「社会人として働く」ということは、いわば“大人としての人生”の幕が上がることを意味する。
その先に待っているのは、これまでの人生で経験したことのない苦悩や葛藤、そして想像を超える楽しさだ。
しかし働く以前に、社会人のリアルな声を聞く機会は多くない。それゆえ、働くことにネガティブな印象を持ってしまう人もいる。
本連載「#就活生のあなたへ」では、社会人として働く“等身大のロールモデル”たちが自身のキャリアを振り返り、学生の皆さんが「天職をつかむ」ためのヒントを届けていく。
DMM.comで働く古賀美聡(こが みさと)さんは、エンタメ領域で営業を担当する入社6年目の社会人。
古賀さんは「入社してからずっと自分らしく働けている」理由を、「サービスではなく人と社風で会社を選んだから」だと語る。
他社の面接で「自分を偽り、ドン滑りした」経験から、自分らしくあることを徹底。その結果「楽しく、誇りを持って働けています」と話す古賀さんに、充実したキャリアを歩むための方法を聞いた。
—— まずは、古賀さんがDMM.comに就職するまでのエピソードを教えてください。学生時代は、どのような基準で企業を選択していたのでしょうか?
明確にやりたいことがなかったので、「人と話すことが好きだし、とりあえず営業が向いているかな」と、業界を問わず片っ端からエントリーしていました。
働きたい企業や自分がどんな強みを持っているのかは、就活をしながら理解を深めていきましたね。
今でこそ楽しく、誇りを持って働けていますが、“ES(エントリーシート)落ち”した選考もたくさんあります。
私の記憶だと、100社以上応募して、8割方選考で落とされています
—— どのようにして自己理解を深めたのですか?
思い出すだけで顔から火が出そうですが、とある企業の集団面接で、「隣の人よりも面接官の印象に残ってやろう」と、自分の経験を“いかにも感動的なエピソード”として話したことがありました。
しかし、会場の反応はゼロ。面接官も「ポカン」としていて、自分が“ドン滑り”していることに気がつきました。
一方で、転勤族だったために人とのコミュニケーションを余儀なくされ、結果的に話すことが大好きになった話は、ありふれているのにもかかわらず、反応がいい。
そこで、自分が当たり前にやってきたことが、意外にも強みになると知りました。
当たり前にやっていることは「自分の特性」ですから、それを伸ばせば、いずれ武器になることに気が付いたのです。
学生時代は、そんなことが「自分の強み」になるとは認識していませんでした。
人と話すことが好きな人はごまんといるし、それほど評価されるものだとは思っていなかったのです。
それ以来、就職活動では、本来の姿ではない自分を演じるのをやめました。
—— なにがセールスポイントかは、自分で決めるものではないということですね。
その通りです。いかに周囲と差別化するかを自分一人で考えるより、他者の目を介しながら、主張すべき自分の強みを見つけることが大切なのだと実感しました。