業界・業種が変わっても、結果を出し続ける人は何が違うのか──。
SNSで話題の定額制パーソナルフードブランド「GREEN SPOON(グリーンスプーン)」を展開するGreenspoonの小池優利(こいけ・ゆうり)さんは、新卒から8年勤めたサイバーエージェントを退職し、異業種から食品スタートアップで活躍する1人だ。
創業メンバーとして、ユーザーごとに合った栄養素を特定・商品を提案する「パーソナルスムージー」の開発担当に。メニュー決めから試作、工場選定、物流の構築までの全ての工程をリードし、通常1〜2年かかると言われる食品開発を「たった半年」で成し遂げた。
「サイバー時代、食事は毎日コンビニでした」と話す小池さんが、健康志向のフード領域に飛び込んだのはなぜか。未経験にもかかわらず、業界の常識を上回るスピードで商品化できた理由とは。
小池さんの話をひもとくと、業界が変わっても仕事で生きる「たった一つの習慣」が見えてきた。
──サイバーエージェントで営業職などを経験し、現在はヘルスケア系の食品を展開するD2Cで商品企画やサプライチェーン構築を担当しています。大胆な業種・職種チェンジですが、不安はありませんでしたか?
もちろんありましたが、それ以上に「新しいチャレンジができるぞ」と意気込んでいたので、ワクワクの方が大きかったですね。
そもそも、ヘルスケア領域に飛び込んだのは、創業メンバーで、前職の同期でもあるCEOの田邉(友則さん)に誘われたのがきっかけです。
当時、私は29歳だったのですが、ちょうど「キャリアを見直そうかな」と考えていたタイミングで。
新卒から8年間勤めたサイバーエージェントは、メディア営業や人事などいろんな仕事を経験して充実していた一方、かなりのハードワークでした。
深夜残業は当たり前だし、食事もコンビニで買って済ませるだけ。
気づいたら3食コンビニ、なんてことも日常茶飯事で、健康への不安や体を大切にできない自分への嫌悪感が強くなっていました。
だからこそ、30歳という節目を前に「そろそろ体や時間を大切にし、自分らしい人生を歩もう」という考えに至ったのです。
その頃は、子どもの頃から海が好きだったので、宮古島への移住も本気で検討していました。
現地の求人情報も取り寄せていて、環境をガラッと変えて新たな仕事にチャレンジするのもいいかな、と考えていたんです。
── そんな矢先に、今の会社に誘われたのですね。
結果的に、創業期のスタートアップなので、またハードワークをすることになるのですが(笑)。
ただ、田邉の「アメリカでは当たり前に意識されている『セルフケア』の習慣を、日本でも定着させたい」という思いに強く共感しました。
彼も、私と同じように20代の頃は相当なハードワーカーでしたが、退職後に行った海外留学で「予防医学」の重要性に気づいたそうで。
いわく、海外では医療費の高さもあり、多くの人が「セルフケア」としてトレーニングを日常的に取り入れたり、健康的な食生活を意識したりしている。
反対に、日本では忙しい人ほど食事にあまり気を使わず、コンビニやファストフードで済ませる傾向があり、あまりにもったいない、と。
私も、まさにその1人だったので耳が痛くなるとともに、それを解決するプロダクトを作れたらいいな、と思いました。
もともとtoC事業に興味があったのもあり、「飛び込むなら今しかない」とジョインを決めたんです。