コロナ禍入社、何が困った?ワコール2年目マーケターの苦労と解消法

2021年9月6日(月)

ファンの一人からマーケターに

—— ワコールで「AMPHI」のマーケティングを担当しているそうですね。就職先としてワコールを選んだ理由は?

きっかけは、学生時代に初めてワコールの商品を使ったことでした。

「一度でいいから使ってみてほしい」と人から勧められて下着を購入したのですが、それまで長らく他社商品を使用していた私は、その使い心地の良さに感動し、すっかり虜になってしまったんです。

また、購入当時、接客を担当してくれたBA(ビューティーアドバイザー)も印象に残っていました。

商品一つ一つを丁寧にかつ楽しく説明する様子からは、仕事としてただ売っているのではなく、本当に良いものだと感じて商品を勧めていることが伝わり、「私もこんな風に好きな商品を届ける仕事ができたら楽しいだろうな」と思いました。

とはいえ、就職活動が本格的に始まってからは、「視野を狭めすぎず、少しでも興味があれば選択肢に入れよう」とアパレルや化粧品などのメーカーを中心に、航空系、金融系まで、幅広い業界を検討していました。

しかし、インターンなどで各社の訪問を経て、「やはり働くならワコールがいい」と考えました。

—— どのような職種を志望していたのでしょうか?

配属前調査では、デジタルマーケティングやECサイト運営、MD(マーチャンダイザー:マーケットやトレンドを分析し、商品企画から販売計画、予算・売り上げを管理する仕事)の順に希望を提出しました。

デジタルマーケティングとECサイト運営を希望したのは、靴屋の店頭スタッフとしてアルバイトしていたときに、「もっとWebを活用すればより多くのお客様に商品の魅力が伝わり、買い物も便利になるのに」と思ったからです。

自分自身が利用者である商品を、今度は作る側になって世の中にワコールのファンを増やしてみたいという思いもあったので、MDも検討していました。

不安は一つ一つ潰すしかない

—— 現在の仕事内容は?

2020年4月に入社し、約1カ月半の新入社員研修を経て、現在は弊社のブランド「AMPHI」の販促戦略や顧客分析業務を担当しています。

担当ブランド「AMPHI」で扱うアイテムの説明をしながら話す福間さん

特に月ごとの商品プロモーションを中心に担っていて、インスタライブの運営や、Web広告、商品紹介動画の作成などを行ってきました。店頭のPOPの内容の検討や、直営店の販促策を企画することもあります。

—— コロナ禍での入社でしたが、新入社員研修にも影響はありましたか?

例年通りであれば、入社後は1カ月ほど集合研修でビジネスの基礎を学んだのち、工場見学、物流での研修などを終えて、6月頃に配属されます。

しかし緊急事態宣言下での入社となった昨年度は、最初の6日間のみ集合研修が行われ、ビジネスマナーや会社の制度、部署の説明を聞いたあとは、約1カ月間オンラインで研修が行われました。

配属はゴールデンウィーク明けに決定となり、5月中旬に本配属となりました。

集合研修で仲良くなった同期とは、オンライン研修になったことで直接会えず、その後に配属となったので、寂しい気持ちはありました。

そして何よりも、例年より1カ月程研修期間が短いため、「まだ会社のことを十分に理解できていないのに、自分はちゃんと仕事ができるのだろうか」と不安な気持ちになったことを今でも覚えています。

—— 配属後は、どのような苦労を経験しましたか?

文学部出身でデータに関する知識が乏しいこともあり、顧客分析には四苦八苦しています。

出せるデータの範囲が理解できていなかったり、データを抽出しても、仮説通りにいかないことが多々ありました。

過去には一度、大規模な顧客戦略会議で使用する資料作成を担当した際に、出すべきデータの日付設定を間違えてしまったこともあります。

ミスの原因は、元のデータの出し方が間違っていたことでした。

自分が出したデータを保管しており、そのデータをもとにチェックしていたため、データ自体が間違っていることに気がつきませんでした。

また、データ抽出の経験が浅く、そもそもどの程度の数値が正常値で、どれが異常値なのかを理解できていなかったこともミスに気づけなかった要因だと思います。

Photo:iStock/FangXiaNuo

私自身が出したデータ次第で現状の認識が間違ったものになり、販売戦略の方向性が大きく変わってきます。

その責任の重さを痛感したことで、会議での失敗を機に、確認したつもりにならないこと、数値のチェックの際にはもう一度データを抽出してダブルチェックを行い、資料を作成することを心がけるようになりました。

—— 逆にやりがいや、達成感を感じた瞬間は?

配属直後の5月から9月まで担当した「お友達紹介キャンペーン」を無事に実施し終えた時です。

新人であることに加え、研修の短期化で例年にも増して事業に関するインプットが少ない状況だったため、配属直後の仕事への不安はやはり大きかったです。

それでも、マーケティングは良い商品を世の中に届けることが仕事なので、受け身でなんとなくこなしていくだけでは、仕事で価値は生まれません。

とにかく、戦略会議やデータ分析の打ち合わせに積極的に参加しては、話を聞いて理解できなかった部分を先輩にひたすら質問し続けることを繰り返し、一つ一つ分からないことを地道に潰していきました。

その結果「お友達紹介キャンペーン」は好評のうちに終了。「学生の延長」という状態を抜け、一社会人としてゼロから仕事を頑張れた自分を少し褒めたいと思うことができました。

答えはいつも消費者が持っている

—— 実際の業務を通じて感じる、入社前とのギャップはありますか?

入社前は、3Dボディスキャナーと接客AIを活用した新しい接客サービス「ワコール3D smart & try」など、先進的な取り組みを積極的に行っているイメージを抱いていました。

しかし、実際に入社してみると、全ての場面で最先端を走れているわけではないのは少し意外でした。

例えば、「お友達紹介キャンペーン」では手作業で紹介者と新規会員を紐付けなければなりませんでした。

オフィスの業務では、まだまだDX化を進められる部分もあると思います。

—— ワコールでは若手社員の意見が尊重されると思いますか?

若手一人一人を丁寧に見守り、育てる文化があると感じています。

配属後半年ほどは、先輩社員が一人の新入社員につき、業務上での不安や不明点を気軽に相談することができます。

また、ワコールでは長年ベビーからシニアまで、幅広い年代に向けた商品を取り扱っていることもあり、「お客様が答えを持っている」という考え方が根付いています。

ですので、特にターゲットが若手社員と年齢が近いブランドだと、若手の意見が重宝される印象です。

実際、私の担当している「AMPHI」では、メインターゲットが20〜30代であることから、「若手目線で受け入れられる方法を積極的に模索してほしい」とキャンペーンの企画や運営を任せてもらえています。

Photo:iStock/psisa

—— 希望した部署に配属されるのでしょうか?また、異動はどのようにして決まりますか?

男性社員だとメンズインナーウェアブランドやコンディショニングウェアブランド「CW-X」を取り扱う部門への配属を希望する人が多いですが、女性社員の場合、部署の偏りが比較的ありません。

私の代は、入社後に第3希望まで聞かれましたが、概ねこの希望の範囲内で収まっていると聞いています。

異動に関しては、定期異動が年に2回あり、基本的には本人の希望と成長を考慮したジョブローテーションが促進されています。

加えて、一定の条件を満たせば、自律的なキャリアデザインを促進する目的で「定期社内ジョブチャレンジ制度」を活用することもできます。

この「定期社内ジョブチャレンジ制度」を使えば、面談で希望する異動先の部署責任者とマッチすれば、希望部署に異動できる可能性があるのです。

大胆なキャリアチェンジに挑戦したい方は、このチャンスをうまく生かすことで、自分の思い描くキャリアを積むことが叶います。

Photo:iStock/peshkov

深い自己理解でテンポよく答えよ

—— 最後に、自身の就職活動を振り返って、どのような点が評価されて内定獲得に至ったと思うか、自己分析をお願いします。

私自身が心がけていたのは、面接官からの質問に対して、テンポよく回答し、話の輪を広げるというシンプルなことです。

話の引き出しを増やすためには、学生時代までに得られた経験から自分自身を見つめ直すことが必要だと考えています。

面接では「あなたの学部を誰が聞いても分かるように説明してください」「輪のなかで自分がどのようなポジションにいますか?」など、過去の経験に対する深い洞察力が試される質問をされることが多いからです。

過去のさまざまな局面で自分はなぜその行動をしたのかを振り返り、それをリラックスして話せるようになるまで、繰り返し練習してみてください。

また、月並みな表現にはなりますが、学生時代にサークルや部活動、バイトなど、何か責任を持ってやり遂げる経験を積んでおくことは社会人になっても大いに生きると考えています。

というのも、周囲で活躍している人に共通するのは「視野が広い人」で、自分の行動が誰にどの程度まで影響を及ぼすのかを考え、常に先回りして仕事に励んでいるのです。

社会人では自分の仕事の届く先を意識することが、責任感や達成感に直結すると思うので、ぜひ今夢中になれることに全力で励んでほしいです。

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取材・文:小原由子、編集:佐藤留美、デザイン:堤香菜、取材・撮影:小林将也