【経験談】プロダクトマネジメントで直面する悩み、どう解決した?

【経験談】プロダクトマネジメントで直面する悩み、どう解決した?

JobPicks Voice

「みんなでつくる仕事図鑑」JobPicksは、さまざまな職業のロールモデルが投稿してくれたリアルな経験談を多数掲載している。本連載では、その投稿内容を参考に、仕事や就職・転職の悩みを解消するヒントを探っていく。今回は、注目職種「プロダクトマネージャー」の仕事研究だ。


目次

プロダクトマネージャーの市場価値が高騰中


給与水準、仕事満足度、求人数の多さという3つの基準で「最高の仕事」を選ぶなら、プロダクトマネージャーは2021年のTOP3に入る——。


これは、口コミ&求人サービスのGlassdoorが発表した「アメリカで最高の仕事トップ50 2021年版」の結果だ(参照記事)。


GAFAの名前を出すまでもなく、各産業界でテクノロジー関連事業の成長が著しい今、プロダクト開発のリーダーとなるプロダクトマネージャーは新たな注目職種として人気を博している。


日本でも、DX(デジタルトランスフォーメーション)の広がりなどを背景に、2010年代後半ぐらいからプロダクトマネージャーの採用ニーズが急騰。昨年10月に開催された「プロダクトマネージャーカンファレンス2020」では、求人企業と求職者の需給ギャップがすでに大きなものになっていると指摘されている(参照記事)。


その理由の一つに、プロダクトマネージャーの仕事は非常に守備範囲が広いという点がある。


下の記事で、マイクロソフトやグーグルでプロダクトマネージャーを経験したTablyの及川卓也さんは、上記の理由でこの仕事が「ミニCEO」と呼ばれることもあると話す。それゆえ、即戦力となるような人材の数が少ないのだ。

部門を横断し、企画、開発、販売戦略、運用、法務といったすべての面でプロダクトの成功に責任を持つ「プロダクトマネージャー」の存在感が、ますます高まっています。(中略)プロダクトマネージャーには、プロダクトの成功にコミットする力こそが不可欠です。私が所属したマイクロソフトやGoogleでは、プロダクトマネージャーは、プロダクトのすべてに責任を持つ「ミニCEO」として位置付けられていました。

—— Googleの花形職種「プロダクトマネージャー」とは何か

具体的には、下の「プロダクトマネジメント・トライアングル」にある領域全てをリードする仕事になるという。

【経験談】プロダクトマネジメントで直面する悩み、どう解決した?_01
出典:The Product Management Triangle | Dan Schmidt【翻訳】プロダクトマネジメントトライアングル | ninjinkun's diary

開発者のマネジメントのみならず、ビジネス面での成功とそのためのマーケティング、顧客・ユーザーに対するUXデザインなど、幅広い責任範囲をカバーしなければならない。


だからこそ、この難しい仕事をこなせる人材の育成が不可欠だ。プロダクト開発経験の豊富なソフトウェアエンジニアやデザイナー、事業企画・事業開発担当者などを、プロダクトマネージャー候補として採用〜育成する企業は増えている。


そんなプロダクトマネージャーを目指す上で知っておきたいのが、この仕事でぶつかる「壁」はどんなものなのか?だ。


JobPicksにプロダクトマネージャーとして経験談を投稿してくれたロールモデルの経験談から、仕事の苦労と、その解消法を紹介していこう(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。


仕事で突き当たる「2つの壁」とは


まず、プロダクトマネージャーとして仕事をする上での苦労を見てみると、大きく2つの「壁」を感じる人が多いようだ。


1つ目は、意思決定の難しさ。


開発経験が豊富で、アジャイル開発をはじめとする開発プロセスやプロジェクトマネジメント(PM)に精通していても、プロダクトのリリース以降も自ら断続的に意思決定を繰り返す立場となると勝手が違う。


UXデザイナーからプロダクトマネージャーになったユニファの山口隆広さんは、仕事の苦労を生々しく語る。

プロダクトマネージャー苦労

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

山口 隆広
経験者山口 隆広
ユニファ株式会社

リリース後、何も起こらないとき

さあ長い間みんなで解決してきたサービスをリリースしたぞ、利用者の動きはどうだろう、SNSで話題になっているだろうか…と言った期待を持って迎えた最初の1週間。


βテストではあんなに利用者が活発に使ってくれていたサービスなのにどうしたことか平穏しかない。サーバーのスペックも余っている。問い合わせすらない。もうちょっと様子を見ようか、広告を変えるべきか、でも、リリース直後に何も起こっていない現実からは逃げられない。


これはもう方針転換しか...

ないと気づき急遽企画の立て直し、チームメンバーを集めて議論、スケジューリング、そして改めての関係者プレ。「いつ出せるの?3ヶ月なんて待てないよ!」 良いコード、素晴らしい手触りのデザイン、開発プロセスも素晴らしかった…結果、ダメなのは企画だけ。そんな時どんな顔をしたらいいのかと悩む時間をとるよりも、いち早くこの状況を改善に向かわせなくちゃと思った過去の経験は今でもたまに夢に見ます。


ソフトウェアエンジニアからキャリアをスタートし、現在はAI企業のエクサウィザーズでプロダクトマネージャーをするKitabayashi Yotaさんも、この仕事の「プロジェクトマネジメントとは異なる点」を次のように書いている。

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

Kitabayashi Yota
経験者Kitabayashi Yota
株式会社エクサウィザーズ

ゴールの見えない闇の中を進んでいく

特に新しいプロダクトの場合はその90%が失敗すると言われている。


前例がない中で挑戦の連続であり、それは先の見えない闇の中を、運命共同体となる仲間たちと共に突き進んでいくようなものである。


0→1フェーズでプロダクトのMVPが形になり、アーリーアダプターに対して少しずつ価値を提供できるようになってきてもそれだけでは終わらない。


プロダクトマネジメントは、プロジェクトマネジメントとは異なり、プロダクトが存在する限りその価値を磨き続け...

、顧客価値と事業価値を最大化しなければならない。 プロダクトのビジョンを実現し、世の中をより良く変えていくためには並大抵の覚悟では務まらない。


作ったプロダクトが市場に受け入れられない、またはユーザーの傾向が変わったなどの理由で、継続して意思決定し続ける大変さがうかがえる。


2つ目の「壁」は、こういった暗中模索の時期でもプロダクト開発にかかわるチームをまとめ、成功に向けて一つにしていく難しさだ。


DMMでソフトウェアエンジニアや事業統括、プロダクトマネージャーなど複数の職業を経験してきた石垣雅人さんは、かかわる人全員のモチベーション管理に悩むことがあると述べている。

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

石垣 雅人
経験者石垣 雅人
合同会社DMM.com

チームのモチベーションが低くなってしまっているとき

プロダクトを作る上で、エンジニアやデザイナーといったモノを作る存在は必要不可欠です。


私自身もエンジニアであるため、エンジニアがモチベーション高く開発できているときは、スピード感をもってイテレーティブな改善をどんどん回せますし、それによって事業が成功することもあります。


一方、開発プロセスがうまく整備されていなかったり、エンジニアが開発しづらい環境だとモチベーションがどんどん低下していきます。そうなると、チームの雰囲気も悪くなり悪い...

方向にメンタルモデルが形成されていきます。 逆に少しの壁があったとしても、エンジニアやデザイナーがモチベーション高くいれば意外にすっと超えられます。 なので、できるだけエンジニアリングマネジメントにも力を入れるようにし、1on1を中心とした会話の量を増やしたりアジャイルを中心とした開発プロセスの整備に力を入れています。


決済サービスのPayPayでプロダクトマネージャーを経験したのち、FinTechベンチャーARIGATOBANKのCTO(最高技術責任者)に就任した白石陽介さんは、開発チームのみならず社内外のステークホルダーも巻き込むことの大切さを説く。

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

白石 陽介
経験者白石 陽介
株式会社ARIGATOBANK

【プロダクトマネージャ】日々プロダクトを考え尽くす。

プロダクトマネージャという仕事は、誰よりも自分のサービスを理解している必要があると思っています。


そして、プロダクトに対する思いをチームメンバーは当然の事、ステークホルダーの皆様に伝えて、理解してもらう事が重要な役割です。


組織の中でプロダクトの責任者をしている場合は、上席に対する説明責任と承認を得る必要がありますし、スタートアップの責任者であれば投資家に対する説明責任があります。


そして多くのステークホルダーは、自分よりもその領...

域についての専門家ではないわけです。表面的な指摘を多くもらう事もあると思います。 しかしそれでも、何故そうしたのか?を説明し続け納得してもらう必要があります。その為には、なんとなくそのUIにしたとか便利そうだったからこの機能をつけてみたではなく、一つ一つの判断に対して、自分の意思決定に対する根拠が必要になります。 プロダクトを考えて考え尽くして、それでも理解してもらえなかったり、リリースできてもユーザの反応がイマイチだったり。 そういう日々を楽しめる素養が、プロダクトマネージャには求められると思います。


「プロダクトを考えて考え尽くして、それでも理解してもらえなかったり、リリースできてもユーザの反応がイマイチだったり。そういう日々を楽しめる素養が、プロダクトマネージャーには求められると思います」


白石さんのこのコメントは、いちプレーヤーとしてプロダクト開発に取り組む時とは異なる動きが求められることを表している。


スキル以上に大切な「自分ごと化」


これらのコメントから、プロダクトマネージャーへの転身後はスキル以上に「視点・考え方」のアップデートが必要だと推察される。


では、それをどう行うのがベターなのか。


マインドが変わるきっかけは人それぞれだが、JobPicksのロールモデルの投稿では「プロダクト開発を自分ごと化」することの大切さを挙げる人が多かった。


前出のエクサウィザーズKitabayashi Yotaさんは、エンジニアリングマネジャーからプロダクトマネージャーに転身した際、上司に言われたアドバイスを次のように述べている。

同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

Kitabayashi Yota
経験者Kitabayashi Yota
株式会社エクサウィザーズ

で、結局お前は何がしたいの?

プロダクトマネージャーとしての活動する前、自分には人生をかけて実現したい明確なビジョンがなかった。担当している事業数値やプロジェクトの目標を達成することが目的となってしまっていた。


そんな中、当時の上司から言われた一言。


なぜ今自分はここにいるのか、何のために仕事をしているのか、そして自分自身が実現したいのはどのような世界なのか徹底的に考えた。


今では生まれてきた子供たちのためにも、今よりも「幸せな日本」を残すことに貢献していきた...

い。 少子高齢化が進み、そして先進国の中でも最も生産性の低い日本の現状に対し、真の意味でのデジタルトランスフォーメーションの実現を、人材や組織の面から支援して加速させることで、日本の生産性をあげていきたい。 プロダクト開発をしていると様々な問題が発生するが、常に「なぜそれをやるのか」ということに常に立ち返って考え、物事の本質を見失わないように気をつけている。


担当プロダクトに、自分が人生をかけて実現したいビジョンを反映できるか。


精神論に聞こえるかもしれないが、この「腹を決める瞬間」をいつ持てるか?で、プロダクトマネージャーとして成長するスピードが変わってきそうだ。


スキルマーケット「ココナラ」などを運営するココナラのPenpen Kanakoさんも、駆け出しの頃、先輩に言われた次の言葉が転機になったと語る。

同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

Penpen Kanako
経験者Penpen Kanako
株式会社ココナラ

ユーザーの痛みとシンクロしろ

プロダクトマネジメント業駆け出しの頃に先輩に言われ、今でも大事にしている言葉です


「デジタルで完結するサービスを運用して、データを日々見ていると、だんだんお客様の心の機微に疎くなる。データの向こうに生身の人間がいることを忘れてはいけない。そして、自分たちの起こす「些細に見えること」がどのくらいお客様に不便、不安、不満を与えてしまうのか?を敏感に感じ取れるようになって欲しい。

 ・サービスの寸断

 ・ちょっとした説明の入れ忘れ

 ・マス...

ターシートの設定ミス どれも運用側には一見、些細な時間だったり、修正の工数がさほどかからない(場合によっては管理画面でちょっといじるだけの?)事象かもしれない。ただ、その裏でその事象によって、ユーザーの大事な商談が潰れたり、(ゲームなら)白熱したバトルに水を刺されてデモチすることだってある。ユーザー体験への影響は決して障害の大きさに比例するわけではない。我々のちょっとした判断がユーザーを「ちょっと不快」なんかではなく「絶望させる」ことがある。 また、ユーザーに「良かれ」と思ってとった対応が、その対応の裏で対応を受けられなかったユーザーを白けさせていることもある。 プロダクトマネジメント歴の浅い人はユーザーの「喜びそうなこと」には意識を向けられるが「痛み」と細部までシンクロできる人は少ない。運営側でありながら、圧倒的なユーザーとしての当事者意識を持って、それでも運営としての判断ができる。そんな人がコンテンツをグロースさせることができる。」 という意味が込められている1行です。


仕事で必要なスキルや知識は、勉強しながら(または業務をこなしていく中で)身に付けることもできる。ただ、こういったマインドセットを持つには、自分なりの意識変革が求められる。


未経験からプロダクトマネージャーを目指す人は、技術や知識の習得だけがこの仕事に就くための道筋ではないと心得ておきたい。


プロダクトマネージャー初心者におすすめの本は?


最後に、プロダクトマネージャーのロールモデルたちが、この仕事を目指す未経験者や初心者におすすめする「入門書」をいくつか紹介しよう。


■『Running Lean ―実践リーンスタートアップ』(オライリージャパン)


NTTコミュニケーションズの事業企画・事業開発を経て、楽天やメルカリ、エクサウィザーズでプロダクトマネージャーをしてきた宮田大督さんは、『Running Lean』を「(プロダクトマネジメントを学ぶ上で)バランスの取れた内容」と評する。

転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。

宮田 大督
経験者宮田 大督
株式会社エクサウィザーズ

『Running Lean』アッシュマウリャ

一冊ということであれば、バランスがとれているこちらの本は良いかなと思います。


プロダクトマネージャーにとって大事なプロダクト開発プロセスの全体像が、コンパクトにまとまっているのがいいです。結構この手の本は、ページ数多いものが多い気がしますが、さらっと読むだけなら読めるます。


でも、発売して8年たっていて、たぶん発売直後に買ったので、8年繰り返し折に触れて読んでいるのですが、いまだに発見があります。


読み飛ばしていた内容に気づくわけ...

ではなくて、一度は読んでいる内容でも、最初読んだときには、このやりかた使える?とか思っていたところが、経験を踏むと、なるほど、たしかにこれは使える、と気付いたり。 プロダクト開発のプロセス自体は、世界中でどんどん洗練されていっており、昔の本だと、若干書いてあることが古いな、と思うことがあるのですが、Running Leanは色あせないなと思います。 経験が浅い人であれば、そのまま書いてあることをなぞってやってもいいですし、ある程度経験をつめば、その背景にある考え方みたいなのだけ吸収して、自分なりのやり方を、この本を参考に発展させてみるのにも使えると思います。 おすすめです。



著者のアッシュ・マウリは、起業家としていくつものプロダクトを開発してきた経験を持ち、そこで学んだ開発手法を本書に詰め込んだ。


そのノウハウは、宮田さんが「色あせない」と話す普遍的なものとなっている。


■『ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略』(日経BP)


ソフトウェア・ファースト』は、冒頭でコメントを引用したプロダクトマネージャー及川卓也さんが、非IT企業も「IT活用を手の内化する」ための方法論をまとめた一冊だ。


Kitabayashi Yotaさんは、本書を「真にデジタルトランスフォーメーションを実現するために必要な人材や組織制度、開発手法など、筆者の体験を交えながらわかりやすく解説されている」と推薦している。

転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。

Kitabayashi Yota
経験者Kitabayashi Yota
株式会社エクサウィザーズ

『ソフトウェアファースト』及川卓也

本でプロダクトマネージャーといえばこの方、及川さんの著書。


ただソフトウェア開発やプロダクトマネジメントが大切、ということではなく、真にデジタルトランスフォーメーションを実現するために必要な人材や組織制度、開発手法など、筆者の体験を交えながらわかりやすく解説されている。


本当に大切なのは、自分が作っているプロダクトに対して「愛」を持っているか?自分が使いたいと思ってもないプロダクトを、上の人や発注元に言われるがままに作ってないか。

...

プロダクト開発に関わる全ての人が「プロダクト愛」を持っているなら、きっと今より顧客に愛されるプロダクトが生まれ、結果としてデジタルトランスフォーメーションや新規事業が加速し、日本の生産性が上がっていくと考える。


本書の5章には、「ソフトウェア・ファーストなキャリアを築くには」というタイトルで、プロダクト開発職種のキャリアパスなども載っている。プロダクトマネージャーを目指す人は特に参考になるだろう。

文:伊藤健吾、デザイン:國弘朋佳

※ この記事に編成されている経験談は、記事作成時の経験談の内容と情報が異なる場合があります。

この記事に関連する職業

経験談・年収・キャリアパス・将来性などのデータ・ロールモデルをこちらでご覧いただけます

関連する記事

JobPicksオリジナル記事