【DMM・28歳】自分を偽った“嘘の面接”が教えてくれたこと
2021年3月19日(金)
明確にやりたいことがなかったので、「人と話すことが好きだし、とりあえず営業が向いているかな」と、業界を問わず片っ端からエントリーしていました。
働きたい企業や自分がどんな強みを持っているのかは、就活をしながら理解を深めていきましたね。
今でこそ楽しく、誇りを持って働けていますが、“ES(エントリーシート)落ち”した選考もたくさんあります。
私の記憶だと、100社以上応募して、8割方選考で落とされています
思い出すだけで顔から火が出そうですが、とある企業の集団面接で、「隣の人よりも面接官の印象に残ってやろう」と、自分の経験を“いかにも感動的なエピソード”として話したことがありました。
しかし、会場の反応はゼロ。面接官も「ポカン」としていて、自分が“ドン滑り”していることに気がつきました。
一方で、転勤族だったために人とのコミュニケーションを余儀なくされ、結果的に話すことが大好きになった話は、ありふれているのにもかかわらず、反応がいい。
そこで、自分が当たり前にやってきたことが、意外にも強みになると知りました。
当たり前にやっていることは「自分の特性」ですから、それを伸ばせば、いずれ武器になることに気が付いたのです。
学生時代は、そんなことが「自分の強み」になるとは認識していませんでした。
人と話すことが好きな人はごまんといるし、それほど評価されるものだとは思っていなかったのです。
それ以来、就職活動では、本来の姿ではない自分を演じるのをやめました。
その通りです。いかに周囲と差別化するかを自分一人で考えるより、他者の目を介しながら、主張すべき自分の強みを見つけることが大切なのだと実感しました。

内定をいただいた企業の中で、「最も自分に合っている」と感じたからです。
私は異文化交流が大好きで、学生時代は何度も海外旅行に行っていましたし、留学生支援のボランティアもしていました。
自分が持っていない視点を取り入れることが、楽しかったからかなと今では思います。
そうした価値観は生まれつきのものなので、就職先も「引き出しを増やせる」環境が望ましいと感じ、多角的に事業を展開しているDMM.comを選びました。
一つの会社でも、複数の事業に携われる可能性があるからです。
また、いわゆる“THE・会社”的な雰囲気がなかったことも理由の一つです。
面接会場にいる社員の服装はカジュアルで、学生との距離も近い。
学生がフランクな口調で質問しても、それを咎めることもなく、「質問してくれてありがとう」と、むしろ感謝しているくらいでした。
一人一人の「その人らしさ」を尊重している社風が感じられ、「こんな人たちと一緒に働きたい」と思えましたし、入社後も自分らしく働けている未来が想像できたので、入社することを決めました。

セールスプランニング部という、DMM.comが展開するうちの複数サービスを横断的に扱う事業部で、主にエンタメ領域の法人営業をしています。
個人から著名人までが開設する会費制コミュニティサービスの「DMM オンラインサロン」や、『炎炎ノ消防隊』を代表とするアニメ事業のタイアップ・プレイスメント関連まで、担当するサービスは様々です。
お客様から「こんな事業を展開したいのですが、なにかいい方法はありませんか?」というご相談をいただき、それに対して適切なソリューションを提供することが多いので、広告代理店の営業パーソンに近いと思っていただければ想像しやすいと思います。
DMM.comは次々に事業が立ち上がる環境なので、新サービスの営業に関わることになった際は、情報のキャッチアップに苦労することはあります。
例えば、立ち上げから参画した「DMM オンラインサロン」は、そもそもまだサイトもなく、かつ市場が未成熟なので、サービス自体を理解してもらうのが大変でした。
当時はまだ入社半年で、スキルがあるわけでもありません。
ひたすら先輩とロープレをしてから商談に臨むも、お客さんから相手にしてもらえず、落ち込んで帰ってくる……ということもありました。
ただ、サービスの数が多いから苦労する、ということはありませんでしたね。
むしろお客様のニーズに対して幅広く提案できるので、自分なりの営業ができますし、“売るものが変わっても販売できる力”が身についたのは、営業のキャリアにおいてプラスの経験になっていると思います。
私にとって営業とは、関わる方に満足を届け、「この人とこれからも一緒に仕事をしたい」と思ってもらうための仕事です。
人に喜んでもらうことが好きなので、なにを売るかは重要ではなく、「そんな提案を待っていたんです!」という言葉が、なによりのやりがいになっています。

間違いなくそう思います。複数のサービスを扱う部署に配属され、プライベートだったら関わりを持たなかったであろう領域の知識もつきましたし、それを売る力も身につきました。
「引き出しを増やしたい」という学生時代から続く思いは、社会人になった今、しっかり実現できていると感じています。
サービスではなく、人と社風で会社を選んだからだと思います。
もし「サービスが好きだから」という理由で会社を選んでいたら、配属が変わったり、サービスが終了したりすると、働く意義を見失ってしまいますよね。
私の場合は、DMM.comという会社で、自分の引き出しを増やす経験がしたかった。
ですから、どんなサービスを扱うことになっても仕事を楽しめているのかもしれません。
もちろんなかなか結果が出ないことや、上司の叱咤激励に悔し涙が出たこともありましたが(笑)、それも含めて財産になっています。
内定をゴールにせず、社会人生活を通して大切にしたいことをベースに会社を選んだからこそ、納得できるキャリアになっているのだと思います。

社会人になったタイミングで、人生のマイルストーンを設定しました。
仕事だけでなく、結婚や出産などのプライベートイベントのタイミングをなんとなくでもイメージすることで、リミットを意識してメリハリのある働き方ができているのではないかと思います。
旦那さんの仕事の都合で転勤になる可能性もありますが、それも想定済み。
転勤が決まった際、DMM.comに籍を残しながら、「リモートでも一緒に働いてほしい」と言ってもらえるよう準備中です。
現在は新型コロナウイルスの影響で意図せずリモートワークになりましたが、そうした可能性も見据えて動いてきたので、意図しない状況にも動揺せずに働けていると思います。
とはいえ、判断するのは会社次第ですけどね(笑)。
会社から「一緒に働き続けたいです」と言ってもらえるよう、「まだまだ必死に努力しないといけない」と背伸びをする毎日です。

今の私から就活中の私に声をかけるなら、「そんなに難しく考えなくていいよ」とメッセージを送りたいです。
私自身それほどネガティブなタイプではなかったですが、それでもたくさん“お見送り”されてしまい、ウジウジしたこともありました。
そのときはやっぱり、自分のダメなところに目が向くのです。
でも、自分のできることに目を向けたほうが、結果はついてきます。その方が、貢献できる価値の総量も大きいですから。
もし今、「自分には、いいところがない」と悩んでいる人がいるなら、それは見つけ方が下手なだけだと理解してほしいです。
いいところがない人なんていないですし、きっと「これは強みにならない」とか、「これじゃダメだ」とか、自分で決めつけてしまっているのだと思います。
そして、あくまで個人的な意見ですが、企業を選ぶ際は、「変わらない部分」にフォーカスすることをお勧めします。
会社も生き物なので、変化していきます。ですから、扱うサービスがガラッと変わってしまうこともある。
そんなときにやりがいを見失わないためにも、「この場所で成し遂げたいことがある」と心から共感できる会社を選ぶことが、皆さんに伝えたい私なりのキャリア論です。

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取材・構成:オバラミツフミ、編集:倉益璃子、撮影:遠藤素子