に届けることに関心がありました。


安くて良いものを届けるには、教育の抱えるさまざまなコスト要因を是正する必要があります。


そこで、AIに興味を持ちました。


当時、将棋の世界でAIを搭載したコンピューター棋士が、プロ棋士に勝つ瞬間があったんです。調べてみると、将棋には10の220乗通りの指し手がある。これは教育にも絶対使えると思いました。

画像タイトル
yuhorakushin/iStock

世の中にはいろんな先生がいたり、いろんなコンテンツがあったりしますが、自分に合った先生や教材に出会うのは大変ですよね。しかし、生徒に合わせて最適化された教育を届けることができれば、最もシンプルで効率的です。


もしかしたら、AIは教育を変えられるのではないかと思い、教育業界でもデジタル領域の挑戦ができる会社で働きたいと思ったんです。


「教える側」ではなく「仕組みを作る側」に

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