【山下良輔】工業高校から、有名コンサルに転職した31歳の逆転人生

【山下良輔】工業高校から、有名コンサルに転職した31歳の逆転人生


この記事に登場するロールモデル

偏差値30台の工業高校から、高学歴エリートがひしめくコンサルティングファームへ——。デロイト トーマツ コンサルティングでシニアアソシエイトとして働く山下良輔さんは、社会人キャリアの途中で覚醒した。


「生きるために必要なお金があればいい」という理由でファーストキャリアを選択したものの、自分の仕事を通じて周囲に認められた経験をしたことで、人生が急展開。転職エージェントに「コンサル業界への転職は無理です」と告げられるも、“逆転内定”を勝ち取った。


キャリアアップの秘訣を尋ねると「誰もやらないことに挑戦してきただけです」と一言。


異例の出世を続けてきた過去をひもとくと、前時代的な“出世街道”から、頭ひとつ抜けだすための思考法が見えてきた。

山下さんプロフ

目次

成り行きのファーストキャリア


—— 新卒で地方の中小企業に就職し、現在は大手コンサルティングファームで働く山下さん。キャリアアップの背景には、どのような戦略があったのでしょうか?


山下 特に戦略があったわけではありません。


育った環境の影響か、もともと自己肯定感が低く、人生にそれほどやる気があるタイプではありませんでした。高校卒業後に就職したのは「家庭の事情で大学に行く選択肢がなかったから」で、仕事に対しても「生きるために必要なお金があればいい」くらいの感覚でした。


ファーストキャリアに検討していたのは、地元の工場です。偏差値30台の高校に在学していたので、それほど選択肢もありませんでした。


しかし、工場見学に行った際、作業服を着て現場で働く50代の方々を見て「自分には体力的に厳しそうだ」と感じました。そこで唯一、現場での作業がなさそうだった松田電機工業所に就職を決めたのです。


言ってしまえば、 “成り行きのファーストキャリア”です。


—— そんな山下さんが、キャリアアップを意識するようになったのはなぜでしょうか?


山下 周囲から期待され、必要とされるのが嬉しかったからです。社会人になり、「仕事で成果を出せば、周囲が自分を認めてくれる」ことを知りました。市場価値を上げることが、自己肯定感に関するコンプレックスの解消につながると気づいたのです。


松田電機工業所は、若手に多くのチャンスを与えてくれる会社でした。その上、従業員300人程度でありながら、年間売上高は150億円で資本にも余裕があり、社長が新しい取り組みにも積極的です。


若手ながら新しいプロジェクトに参加させてもらう機会が多くあり、頑張れば頑張るほど評価され、どんどん仕事にのめり込んでいきました。

山下氏1

—— 例えば、どのようなプロジェクトがあったのでしょうか?


山下 海外で工場を立ち上げるプロジェクトが、私にとっての転機となりました。入社5年目の22歳のときに、プロジェクトリーダーを任されたのです。


プロジェクトを立ち上げた当初は、営業部長と生産工場の工場長、生産技術部の上司、そして私というチーム編成でした。


しかし、諸事情で私以外のメンバーが抜けてしまい、最終的には私と同じく若手の2人でプロジェクトを担当することになりました。1年間の準備期間を経て、英語も喋れないまま、1年半にわたるタイでの駐在生活が始まりました。


工場を立ち上げる過程に、マニュアルは一切ありません。事業計画書の作成、現地スタッフの業務フローの確立、物流管理など、今まで経験したことがないことを「どんな方法で行うか」から考えなくてはいけませんでした。


このとき、ゼロベースで考える癖が身についたことは大きな財産です。どんな仕事であれ「そもそもこのやり方は正しいのか」という視点を持てるようになり、仕事を進める上での基礎力が身についたと思います。


—— 若手でありながら会社の一大プロジェクトを請け負うことに躊躇はなかったのですか?


山下 知らない場所に飛び込むことよりも、そのまま日本に残り、成長実感が得られなくなる方が怖かったのです。


工場の立ち上げに参画する前は、ラインの立ち上げをはじめとする、新製品の生産準備の6割を1人で担当していて、それなりの成果も出していました。


ただ、そのまま同じ場所にいても、それ以上の成長は見込めませんでした。背伸びできる環境ではなかったのです。


そこで、上司に「異動させるか、親会社に出向させてください」と自ら頼みました。その結果回ってきたチャンスが、工場立ち上げのプロジェクトです。むしろ「やっとチャンスが来た!」くらいの感覚でしたね。


満を持して臨んだビッグプロジェクトでしたから、相当な苦労はしたものの、それ以上に充足感でいっぱいでした。仕事の楽しさに味を占め、“普通の仕事”に満足できなくなったのはこの頃かもしれません。


面接官の目を引く仕事

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