ウェディングプランナーを目指す前に知りたい、仕事の魅力と苦労
2021年11月1日(月)
ウェディングプランナーの仕事は、施行と営業の大きく2つに分けられます。
施行業務とは、結婚式を挙げるお客様の担当として、打ち合わせから本番までをサポートするお仕事を指します。「ウェディングプランナー」と聞いて、おそらく皆さんが想像されるのがこちらです。
ただ、ウェディングプランナーの仕事は、それだけではありません。式場を検討されているお客様に、自社での結婚式を選んでいただくために、いわゆる新規営業も担当します。
2つの業務を別々の担当が行う会社もありますが、Plan・Do・Seeのプランナーは、施行業務と新規営業、それぞれを行うのが特徴です。
正直、最初は「やりたくない」と思ってしまいました。「できることなら、施行業務だけやっていたい!」というのが本音で(笑)。
自分が新規営業を担当するイメージも持っていなかったので、最初は特に苦労しました。ただ、必死に取り組むうちに、次第と意義が理解できるようになり、成果も出るようになりました。
そもそも新規のお客様がいなければ、結婚式のお手伝いができるお客様もいません。新規営業も施行業務も、どちらもお客様のために必要なことなのだと、キャリアを重ねるほどに実感しています。
子どもの頃に観たドラマに影響を受け、ウェディングプランナーという仕事そのものに憧れを持っていました。とはいえ、職種を絞って就職活動をしていたわけではありません。
ウェディングプランナーという仕事に引かれた理由でもありますが、私は「自分が愛せることを通して、目の前の人を幸せにしたい」という思いを持っていたので、それが満たせることを条件に働く環境を探していました。
最終的には、旅行会社と百貨店、ブライダル業界に絞りました。選考過程では悩むことも少なくなかったです。
OB訪問をした先輩の言葉です。彼は「週7日間のうち、5日間は仕事をして過ごすよね。これから何十年もその生活が続くのであれば、僕はその5日を本気で過ごしたいと思った。だからPlan・Do・Seeに入社したし、その選択をして本当によかった」と言っていました。
私はその言葉を受け、「私が本当にやりたい仕事は、ウェディングプランナーだ」と確信しました。ブライダル業界であれば、Plan・Do・Seeに入社すると決めていたので、そのまま入社を決意しています。
Plan・Do・Seeの行動方針に“I am one of the customers.”という言葉があります。私はこの言葉が大好きなのですが、面接を受けている最中から、スタッフ全員が心の底から共感して働いているのが伝わってきたんです。
共感できる企業理念や行動指針は世の中にたくさんありますが、それが社員に行き届いている会社はそう多くありません。
その点、Plan・Do・Seeは、私が選考を受けた会社の中で、掲げた理念と行動が一致している数少ない会社でした。この会社で、この式場で、このメンバーたちと一緒に働きたいと心から思えたことが、Plan・Do・Seeに入社するきっかけになっています。
入社してから2年間、新規営業で全く成績が伸びなかったんです。学生時代は「ウェディングプランナーの仕事=施行業務」と思っていたこともあり、営業の仕事がイメージできておらず、なかなか成約に至る提案ができずにいました。
営業の仕事を理解できたからだと思います。それまでの私は、お客様に「自分がされてうれしい提案」をしていました。よかれと思ってしていたことですが、“I am one of the customers.”の意味を勘違いしていたのです。
空回りしていた当時の私に、先輩は「もし自分が目の前のお客様だったときに、どんな提案をされたら感動するのか」を想像することが、“I am one of the customers.”ということだと教えてくれました。
その言葉を受け、自分とは全く異なるお客様のことを、誰よりも深く知ることに向き合うようになりました。すると、自然と成果が出るようになったんです。
新規営業も、施行業務も、大切なことは「顧客理解」でした。お客様のことを知らずして、お客様に感動してもらえる提案はできないんです。
現在はアシスタントマネージャーとしてプランナーの育成にも携わっていますが、当時の経験が生かされています。
自分が存在することで、本来は起こらなかったはずの幸せをつくれることに、これ以上ないほどのやりがいを感じます。
そもそもウェディングプランナーは、ただ結婚式を手配するだけが仕事ではありません。顧客理解が大切だとお話ししたように、お客様の今日に至るストーリーを知り、「本当に挙げたい挙式」をつくりあげることが責務です。
以前、ご家族だけでの挙式を希望されるお客様を担当したことがあります。お2人ともご両親に大変感謝されていたので、新郎様にお手紙を読む提案をしてみました。ただ、通例だと新婦様が手紙を読むことが多いので、「僕は遠慮しておきます」とのことでした。
しかし、改まってご両親への感謝を伝えられる機会は、そう多くありません。私は「無理にとは言いませんが、最後まで考えてほしいです」と伝えていました。
すると、結婚式の直前になり、お手紙を読んでくださることになったんです。新婦様が「古巣さんに言われたから読むって言ってました」と教えてくださり、まずは自分の提案を受け入れてもらえたことがうれしかったです。
結果的に、お手紙を読まれたことで、新郎様のご両親も大変に喜んでおられました。そのときは私ももらい泣きしそうで……。
私がしたことといえば、お2人のストーリーやお人柄に真摯に向き合っただけなのですが、それが結婚式という1日を素晴らしいものにするきっかけになったことを実感でき、心からうれしい気持ちになりました。
私自身が結婚式を挙げたときも、プランナーの価値を強く感じました。2人だけではあまり話さないことにもプランナーが踏み込んでくれて、お互いに対する思いを交わす機会ができ、結婚式が最高の1日になったと感じています。
プレッシャーの少なくない仕事だと思います。ウェディングプランナーは年間いくつもの結婚式をプランニングしますが、お客様にとっては、そのどれもが1回きりのものです。
先日プランナーとして披露宴を担当したときも、入念に準備をしたのにもかかわらず、前日はすごく心配で。何度確認しても「本当に大丈夫かな?」という気持ちでいっぱいでした。
でも、そういう仕事なのだと思います。お客様の大切な1日に寄り添う仕事なので、それなりにプレッシャーがあることは、かえって健全なはずです。
「無償の愛を与えられる人」だと思います。ブライダル業界というと、なんとなく華やかなイメージがあるかもしれませんが、やっていることは“究極の黒子”で、とても地道な仕事です。
あくまでも主役は新郎・新婦のお2方なので、「仕事で目立ちたい!」と思っている人にはあまり向かないかもしれません。
また、結婚式は朝早くから準備をするので、週末は労働時間が長くなってしまうこともあります。やりがいが大きく、人の幸せに寄り添える仕事ですが、その分大変なことが少なくないということも事前に知っておいていただきたいです。
就職活動をしているときに、一度だけウェディング業界への入社をためらったことがありました。というのも、業界について、少しだけ不安を感じたことがあったからです。
他社さんの選考を受けている際に、仕事のやりがいとお給料、勤務地の3項目を挙げ、それぞれに印をつけて自社の優位性をアピールされたことがありました。
私の意向を踏まえて印をつけていただいたのですが、ブライダル業界は仕事のやりがいが満たされるものの、それ以外の項目では少しだけ劣っていたんです。
今思えば「入社してほしい」というアピールの一環なので、当然自社が優位に立つように印をつけていたのでしょうが、そのときばかりは気持ちが揺らぎました。
ただ、実際に働いてみて、自分の選択は「間違っていなかった」と胸を張って言えます。
業界的に「お給料が安い」と言われることもありますが、私自身はそう思っていません。Plan・Do・Seeは成果が反映される環境で、お客様の幸せのために必死になった過程が、正しく評価されます。
会社によるところもあると思いますが、少なくとも私は、お給料がネックで働き方を変えたいと思ったり、転職をしたいと思ったりしたことは一度もありません。
また、関東で働きたかったのが本音ですが、「住めば都」ではありませんが、働き始めてみるとそこまで気にはなりませんでした。
初めての一人暮らしで、仲のいい友人がいない環境で過ごすのは大変でしたが、仕事の相談ができる先輩たちに囲まれていたので、寂しさを感じることはなかったです。
そして何より、お客様の幸せに寄り添えるこの仕事に、私は誇りを持っています。
「幸せにできる人が増えるほど、 自分の幸せも増えていく」のが、ウェディングプランナーの魅力です。興味を持たれている方は、ぜひ挑戦してもらえたらと思っています。
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取材・撮影:小林将也、文:岡田菜子、編集:オバラミツフミ、デザイン:國弘朋佳