新卒人事がYouTuberデビューして知った、情報発信のコツ3選

新卒人事がYouTuberデビューして知った、情報発信のコツ3選


この記事に登場するロールモデル

入社1年目にして、会社の顔ともいえる人事に大抜擢。


「フレッシュ人事チャンネル」というYouTubeチャンネルも開設し、20本以上の就活生向け動画を配信し、大学の講演にも呼ばれる「新卒人事ルーキー」がいる。


人気商品「マナラホットクレンジングゲル」などを製造販売する化粧品会社ランクアップの新卒採用チームリーダー森田健一さんだ。


入社1年目にして、人事として活躍する手腕が社外でも認められ、大学以外に「HR Leaders' College」という人事コミュニティからも声がかかるようになったという。


なぜ、森田さんは、入社早々に成果を出せたのか? 積極的な発信の目的と極意とは? 


業務を超えて積極的に仕事する源泉について、語ってもらった。

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目次

  • 新卒で会社の大黒柱「人事」に
  • 新卒1年目の仕事はYouTuber
  • 「コツコツやる」で見えた景色
  • 自分の心に嘘をつかない

新卒で会社の大黒柱「人事」に


—— 最初から人事の仕事に興味があったのでしょうか?



全くありませんでした。


いきなり話は飛びますが、私は大学3年生の時、TOEICで満点を取りまして。それで英語を使うビジネスがしたいなと、就活では大手自動車会社を受けたりしていました。


部門別採用の会社だったので、バイヤー、つまり自動車部品の購買を担当する予定だったんです。自動車は日本が誇る基幹産業だし、入社後は海外で働くことを約束されているので、グローバルに活躍もできそうだな、と。


—— それがなぜ「マナラ化粧品」を展開するベンチャー、ランクアップの人事に?


大学4年生の時、ランクアップに勤めていた大学の先輩が、「1日インターンがあるから来る?おいでよ」と声をかけてくれたのがきっかけです。


当時は、就活をしながら学生に英語を教えるフリー講師もしていたので、英語の先生もいいかななんて、いろんな選択肢を模索していました。


それに、就活では漠然と大手企業を中心に応募していたので、この機会に少し立ち止まって人生をしっかり考えてみたかったんです。


そんな軽い気持ちで、当時のランクアップの採用担当者に会いに行ったのですが、すごくいい人で。会社の規模や雰囲気も、手触り感があっていいなと感じました。


自分がやったことの反応がすぐ分かる。自分は、そんな仕事の方が好きなんだ、という感覚もありました。


でも、すでに内定を複数持っていたので、ランクアップのインターンに参加した後は「選考には進みません」とお断りしたんですね。


そうしたら、今度は会社の公式LINEから「もう一回会えませんか?」と連絡が来まして。


その時、別の会社の面接に行くため(東京の)日本橋にいたのですが、ちょうどスマホの充電が切れそうになってしまい......。焦ったこともあってか、「充電しに行っていいですか?」とお返事していました(笑)。


気が付いたら、充電しながら面接みたいなものを受けて、あれよあれよとランクアップへの入社を決めました。


これも含めて運命だったのかなと。あのタイミングで充電が切れたのも、運が良かったのかもしれません。

—— 決め手は何だったのですか?


「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」というミッションに心から共感したのと、社長の情熱です。

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我が社では、内定者は入社前に新卒採用のインターン企画と運営をするので、そこでかなり重要な仕事を任せてくれたことも成長したい自分にとってはかなり魅力でした。


—— 入社後は、新卒で配属されるのは珍しい人事に抜擢されたそうですね。


営業かマーケティングかなと思っていたのですが、ふたを開けたら人事への配属だったんです。新卒が人事に配属されるのは、創業16年間で初めてのことでした。



人の人生にかかわることが好きだし、採用活動は学生一人一人の人生に密にかかわるので、これはやりがいがありそうだと思いました。


私は大学側から選ばれて、留学生を含む400人の男子寮の学生アシスタント(通称RA:レジデンス・アシスタント)と副寮長をやっていたので、もともと人にかかわるのが得意でもありました。


—— 大学の副寮長と、人事の仕事の接点とは?



副寮長は寮生一人一人の生活態度、単位取得状況などを把握し、改善するなど、人事と同じく人の課題を一緒に解決する仕事です。



当時は寮内で問題が起きると、寮長や他のRAと夜中に会議することも日常茶飯事。大学生の男子が400人も集まると、毎日何か起きるんです。誰かと誰かが不仲になるなんてことも、しょっちゅうありました。



だから、寮長や副寮長は、悩みを抱えていそうな寮生に「ちょっとコンビニかラーメン屋でも行こうか」などと誘って、何に悩んでいるのかを聞き出すのが役目でした。


大変なことも多いのですが、私は人のために動くのがあまり苦ではなかったので、2年間も続けさせてもらいました。



そう考えると、社員の人生と密接にかかわる人事の仕事は、私にとって天職だったのかもしれません。社会人になってから、人事になってから気付いたことですが。

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新卒1年目の仕事はYouTuber



—— 入社してすぐに「フレッシュ人事チャンネル」も始めて、今では再生回数2.4万回以上を達成し、就活生から人気が出つつあります。情報発信で成果を出す秘訣、あるいは発信の極意とは何ですか?


YouTubeチャンネルを開設したのは、社長に「やってみたら?」と言われたのがきっかけでした。でも、やるからには本気でやろうと。


まだまだ成果を出しているとはいえませんが、私なりにこだわっている、発信の秘訣は3つです。

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1つ目は、何のためにやるか、「目的意識」を明確にすることです。


単にバズりたいのだったら、それこそ氷水をかぶったりとか、別のことをやります。


そうではなくて、TOEICスコアを上げる方法や短期インターンの秘訣、筆記試験対策や社員の密着動画などを撮っている理由は、コロナで精神的に参ってしまう学生さんが多い中、少しでも視聴者のためになるコンテンツを出して応援したいという社会貢献性を考えたからです。


それにこのチャンネルでは、マナラ化粧品というブランド名を積極的には出していません。それも、会社の宣伝をする前に、まず「学生さんにとって何かしたい」という思いがあったからです。

ちなみに「目的意識」は、私が人事の仕事をする上で最も大事にしていることでもあります。

—— 目的を明確にするとは、例えば?



目的を明確にすることの大切さを学んだ経験として、入社早々に内定者チームのリーダーになり、最初はうまくいかずに苦労した思い出があります。


例えば、ある内定者のオンボーディング(入社後の受け入れ~定着支援)や育成を担当した時です。彼女は私より年上で、たくさんの人生経験を積まれてきた、とても優秀な方でした。


彼女と一緒に進める仕事の一つに、YouTubeの動画撮影があったのですが、その方は当時、YouTubeやSNSでの情報発信が「苦手」とおっしゃっていて。


加えて、私自身が人事配属になったばかりで力不足だった上、社員の急な退職対応など自分の仕事で手いっぱいになってしまい、動画制作がなかなか進まなかったのです。


そこで考えたのは、ランクアップの社員は、もともと会社が掲げる理念に共感して入ってきた人たちだということ。


だから、理念にある「たった一人の悩みを解決する」には、YouTubeやSNSを作って知識をお伝えしたり、就職活動のコツをお伝えしたりするのも大事なんだという「目的」を何度かすり合わせました。


結果、今の彼女は広報担当として社員を巻き込んだSNS運用などを行い、大活躍しています。


このときの経験から、目上の方でも年上の方でも物怖じせずに、正面からしっかりと向き合うこと。そして、仕事の目的をすり合わせて納得してもらうことが大事だと痛感しました。


自分も含めて、たいていの人は、一度仕事の目的に納得すればものすごい力が出るものです。それに気付かせてくれた彼女には、本当に感謝しています。



「コツコツやる」で見えた景色

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—— 人事としての発信の秘訣、2つ目は?


コツコツやることです。それしかない。


無名の会社の無名の私が、YouTubeチャンネルを始めたところで、最初は誰も見てくれません。


「フレッシュ人事チャンネル」という名前も自分でつけたのですが、これも苦し紛れでした。人事といっても1年目、フレッシュでいることくらいしか取り柄がないと。


こうして手探りで始めましたが、最初は再生数が全く伸びない状態でした。社長や社員の一部が見ているだけ(笑)。


それでも、朝礼で宣伝したり、内定者に見てもらったり、営業の人に取引先へ宣伝してもらうことで、少しずつ見てもらえるようになったんです。


それでも、「壁」はきます。TOEICもそうですが、伸びない時期は何をやるにも、必ずあるんですね。


TOEICでたとえると、790点から810点に行くのが一番大変みたいな、そんな時期が。


それでも、コツコツ定期的に発信すること。そうすれば、TOEICのスコアもYouTubeの視聴数も必ず伸びます。


 —— ちなみに、どこで撮影しているのですか?


この会議室か、私が住むシェアハウスの共有ラウンジです。



共有スペースですから、人が出入りする時間は撮影できません。だから、早朝4時に起きて、他の住人が来ないか周囲の目を気にしながら撮影していました。「人が来ませんように」と祈りながら。


さすがに、「朝からこんなことをやっていて、意味があるのかな」とモヤモヤしたこともあります。


それでも、コロナで弱った就活生の役に立ちたいという自分なりの意味を見いだしたことで、なんとか続けてきました。


—— コロナでなかなか集まれない内定者が、このチャンネルを見ることで、内定辞退率がゼロになったそうですね。


ランクアップでは、もともと内定者と密にかかわるようにしていたので、YouTubeチャンネルを始める前も辞退率は低かったのです。


ただ、内定者にも動画に出てもらったり、一緒に作ったりするなどして巻き込むことで、一体感を持てたのはよかったと思っています。

発信を続けたことで、うれしいことに普段会えない学生に会えるキッカケも生まれ、今では弊社のSNSやYouTubeを見てインターンに参加してくれる学生も増えました。



この発信を見てくれたお客様の推薦で、大学でキャリアについて講演する機会もいただき、これまで知らなかった世界に触れることができています。


まずは自分でやってみると動いたことが、こうしたチャンスをいただくきっかけになったと感謝しています。


自分の心に嘘をつかない


—— 発信の秘訣3つ目は?


本音を語ることです。


見ての通り、動画のこのままの私です。会社で呼ばれている「けんちゃん」というあだ名を、そのまま名乗って、動画の出だしのポーズも、自分らしいポーズを自分で考えました。



YouTubeでは、当社やマナラ化粧品の製品についてほとんど語っていませんが、私は自分がお薦めしたいと本当に思える商品を世の中に送れていることに、幸せを感じています。


心からそう思っている人事が、本当に自分が思ったり体験したりしたことを語っているのが、学生さんに受け入れられたのかもしれません。


残念ながら、人事の中には、同業者とのオフ会で堂々と「辞めようと思っています」「自分が嫌いな会社で、自分はなんで人事をやっているんだろう」なんて普通に話している方もいます。


そういう本音って、学生や社員と接する時に、知らず知らずに漏れてしまうものなんですよね。そういう意味では、恵まれた幸せな人事だと自分自身で思っています。


だから、そもそも妥協して会社に入ったり、仕事をしたりしないこと。それが、人に伝わる発信の秘訣だと思います。

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Photo : iStock /metamorworks

—— 最後に、就活生や今の仕事に目的意識が持てずモヤモヤしている人にアドバイスをお願いします。


アドバイスだなんて偉そうですが、やはり目的意識を持つことだと思います。


ちなみに私がTOEICで満点を取れたのは、Netflixの映画を英語で観たい、海外の方ともコミュニケーションがとれるようになりたいと思っていたからです。


就職活動のためなどではなく、ただそれだけでした。


自分がやりたいことがはっきりしていると、能動的に力が入り、おのずと結果がついてくると思います。


それと、意思決定は自分ですること。


私は、某大手メーカーに行かず、ベンチャー気質な今の会社で人事の仕事に就いて、楽しくやらせてもらっています。でも、誰しもがベンチャーの仕事を楽しめるわけではありません。


自分でもまだ分かりませんが、人事の仕事も同じだと思っています。


人事は、時には社員が親にも友達にも言えないことを知っている仕事だったりします。そういう本音を引き出すことが向く人、向かない人もいると思うのです。


つまり、適職は人によってさまざまだということ。


だからこそ、自分は何をやっている時に楽しいと思えるかなどを考えて、仕事を選ぶことが重要だと感じています。


自分の心に秘めた思いや目的意識は、仕事でくじけそうな時に自分を助けてくれる武器になるはずです。

取材・文:齋藤知治、取材・編集:佐藤留美、デザイン:松嶋こよみ、撮影:遠藤素子

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