【厳選5冊】現役コンサルも学んだ、ロジカルシンキングを鍛える本

2021年9月8日(水)

ロジカルシンキングは非接触時代の必須能力に

コロナウイルスの影響で、これまで以上に「ロジカルに分かりやすく伝える力」が求められている。

特に2020年、2021年はコミュニケーションがオンライン化し、それに伴い、ビジネス環境にも変化が起こっている。例えば法人営業や経営コンサルタントは、これまでクライアントに直接会い、熱量が伝わるプレゼンをしていたのに対し、現在は非対面で提案を行うケースが増えている。

コミュニケーションのオンライン化によって、言葉や文字だけで主張のポイントを分かりやすく伝え、「相手を動かす」ことも必要となってくる。そこでは端的で論理的な伝え方が重要になるだろう。

下の記事では、Zアカデミア学長や武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長を務め、『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』の著者である伊藤羊一さんが、論理性が伝わる1分ストーリーの作り方について解説している。

【伊藤羊一】1分でロジカルに伝える、「結論+根拠」の作り方

伊藤さんによると、1分で人を動かす話し方をするには、「結論(主張)+根拠3つ」のフレームワークが基本になるという。結論に対して、論理的なつながりのある根拠を複数用意することで、結論への理解が増すようだ。

伊藤羊一さん著『1分で話せ』より

昨今の社会状況の中、ロジカルシンキングの基礎と応用が求められるが、ロジカルな思考法は一朝一夕で身に付くものではないだろう。

そこで今回は、JobPicksロールモデルが薦めるロジカルシンキングに関する書籍の口コミを紹介し、どのように論理的思考法を習得し、様々な職種にどう活かすことができるのかを紹介していく(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。

『イシューからはじめよ—知的生産の「シンプルな本質」』

はじめに紹介するのは、問題発見・問題解決の名著で、多くのビジネスパーソンに支持されるベストセラー『イシューからはじめよ』(英治出版)だ。

本書は、ヤフーでチーフストラテジーオフィサーを務める安宅和人さんによって書かれた。問題解決における「イシュー」の見極めと、解決のストーリーラインを組み立てる手法を理解することができるビジネス書である。

下の動画にある安宅さんとメディアアーティストの落合陽一さんによる対談では、落合さんも『イシューからはじめよ』に影響を受けたと述べている。

【動画】落合陽一×安宅和人「日本再生を考える」(NewsPicks)

では、多くの人に支持される本書の学びは仕事術にどのように活きるのだろうか。JobPicksのロールモデルのレビューを参考に、オススメする理由を取り上げていく。

営業パーソンの顧客課題特定に役立つ一冊に

クライアント(顧客)の課題を整理し、サービスを通じた解決へと導く営業パーソンに、本書は役立つようだ。

NewsPicksで法人営業(フィールドセールス)を行うShuhei Nishimuraさんは、生産性の高い人と低い人の違いは、問題を解く前に「問題の見極め」を行うことが習慣化しているかどうかだとコメント。『イシューからはじめよ』を通じて得ることができる問題解決スキルが、顧客に最適なソリューションを提供する助けになるという。

イシューからはじめよ

生産性の高い人と低い人の違いは、問題を解く前に、問題の「見極め」をし

『ロジカル・シンキング: 論理的な思考と構成のスキル』

次に紹介するのは、論理的思考の入門書として有名な一冊『ロジカル・シンキング』(東洋経済新報社)だ。

マッキンゼー出身の照屋華子さん、同じくマッキンゼー出身の岡田恵子さんの2名によって書かれた良書だ。

ロジカルシンキングのコツである、漏れやダブりをなくす「MECE」や、話の飛びをなくす技術である「Why So? So Why」を使った論理的思考法についての説明と、実践的な応用問題を通じて効率的に理解できる内容となっている。

では、本書はどのようなビジネスパーソンに役立つのだろうか。

コンサルタントの思考力を高め、仕事の効率化を助ける一冊に

限られた時間の中で、顧客に対して最大のアイデアを出すことが求められる場面が多い経営コンサルタントからも、『ロジカル・シンキング』の推薦理由が寄せられている。

2005年からA.T. カーニー(グローバル・ブランド名:カーニー)に務め、現在は同社のアドバイザーを務める杉野幹人さんは、ロジカルシンキングの質を高めることで、より良いアウトプットに速くたどり着き、仕事の効率を上げられるとコメントする。

本書は、論理的思考の基礎から実践までを身に付ける助けとなる一冊だという。

ロジカルシンキング

よく、ロジカルシンキングは、もうコモディティだ、ロジカルシンキングは誰がやっても同じで同じ答えしか出ない、と言われます。 しかし、世の中で、ロジカルシンキングができている人はどれだけいるのでしょうか。 本当に、ロジカルシンキングは、誰がやっても同じ答えなのでしょうか。 ロジカルシンキングで導かれる答えは、人によって違います。 ロジカルシンキングは、パソコンのOSのようなものです。 みんなが使えますが、同じOSを使ったところで、アウトプットとして出てくる資料は人それぞれで異なります。 資料のインプットとして使う情報は、人それぞれですから、同じプロセスをしても、出てくる資料のアウトプットは人それぞれです。 ただ、パソコンのOSが使えないと、それらの資料をつくるのに非効率で苦労したであろうことはだけはみんなに共通。 ロジカルシンキングは、プロセスの技術に過ぎません。 同じプロセスの技術を使っても、インプットが違えば、アウトプットは変わります。 なので、ロジカルシンキングは、誰がやっても同じアウトプットになるというのは、間違いです。 そして、ロジカルシンキングという効率的な技術を使わないのは、わざわざ生産性を放棄する以外のなにものでもありません。 では、ロジカルシンキングはコモディティでしょうか。 コモディティが誰もができなくてはいけないもの、を指すのであれば、そのとおりです。 誰もができなくてはいけないものなので、決して、できなくてよいものではありません。 とっととできるようになり、人と話したり、ニュースを見たり、本を読んだり、自分ならではの多様なインプットを持つことに力を注ぐべきです。 ロジカルシンキングを軽んじて、非効率に仕事をしていると、インプットに、そして、その影響を受けてアウトプットにも力を注げず、満足の成果に辿り着きません。 ロジカルシンキングは、仕事を効率的にしてくれます。 ロジカルシンキングは、それ自体では差別化をもたらしませんが、差別化に力をとっとと注ぐためにも必要です。 経営コンサルタントは、膨大なインプットと、クライアントの経営イシューの解決のために、速やかなアウトプットが必要です。 このため、ロジカルシンキングで効率的に仕事をしていくことは、不可欠です。 照屋華子さんと岡田恵子さんの『ロジカルシンキング』は、多くの外資系経営コンサルティングファームの経営コンサルタントがお世話になった、経営コンサルタントへの就職や転職を考えている方、そして、新人の経営コンサルタントにとっての必読書だと思います。

ロジカルシンキングを身に付け、仕事を効率化するには、日常的にインプットとアウトプットのトレーニングを行い、スピードを高めていくことがコツになるようだ。

『ロジカル・プレゼンテーション―自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」』

次に紹介するのは、論理的思考をプレゼンに落として、分かりやすく伝える技術を学べる一冊『ロジカル・プレゼンテーション』(英治出版)だ。

著者はプレセナ・ストラテジック・パートナーズの代表取締役社長を務める高田貴久さんで、多くの社会人に必要な「提案の技術」について、基本から実践まで詳細に書かれている。

Web・デジタルマーケターの入門書に

『ロジカル・プレゼンテーション』は、データの分析や広告の運用を行い、改善案を提案する必要のあるWeb・デジタルマーケターにとって、プレゼンテーションの基本的な知識・スキルを身に付けられる良書であるようだ。

広告代理サービスをはじめとしたマーケティング事業を行うオプトの高木良和さんは、本書を通じて「論理思考力」「仮説検証力」「会議設計力」「資料作成力」の4つを総合的に学ぶことができるとコメントする。

ロジカルプレゼンテーション

デジタルマーケッターは、単にデジタルの知識、広告の知識を持っているだ

4つの総合的なスキルを用いたビジネス活用の物語を追体験できることにも魅力があるようだ。

『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』

次に、物事を論理的に分かりやすく伝えることができる文章作成術について書かれた、報告書や企画書を作成する人に必須の一冊『考える技術・書く技術』(ダイヤモンド社)を紹介する。

著者は、マッキンゼーをはじめ、数々の主要なコンサルティングファームで文章作成術を教えた経験を持つバーバラ・ミントさん。

「ピラミッド原則」という誰でも論理的な文章を書ける仕組みをもとに、文章の書き方だけでなく、論理的に考える力、ライティングの際の表現方法も学ぶことができる内容である。

クライアントに正しくメッセージを伝えたい人におすすめ

経営コンサルタントが正確な言葉をクライアントに伝える際に、本書での学びが役立つそうだ。

元戦略コンサルタントで、現在はリクルートでデータサイエンティストを務める浜崎皓介さんによると、「コンサルティングの仕事は、クライアントを変革させ得るストーリーと、それを構成するメッセージに対して対価をもらう仕事」だという。その際に正しくメッセージを選び、簡潔に伝える必要がある。

考える技術・書く技術

私たちが日々使っている言葉・単語はどれほど整理・整頓されているでしょ

選ぶ言葉によって曖昧さや、解釈の違いが生まれる中、伝えたい真意が伝わる文章術のテクニックを学べる一冊なようだ。

『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』

最後は、コンサルタントに必須のスキル「フェルミ推定」についてビジネスコンサルタントの細谷功さんによって書かれた一冊『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)を紹介する。

地頭力を鍛える「フェルミ推定」の思考プロセスを、実際の例題を踏まえて体系的に説明する内容となっている。

コンサルタントではない意外な職業からも推薦コメントが寄せられているので、それを紹介しよう。

Web・デジタルマーケターの問題解決力を鍛える一冊に

サービスの課題を見つけ、成長させるWeb・デジタルマーケターにとっても本書にある視点は有用なようだ。

吉富大悟さんによると、マーケターは、具体的なデジタルマーケティングスキルに加えて、問題を見つけ、解決する力が必要であり、本書はその問題解決に必要な思考法を学べる一冊であるという。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

マーケターとして必要な能力の1つである問題解決力を構造化して、必要な

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