入社1年目にして、会社の顔ともいえる人事に大抜擢。
「フレッシュ人事チャンネル」というYouTubeチャンネルも開設し、20本以上の就活生向け動画を配信し、大学の講演にも呼ばれる「新卒人事ルーキー」がいる。
人気商品「マナラホットクレンジングゲル」などを製造販売する化粧品会社ランクアップの新卒採用チームリーダー森田健一さんだ。
入社1年目にして、人事として活躍する手腕が社外でも認められ、大学以外に「HR Leaders' College」という人事コミュニティからも声がかかるようになったという。
なぜ、森田さんは、入社早々に成果を出せたのか? 積極的な発信の目的と極意とは?
業務を超えて積極的に仕事する源泉について、語ってもらった。
—— 最初から人事の仕事に興味があったのでしょうか?
全くありませんでした。
いきなり話は飛びますが、私は大学3年生の時、TOEICで満点を取りまして。それで英語を使うビジネスがしたいなと、就活では大手自動車会社を受けたりしていました。
部門別採用の会社だったので、バイヤー、つまり自動車部品の購買を担当する予定だったんです。自動車は日本が誇る基幹産業だし、入社後は海外で働くことを約束されているので、グローバルに活躍もできそうだな、と。
—— それがなぜ「マナラ化粧品」を展開するベンチャー、ランクアップの人事に?
大学4年生の時、ランクアップに勤めていた大学の先輩が、「1日インターンがあるから来る?おいでよ」と声をかけてくれたのがきっかけです。
当時は、就活をしながら学生に英語を教えるフリー講師もしていたので、英語の先生もいいかななんて、いろんな選択肢を模索していました。
それに、就活では漠然と大手企業を中心に応募していたので、この機会に少し立ち止まって人生をしっかり考えてみたかったんです。
そんな軽い気持ちで、当時のランクアップの採用担当者に会いに行ったのですが、すごくいい人で。会社の規模や雰囲気も、手触り感があっていいなと感じました。
自分がやったことの反応がすぐ分かる。自分は、そんな仕事の方が好きなんだ、という感覚もありました。
でも、すでに内定を複数持っていたので、ランクアップのインターンに参加した後は「選考には進みません」とお断りしたんですね。
そうしたら、今度は会社の公式LINEから「もう一回会えませんか?」と連絡が来まして。
その時、別の会社の面接に行くため(東京の)日本橋にいたのですが、ちょうどスマホの充電が切れそうになってしまい......。焦ったこともあってか、「充電しに行っていいですか?」とお返事していました(笑)。
気が付いたら、充電しながら面接みたいなものを受けて、あれよあれよとランクアップへの入社を決めました。
これも含めて運命だったのかなと。あのタイミングで充電が切れたのも、運が良かったのかもしれません。
—— 決め手は何だったのですか?
「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」というミッションに心から共感したのと、社長の情熱です。
我が社では、内定者は入社前に新卒採用のインターン企画と運営をするので、そこでかなり重要な仕事を任せてくれたことも成長したい自分にとってはかなり魅力でした。
—— 入社後は、新卒で配属されるのは珍しい人事に抜擢されたそうですね。
営業かマーケティングかなと思っていたのですが、ふたを開けたら人事への配属だったんです。新卒が人事に配属されるのは、創業16年間で初めてのことでした。
人の人生にかかわることが好きだし、採用活動は学生一人一人の人生に密にかかわるので、これはやりがいがありそうだと思いました。
私は大学側から選ばれて、留学生を含む400人の男子寮の学生アシスタント(通称RA:レジデンス・アシスタント)と副寮長をやっていたので、もともと人にかかわるのが得意でもありました。
—— 大学の副寮長と、人事の仕事の接点とは?
副寮長は寮生一人一人の生活態度、単位取得状況などを把握し、改善するなど、人事と同じく人の課題を一緒に解決する仕事です。
当時は寮内で問題が起きると、寮長や他のRAと夜中に会議することも日常茶飯事。大学生の男子が400人も集まると、毎日何か起きるんです。誰かと誰かが不仲になるなんてことも、しょっちゅうありました。
だから、寮長や副寮長は、悩みを抱えていそうな寮生に「ちょっとコンビニかラーメン屋でも行こうか」などと誘って、何に悩んでいるのかを聞き出すのが役目でした。
大変なことも多いのですが、私は人のために動くのがあまり苦ではなかったので、2年間も続けさせてもらいました。
そう考えると、社員の人生と密接にかかわる人事の仕事は、私にとって天職だったのかもしれません。社会人になってから、人事になってから気付いたことですが。